第147話 超有能スキルとわんちゃん
ユニークスキルを手に入れた俺はニアへとこのユニークスキルの事を尋ねてみた。
「因みになんだけどさ、このユニークスキルって今までに見たことある?」
「いや、ないのじゃ。絶対とは言い切れんが、恐らく唯一無二ではないかの」
「使えるかどうかは別にして、ぱねぇな!・・・色々と」
「うむ」
俺は手に入れたユニークスキル『レモンの入れもん~ダンジョン始めました~』に再度意識を向ける。・・・名前については聞かないでくれよ?
『ユニークスキル:レモンの入れもん~ダンジョン始めました~
・レモンの入れもんスキルにダンジョン機能が追加された事によりユニークスキルへと変化したスキル。』
名前はともかくスキルの力としては凄いように思えるこのスキルだが、説明にある通りレモンの入れもんが変化したスキルであるのだが・・・
「・・・あっ!」
俺は漸く重大な事に気が付いた。
ここで一応説明しておくと、今俺達が喋っているのはレモン空間の外・・・スラミーのダンジョンがあった直ぐ傍で、その場にいるのは俺とニアだけとなっている。
他の皆は『スラミーの核を移動させた後にまた移動するから』と俺とニア以外はレモン空間の中で待機中だ。
そしてそんな中、俺が気づいた重要な事とは『変化したレモン空間の中の皆は大丈夫なのか?』という事だった。
「や・・・やばば!?大丈夫かな皆!?」
変化したスキルの中でどんなことが起こるかは解らなかったさっぱり解らない。なので俺は慌ててレモン空間への扉を開いてレモン空間へと入った。
「だ・・・大丈夫か皆ぁぁぁああ!?」
『『『!?』』』
「・・・あれ?」
「ど・・・どうしたのですゴブ一狼様!?」
「・・・びっくりした」
「「「・・・ごぶごぶ」」」
俺は叫びながらレモン空間へと入ったのだが、皆にギョッ!?という感じで見られてしまった。
まぁそれもその筈、だって・・・
「全然変化してないな?」
レモン空間内はユニークスキルへと変わる前と1ミリも変わっていなかったからだ。
「あ・・・あれぇ?どこか変わってる筈だろう?どこだ?」
そんな事だから俺は目を引ん剝いてキョロキョロと辺りを見回した。しかし何処にも変化は見当たらない。
そうやって『投げられた餌が見つからない犬』みたいにフンフン言いながらレモン空間内を見回していると、そんな不審な犬を見かねたのか長老が声をかけて来た。
「何かおかしな事があったのですゴブ?」
「いや・・・あったというか、あるはずなのにないというか・・・」
俺が先程外で起こった事を長老へと伝えると、長老は「ゴブ・・・」と少し思い出す様に目を瞑ったかと思うと、特に何か起こった様子はなかった筈と教えてくれた。
一応エペシュや他のゴブリン達に聞いても同じで、皆一様に「何もなかった」と教えてくれた。
「ふむ・・・では一度取り込んだ核を取り出してみてはどうなのじゃ?」
「あー・・・そうしてみるか・・・」
そんな時、ニアが変化したきっかけであると思われるダンジョンコア『スラミー』を取り出してみてはどうかと助言してくれたので、俺は取り出してみる事にした。
「ええっと・・・あれ?何かメニューみたいのが追加されてる?」
いざ!と思い収納物のリストを開くと、なにやら別タブというのか?リストに重なる様にもう1つ表示が出ていた。
「何だろ・・・これが所謂変化したポイントなのか?」
そちらを見たいと思いつつ指でタップをすると、収納してあるモノのリストが切り替わりそちらの別タブが表示された。
だがそれを見た瞬間、俺はある既視感に襲われてしまった。
「・・・」
それもその筈、なんせその別タブ・・・
「PCのセットアップ画面かよ!?」
まるでPCの初期セットアップの画面みたいだったからだ。
その後、えっちらおっちらポチポチと入力を進めていると、何となく俺はそれについて理解して来たのでニアや長老へと説明をしてみた。
「さっき長老にも言ったと思うけど、このレモン空間が変わったって言ったじゃん?」
「ゴブ」
「んで今俺がポチポチやってるのがその変わった部分っぽいんだが、どうやらレモン空間はダンジョンとしていじれるらしい。・・・っと、終わったな。起動っと」
「む?」
「ゴブ?」
セットアップみたいなものが終わったのでそれを起動させると、真っ白なレモン空間の天井等に一瞬だがノイズが走った様になり、その後・・・地面から湧き出て来るように丸い球が生えて来た。
「・・・スラミーか?」
【はい、そうです】
セットアップ画面で『どの迷宮核でセットアップを開始しますか?』と出ていた所にスラミーを選んだのでそうだと思ったのだが、出て来た丸い球・・・ダンジョンコアはスラミーだった。
「えっと・・・今の状況というか、出来る事?機能みたいなのって説明できるか?」
【はい】
出て来たスラミーに自身・・・というかスキルの事を聞くと、説明できるとの事だったので俺達は説明を聞く事にした。
それによるとだ・・・
○レモン空間をダンジョンの様に弄れる様になったので、外から木や土を持ってこなくても大丈夫になったとのこと。
○レイヤーの様に重ねた空間に別途ダンジョンが作れるらしい。
○そのダンジョンの出入り口は何か所も設置でき、レモン空間からもその出入り口にアクセスできるので『疑似ワープポータル』として使えるとの事。
○今の状態は龍脈に繋がっていないので、ダンジョン機能は一部制限がかかっている。前項で述べた事にかかってくるが、ダンジョンの出入り口(アンカー)を一か所龍脈に接続しておけば制限解除できるので、最低1か所は常時設置推奨。しかし無暗に作りすぎるとそこから侵入される恐れも有り。
ざっくりだがそんな話を聞いた。
「ウン、超有能スキルダネ?」
「うむ」
「ですゴブ」
満場一致で神スキル認定ですありがとうございました。
「いや、まじすげぇな。俺達にとっては神スキルだわ」
「うむ。ココを住処としておるお主達には本当に有用なのじゃ」
「ゴブ・・・。更に無理をすれば敵陣ど真ん中でこちらのダンジョンモンスターを放つことも出来ますゴブ?」
【可能です】
「えぐい事考えるな長老・・・」
スラミーの説明にはなかったが、敵陣ど真ん中で『フハハハハ!召喚DA☆』なんてことも出来るらしい。まぁ魔物を生み出すのには龍脈の力をそこそこに使うので、多用は出来なさそうだが。
「まぁ、当初考えていた『進化したから中身リセット』とかになってないって解った所で、取りあえず外に出て移動を開始するかな」
「うむ」
「解りましたゴブ」
と、ここでスラミーの話も聞き終わり進化したユニークスキルの事が判明したので、俺は当初の目的である移動を開始する事にした。
レモン空間から出る際にエペシュが「スラミーに頼んで森改良してもらってもいい?」と聞いてきたので、俺はそれに許可を出してレモン空間の外へと出た。・・・一応言っておくと、エペシュが言った位なら龍脈への接続は不要らしい。
こうして出る前に少しゴタゴタがあったが、俺はあの変態転生者から離れた場所へと移動を開始する事にした。
そうしていざ走ろうかという時、ふとニアが訪ねて来た。
「当てはあるのかや?」
「ないな。まぁ3,4日分離れた場所へ行けば大丈夫かなって思ってるから、3,4日走ってから考えるわ」
「うむ」
移動するとは決めていたが具体的な場所は決めていなかった俺がそういうと、『まぁいいんじゃね?』みたいに返された。このニアの感じなら大丈夫だろう、多分。
「うっし、んじゃあ移動開始だ!」
今度こそと気を取り直す様に大声でそう言うと・・・俺は走り始めた。
・
・
・
そしてその日の夜、走り終えた俺がレモン空間へと戻って来ると・・・
「・・・今日走ったのがよっぽど疲れたんかな俺。なんか変な物が見えるわ」
何故か森の横に街が出来ていた。
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
「面白い」「続きが気になる」「きっと奴の仕業!」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。
☆や♡をもらえると ごぶ蔵が 一晩でやってくれます。
こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』
https://kakuyomu.jp/works/16816927860702355532
誤字修正 街×→町○ 2022/6/21
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