第132話 罠罠パニックとわんちゃん
9階層へと降りた俺は通路を見て、口をあんぐりと開いたまま固まっていた。
それは何故かというとだ・・・
「罠・・・あり過ぎじゃね?」
そう、罠がびっしりと床に敷き詰められていたからだった。あまりにも敷き詰められすぎているものだから、長老の罠判別魔法がかかっている俺の目にはまるで床がモザイクの様に見えていた。
「これ・・・全部自分の所の魔物が罠にかからない様にしてるのかな?そうだとしたらめっちゃコストかかりそうだが・・・」
ダンジョンの罠は確かに設定次第では味方に対して発動しないようにはできる。しかしだ、そうやって設定するにはコストがかかってしまうので龍脈への負担が増えるのだ。
なので全て設定してあるならかなりの手間になるのだが・・・
「いや、もしかして罠オンリー階層か?『探索』っと・・・んん?そうでもなさそうだな?」
まさかと思い敵の気配を調べてみたが、別に罠オンリー階層という訳でもなさそうだ。
ならば全ての罠に識別設定がしてあるのか、若しくは死なば諸共な作戦なのかもしれない。
「死なば諸共作戦だといやだなぁ・・・罠が誘発して酷いことになりそうだし・・・っと、取りあえず進んでみるか。『隠密』発動っと」
罠をボンボン誘発させながら向かってこられても嫌なので、俺は身を隠しながら通路を進み始めた。
そうやって身を隠しながらモザイク状になった道をピョンピョンと進んでいると・・・
(敵か・・・どれどれ・・・)
敵の反応が近くなったので、どんな敵で罠設定はどうなのかを調べようと思いそちらへと進んだ。
そうすると敵が見えて来たのだが、俺は思わず変態転生者を褒めそうになってしまった。
名前:
種族:スパイダーゴーレム
年齢:-
レベル:8
str:238
vit:193
agi:395
dex:322
int:102
luk:51
スキル:壁面走行 咬みつき 毒糸生成 麻痺毒糸生成
ユニークスキル:
称号:
なんと敵さん、罠が無い壁や天井を移動していたのだ。
(盲点だったわ・・・俺も壁や天井進むかなぁ・・・って出来んわっ!)
【ならば浮いて進めばよいのじゃ】
(それも出来ん・・・こともないが無理だっ!俺に出来るのは短時間体をぶっ飛ばす事だけだっ!)
ついつい心の声が漏れてニアと漫才をしてしまったが、俺には壁や天井を進むスキル等無いので真似するのは無理だった。
まぁ長老の魔法があるので別にそんな事をする必要もないのだが・・・今思ったけど、長老こそ神じゃね?
(長老イズゴッド・・・っと、この階層の敵は面倒だから無視して行くかなぁ・・・)
全然やってやれない事は無いのだが、気を使いながら戦うのは少々面倒だ。なので俺はこの階層の敵は極力避けていく事にした。
(『隠密』様様っと・・・これ教えてくれたニアも神じゃね?ってまぁまじで神みたいなものだが・・・)
今日の探索が終わったら長老とニアに礼を言っておこうと考えながら、俺は9階層の探索を始めた。
・
・
・
そうして探索する事・・・何と1週間も経ってしまった。
時間が掛かってしまっているが、ネックになっているのはやはり罠で、見えていても床にびっしりあるものだから中々移動スピードを上げられないのだ。まぁ無理して上げられない事もないのだが、その場合は反射神経を鍛えるゲームになってしまうだろう。
因みにだが、魔物の方はスパイダーゴーレムの他に、
名前:
種族:センチピードゴーレム
年齢:-
レベル:7
str:213
vit:301
agi:325
dex:239
int:83
luk:56
スキル:壁面走行 毒咬みつき 毒液噴射 巻き付き
ユニークスキル:
称号:
名前:
種族:絡繰り蝶
年齢:-
レベル:6
str:152
vit:103
agi:422
dex:271
int:163
luk:66
スキル:飛行 罠誘発指令
ユニークスキル:
称号:
この2種類が居た。
絡繰り蝶の方が『罠誘発指令』などというスキルを持っているので、この階層は徹底的に罠で嵌めるコンセプトなのだろう。
(まぁ長老という有能過ぎる者がいたせいで無意味と化しているがな!)
長老マジ最強ッスと改めてリスペクトしていると、何故か急に通路から罠が消えた。何だ!?と思いながら警戒して歩を進めていると・・・広めの部屋が前方に見えて来た。
(・・・ボス部屋か?)
どうやらボス部屋の前だから罠が無いらしいのだが・・・演出だろうか?特にボス部屋の前だからって罠設置不可という訳ではないと思うのだが・・・。
(これでセーブポイントでもあれば解らんでもないが・・・ってマジで何かあるじゃん!)
RPGゲームのダンジョンなら~・・・と考えていると、セーブポイントではないが、小さな水飲み場と宝箱が通路にポツンとあった。
俺は其処に近寄り、念の為に宝箱を鑑定してから開けて見た。
(罠は無しっぽいが一応警戒して・・・ん、罠はなかったか。んで宝箱の中身はっと・・・食べ物?)
宝箱の中身は何かの肉の串焼きと果物だった。・・・セーブポイントというか休憩ポイントなのだろうか?
まぁ折角だし利用してみようかなと思い、取りあえず水飲み場の水でも飲もうかなと近づくと、ニアが念話で話しかけて来た。
【一狼よ・・・お主本当にそれを飲むつもりなのかや?】
(え?なんで?)
【いや・・・明らかに怪しいじゃろそれ?何故疑わんのじゃ?】
(・・・え?だってセーブポイントみたいなものだろ?)
【何なのじゃそれは?・・・っと・・・思わず口出ししてしまったついでに言うのじゃが、『鑑定』をかけてみよ】
(ん?ああ。・・・オンドゥルルラギッタンディスカー!ウゾダドンドコドーン!)
水飲み場と食べ物を鑑定した後、俺は怒りによって滑舌と舌の周りがぐちゃぐちゃになってしまった。
『迷宮施設:水飲み場・小(改)
・無限に水が沸き出る小さな水飲み場。改良が加えられ、水は毒になっている』
何と毒が入っていたのだ。食べ物の方も同じような事が書いてあり、更に毒を調べると『麻痺毒』と『媚毒』だそうだ。
(ウ・・・ウゴォォォォオオオ!!!)
俺は思わずボス部屋へと走った。
そして・・・
「オレァクサムヲムッコロス!」
ボスのステータス等を一切見ずに、俺はバーニングハリケーンスペシャル(仮をぶちかました。
その結果・・・
『ズギャァァァ・・・ッカッ・・・ッカッカッカッ・・・フィィィィィィィィィィィ・・・・』
「・・・え?」
『 ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! !』
「・・・・・・・・・・!!」
今までにない規模の大爆発が起こり・・・俺は吹き飛ばされた。
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
「面白い」「続きが気になる」「わんちゃん、怒りの一撃」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。
☆や♡をもらえると 一狼の滑舌が よくなります。
こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』
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