第130話 学んでいないわんちゃん
お詫び:フレッシュゴーレム・改のステータスを少しだけ修正 2022/5/19
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長老に掛けてもらった魔法の検証も終わり、探索は大分ストレスフリーかつスムーズに進む様になった。
そうして探索する事1日、7層のボス部屋らしき場所へと俺は辿り着いた。
「多分ボスがいると思うんだが・・・居たな。『鑑定』」
名前:
種族:フレッシュゴーレム・改
年齢:-
レベル:7
str:408
vit:399
agi:303
dex:172
int:45
luk:27
スキル:再生・中 硬化 屍喰らい 腕力強化・小 脚力強化・小 物理耐性・小
ユニークスキル:
称号:廃棄品
ボスらしきものに鑑定を仕掛けると名前が『フレッシュゴーレム・改』となっていたのだが、あれもフレッシュゴーレムなのだろうか?
「一見ただのマネキンっぽいな。・・・って言うかステータスがドラゴンモドキ並なんだが・・・強くね?」
ボスはそれまでのフレッシュゴーレムとは違い、服屋にある様なマネキンみたいだった。『改』なので皮膚がちゃんとついているのだろうか?
「しかしあれだな・・・服着せて婦人服売り場に置いておけば気づかなさそう。それかあれだな・・・」
マジマジと見ると大人専用のお人形にも見えてきてしまうが・・・まぁ色々作り込んでいないっぽいので、『セーフ!』と言った感じだったが。
そしていつまでも見ていても仕方がないので、俺はボス部屋へと入ってボスへと近づいて行った。
「・・・キェァァァァアアア!」
のっぺらぼうだと思っていたマネキンなのだが実は目と口があったらしく、一定の距離まで近づいた時にいきなりそれらが開いて叫んだ。
そして叫び声を上げたまま両手を前に突き出し、俺に飛びかかってきた。
「うぉっ!?」
俺はそれに吃驚して声を上げてしまったが、敵の攻撃は難なくかわす事が出来た。
「まぁ能力差だよな・・・っらぁ!」
「キェァァアアア!キィ・・・アアアァァァ!」
「んっ!?っとぉ!?スキルでも使ったか!?」
躱した後に反撃を入れるとボスは再び叫び、その後動きが良くなった。しかしその動きも俺には対処可能なスピードだったので難なく躱していく。
「っぜぁっ!・・・ってちょい硬ぇな!んじゃもうイッチョ!うらぁっ!・・・からの、火球よ、敵を燃やせ『ファイアーボール』」
そして隙を見て反撃を仕掛け、その傷口をただのフレッシュゴーレム同様燃やしていく。
するとやはりというか、再生はするものの再生スピードは遅く、この戦法はボスにも通用する事がわかった。
なので俺は、攻撃しては傷口に『火魔法』をぶち込む、これを繰り返し・・・
「トドメは首っとっ!」
ボスを仕留める事に無事成功した。
「・・・ふぃぃ。ゴーレムやゾンビ系は厄介だなぁ。痛覚が無いからか攻撃受けても平気で突っ込んできやがる」
【うむ。しかし弱点も多いのじゃ】
「そうなんだ?」
【うむ】
ニアとそんな事を話しながらドロップアイテムを拾い、8階層へと続いていると思われる道を進む。・・・因みに、ドロップアイテムは魔石しかなかった。しけてやがる!
「まぁ魔石が良質っぽいから許してやるか・・・っと、8階層到着っと」
8階層に到着したと思われたので即座に『索敵』を使うが、奇襲を受けるような位置には反応が無かったので安心し、周囲を確認する。
8階層も6,7階層と変わりがないように見え、石で通路が作られた遺跡風の佇まいだった。
「罠も・・・あるっぽいな」
長老の魔法がうまく機能している様で、少し通路を進むと色が違う箇所が見つけられた。
「長老様様だな。そんじゃま、敵の様子を確認するか・・・」
後変わっている点は恐らく魔物だ。
俺は魔物の様子を確認すべく、敵の反応がある場所へと向かった。
・
・
・
敵を探して通路を進み、戦っては次へと繰り返していたのだが・・・
『カタカタ・・・』
「キィェァァア!」
「ふむ・・・、攻撃パターンは一緒か」
そこに居たのは6,7階層にいたモノと同じで、今俺が戦っているのはキリングドールとフレッシュゴーレムだ。
「っらっ!ほいっ!・・・終了っと。ステータスが上がっているから変化があるかなと思ったけど、そうでもないな」
一応8階層に出現する魔物は、6,7階層の魔物よりステータスが高くはなっているが、それも今の俺からすると誤差ではある。
しかも攻撃パターン自体は一緒なので、ステータスが同じくらいでも倒せはするだろう。
「ってことで、ここの奴も適当にレモン空間へボッシュートしていくか」
上手い感じの養殖方法に味を占めた俺は、ここの敵もレモン空間へと送り込んでごぶ蔵たちの経験値にしようと考えていた。
まぁレベルは上げれるときに上げておかないと何があるか解らないので、俺の考えも間違いではないだろう。
「って事で適宜ボッシュートする事にして・・・探索開始っと。『隠密』」
未だこの階層の敵が既出の敵だけと決まったわけではないが、おおよその方針を固めたので俺は探索を開始した。
そうして探索をしていると、ふと壁に違和感を感じた。
「ん・・・?罠か?でも色は変わってないよな」
しかしその壁の色は変わっておらず、長老の魔法が切れたのかと考えたのだが・・・
「あれ?でもあっちの床の色は変わってる。って事は魔法は切れてないよな?んん??長老の魔法にも欠陥があったってことか?」
魔法が切れていなかったので長老の魔法を疑ったのだが、取りあえず『鑑定』でもかけてみるかと考え、かけてみた。
すると・・・
『迷宮施設:隠し扉
・仕掛けによって開閉する隠し扉。』
「およっ!?」
『鑑定』には隠し扉があるという結果が出て来た。・・・という事は、長老の魔法にはやはり欠陥が無かったみたいだ。
「でも罠判定じゃないから反応はしない・・・と。欠陥じゃないけど落とし穴だな」
だが隠し通路を見逃したからと言って危険があるわけではないだろうし、長老が魔法を開発してくれたのは善意の行動、文句は言えまいよ。
「でも暇があったら魔法の改良でもしてもらおうかな。有ったら便利そうだし。・・・んで、この隠し扉のスイッチ的なモノはどこだ・・・っと・・・」
文句というより要望として長老に相談してみようと考えながら、隠し扉を調べてみる事にした。
「隠し扉があるって事は中に何かあるって事だろうしな。ボス部屋前に続くショートカットだったりして・・・っと、これか?」
壁や床、天井までも見たり触ったり嗅いだりして探した結果、天井の隅っこの方に凄く小さなレバーみたいな物があったのを発見した。
一応警戒しながらそれを動かすと・・・
『ゴゴッ・・・ガガッ・・・』
石の壁がスライドし、その向こうに小さな小部屋が現れた。
「お、正解だったな。んで、この部屋には何が・・・お!」
その隠された小部屋には何と・・・宝箱があった!
「隠し部屋に宝箱・・・転生者め、解っておるな!」
【何がなのじゃ?】
「いや、ダンジョンに隠し部屋があって、その中に宝箱って鉄板じゃん?」
【宝箱が鉄の板?どういうことなのじゃ?】
「あー・・・」
どうやら鉄板展開の意味が解らなかったみたいなので説明してみる。まぁ『鉄板=硬い』から『確実な事』みたいな用法が転じた物なんて日本人じゃないと解らんわな・・・。
少し説明すると解ってくれたみたいで、念話が嬉しそうな感じになった。薄々思っていたが、ニアはこういう言葉の用法や諺みたいなものが好きなのだろう。
とまぁ、ニアの好き嫌いは置いておいてだ・・・
「っひゃーー!宝箱だぁーー!」
俺は宝箱に飛びつ・・・
【待つのじゃ】
きそうになったところを、ニアの魔法だろうか?俺の体は静止させられた。
「なん・・・!?HA NA SE ☆!」
【面白い言葉を教えてくれた礼に助言をしてやるのじゃ。お主、前にも同じような展開で罠にかかったと言っておらんかったかや?】
「・・・ハイ、イッテマシタ」
【うむ、思い出せたのならよし】
「ハイ オレ オモイダス シタ 。アリガトウ 。オレ コレデ ワナ カカル ナイ」
何故か超絶カタコトになってしまったが・・・うん、ありがとうだニア。
そう、俺は以前にも同じような展開で罠にかかった事が何回かあった。そして俺はそれをニアに話した事があったのだ。・・・何が助けになるか解らないものだな。
俺は人生って不思議ね。何て頭をポワポワさせながら現実逃避していたが、ニアに小突かれたのか、微妙な衝撃で現実へと帰還した。
「すまんすまん」
【うむ】
「んじゃまぁ注意しまして・・・罠の有無が解るかは解らんが・・・取りあえず『鑑定』っと」
『鑑定』さんは微妙に頼りにならない時があるのだが、やらないよりはましだろうと宝箱へとかけてみた。
するとだ・・・
「お・・・おおぅっ!?」
鑑定結果に、これまた鉄板なものが映し出された。
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
「面白い」「続きが気になる」「FU RU I☆」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。
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こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』
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