第113話 バナナヤロウ!とわんちゃん
目の前にあったのは曇ったガラスみたいな色をした球体、ダンジョンコアだった。
しかも・・・
【龍脈へと接続。・・・不安定につき動作速度低下。魔物生成まで3時間】
以前見たダンジョンコア『スネーク』より育っているのか、ポンコみたいに喋れるようだった。
「喋れるって事はソコソコ育ったコアなのか。まぁあのボスの戦法意外と凶悪だったからなぁ・・・解らんでもないな。っと、それは置いといてだ、ここからどうすればいいんだニア?外へ持ち出せばいいのか?」
「いや、外へは持ち出さんのじゃ」
ダンジョンコアをゲットしたのでここからどうラゴウに連絡をつけるのかを尋ねると、どうやら一先ずダンジョンコアをこちらの制御に置かなければならないらしい。
「という事で一狼、そのダンジョンコアに手をおくのじゃ」
「手を置くだけで制御できるのか?」
「いや、少し作業があるのじゃ。まぁ知識と腕がないと出来ぬ故、詳しくは語らぬのじゃが、興味があるならば教えてもよいのじゃ」
「まぁ追々暇があれば前向きに検討する次第です」
ニア先生の質問には玉虫色の答えを返しておいて、俺はダンジョンコアに手を置く。するとその上からニアも手を置くと、何やら魔力の流れを感じた。
【外部の者のアクセスを確認。・・・・・・・・・登録完了。ようこそ新たなる所有者一狼様】
そうしてしばらくするとダンジョンコアがそんな言葉を発した。どうやら無事に制御権をモノにした様だった。
「うむ、完了なのじゃ。そしてここに妾も登録をしてと・・・完了なのじゃ」
【ようこそ■■■ニア「ニアでよいのじゃ」はい、ニア様。登録が完了いたしました】
ラゴウに連絡をするためにニアもダンジョンコアに何やら登録をしたのだが、その時の名前が一部バグった様に聞こえなくなった。
いつぞや言っていた気がするが、本当の名前はもう少し違うのだろう。だが、別にそれを気にしてもどうしようもないので気にしないことにして、俺はニアの作業を見守る。
「そうして後はラゴウの迷宮へ繋ぐだけなのじゃ。龍脈が乱れた地から乱れた地へと繋げるので少々時間が掛かるのじゃ。ゆっくり待つがよいのじゃ」
「了解だ」
「わかった」
電波?が悪いらしく、少し時間が掛かるらしいので大人しくそこらへんに伏せて待つことにしようと思い腰を下ろすと、エペシュも静かにしているべきだと思ったのか、俺の近くへきて腰を下ろした。
「まぁ大人しく待つとしようぜ?」
「うん」
「あれだったら俺にもたれかかっといても良いぜ?ふわっふわやぞ?」
「うん、ふわっふわ。臭みも取れて良い感じ」
「おう・・・」
そんな風に雑談を交わしているとニアから御呼びが掛かったので立ち上がり、ニアとダンジョンコアの近くへと行く。
「向こうのコア曰くラゴウも居るそうじゃから繋げるが、よいかや?」
「お、頼む」
「了解なのじゃ、じゃあ繋げるのじゃ」
「ありがとな・・・っと、でたな」
『ウホ?』
いつぞや連絡した時と同じく、そこにはゴリラ・・・ではないらしいラゴウが映っていた。
『おや姫s・・・ニア様、どうしたのですかな?』
ラゴウは再び龍脈を使って連絡して来たニアを不思議がり、何かあったと聞いてきた。
それに対してニアはストレートに答えを返す。
「うむ。お主の所に行こうとしたのじゃがな、迷宮の場所を忘れてしまったのじゃ。それで連絡したという訳なのじゃが、お主の迷宮はどこだったか?」
『ああ、成程・・・。・・・ニア様、今どこにおられますかな?』
ニアがストレートに『場所忘れた』というと、ラゴウは何かを考えた後こちらの居場所を聞いてきた。・・・来てくれるのだろうか?
「今は・・・・・」
ラゴウの問いにニアが今いる場所を伝えると、心当たりがあったのか、今すぐ向かうと言って通信が切れてしまった。
「通信切れたけど・・・大丈夫なのか?」
「ラゴウは長く魔境地帯に居るので大丈夫なのじゃ。言ってるうちにくるじゃろう」
「そうか」
「今からあのラゴウって人来るんだ。直に会えるの楽しみ」
「そ・・・そうか?」
どうやらラゴウが来ると聞いてエペシュは楽しみらしいが・・・お、俺の方がもっふもふなんだからねっ!
エペシュを取られまいと密かに対抗心を燃やしていると、何やら振動を感じた。
「ん?」
「来たのじゃ。今のは転移トラップで飛んできたラゴウの着地音じゃろう」
「あー、成程・・・。Hey コア!トラップ切っておいて!」
【了解しました。迷宮内全罠停止まで10分程かかります】
忘れていたが、転移トラップが生きていた様だ。なので念のためにオフにしておく。
「まぁ後々コア持ち出すから切らなくてもいいんだが、一応な・・・っと、きた・・・か・・・」
「ウッホウッホ・・・お待たせいたしましたニア様、お久しぶりですぞ」
「うむ、直に会うのは久しいのじゃラゴウ」
「でっ・・・かいね?」
「ああ、凄く・・・大きいです、だ」
生で会うラゴウ、生ラゴウは想像していたよりもデカく、迫力があった。
そして・・・凄くゴリラだった。
「っと・・・あー、ラゴウさん。会うのは2回目で、直接会うのはこれが初めてになります、一狼と申します。よろしくお願いします」
「私はエペシュ・エルダー・イーストウッド。よろしく」
ゴリラッパネー!といつまでも見ている訳にもいかないので自己紹介をすると、俺に続きエペシュも自己紹介をした。
それを受けてラゴウは丁寧に頭を下げて礼をしてきた。
「一狼は確かに2回目だが会うのは初めてなので初めましてと言っておきますぞ。初めまして一狼、エペシュ、儂はラゴウラゴウラゴウという種族のラゴウという、よろしくですぞ」
やっぱりゴリラじゃねえか!と、危うく突っ込みそうになってしまうが何とか踏みとどまり笑顔を見せておく。
するとラゴウは何故か顔を険しいモノへと変えた。
(えぇっ!?何も言ってないじゃん!・・・言いかけたけど)
顔色でばれたかと思っていると、ラゴウは再び頭を下げて来た。
「ここへ来たのはお主へ謝りにも来たのだ一狼、すまぬ」
「んん・・・?どういうことだ?」
突然ラゴウが何やら謝って来たのだが、俺には謝られる様な心覚えが無かった。・・・というより、俺の方がゴリラとか思ってすいませんと謝るべき?
そんな馬鹿な事を考えていたが・・・
「こ・・・このバナナやろおぉぉぉおおお!!!ゴリラ鼻にぶっさすぞぉぉぉおおお!!!」
ラゴウよりの謝罪内容を聞いて、俺は思いっきりラゴウを罵倒してしまった。
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
「面白い」「続きが気になる」「ゴリラを鼻にぶっ刺す!?」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。
☆や♡をもらえると 一狼の学名が イヌイヌジンメンケンになります。
こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』
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