第4章 

第110話 Nia!とわんちゃん

 魔境地帯、それは龍脈の乱れる地。


 その地に移動して来た迷宮達を逃さぬ、迷宮達にとっての魔の地。


 そんな危険な場所に移動してしまった仲間達の為に俺は今、その地へと辿り着いた。


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「っしゃぁ!たどり着いたぜっ!・・・って、魔境地帯って山々が連なる地とか言ってなかったか?ここ平原なんだが?」


「まぁ入口じゃからの、もう少し進むと・・・ほれ、あのように山が連なっておるのじゃ」


「んん?あぁ~・・・確かに」


「小っちゃい山の向こうに山があって、そのまた向こうに山、山、山、だね?」


 何やら変な感覚を感じた所から魔境地帯だと言われたが、事前に聞いていた話と違ったためニアに尋ねるとここは入り口で山はあっちだと言われた。

 視線を上げると今まで見えていなかったはずなのに山があり、どうやら魔境地帯特有の大規模な魔力による乱れにより歪んでいた景色が、魔境地帯へと立ち入った事で見える様になったとの事。

 不思議な現象だなぁ・・・と、それをざっくり『蜃気楼みたいなモノかな?』と認識しておいて・・・


「Hey Nia!取りあえずラゴウだっけ?その人の所への行き方を教えて!」


 俺はまず考えるべき事、ごぶ助達との合流について考えることにした。


 取りあえず目指すべき我らがポンコ迷宮、これの位置が解らないので、大分前に一度連絡したゴリラ・・・じゃなくてラゴウ?とやらに会いに行くのがいいかと考え、異世界○iriの異名を持つニアに聞いて見た。


「うむ、あの一番高い山が見えるじゃろ?あの山の麓辺りに入口があるのじゃ」


「了解だ、教えてくれてありがとうな。しかしあそこか・・・たどり着くのに結構時間がかかりそうだな」


「下手にそこらへんに点在する迷宮に手を出さねば、意外と直ぐ着くはずなのじゃ。ここいらには野生の魔物というモノがあまりおらんからの」


「へぇ?」


「この魔境地帯には迷宮が多いと言ったじゃろ?そ奴らがすぐ狩ってしまうのじゃ。まぁ元々魔物が生まれづらい土地でもあるしの」


 そういう事情らしく、道を進むだけなら案外早く行けるらしい。


「成程ね。んじゃま、とりあえず走りますか」


 何時までも此処にいるわけにも行かないので出発する事に決め、俺はエペシュを背中に乗せて遠くに見える山を目指し駆けだした。


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 一つ目の小さな山を越えた辺りで日が沈んで来たので、俺はそこで一度立ち止まった。


「ふぅ、確かにあんまり魔物の姿も見ないし、道を進むだけなら以前の山より大分楽だな」


「だね。でも何もなさ過ぎて暇だね?」


「俺は走ってるだけで意外と楽しくはあるんだが、乗ってるだけのエペシュは確かに暇かもな」


 ニアが言った通り道自体は進みやすく、今日だけで小さな山だが1つ超えるまで進めた。

 しかしその進みやすい道と言うのは植物が少ない山肌だった為景色の変化があまりなく、俺の背に乗っていたエペシュには不評だった。なので俺はエペシュに1つ提案をする。


「けどだからと言ってどうする事も出来ないんだよな。あー、何なら明日からレモン空間内にいるか?長老達も居るから、未だレモン空間内のが暇じゃないかもしれないぞ?」


 流石に『エペシュも走る?』とは提案できなかったので、次作の『レモン空間で待機』を提案してみた。

 しかしエペシュはそれを聞いて『ん~・・・』と少し考えた後に首を横に振った。


「いいのか?」


「うん、一狼と一緒にいる」


「お・・・おぅ・・・」


(嬉しいこと言ってくれるじゃないの!思わず落ちかけたわ!いや、もう落ちてるが)


 流石俺のメインヒロインはいう事が可愛い!と心の中で女神エペシュの事を褒めたたえていたのだが、俺の『索敵』が何らかの気配をとらえた。


「む、敵か?」


「うむ。そこいらの迷宮からでもでてきたのじゃろう。まぁ気にするほどのものでもないのじゃ」


「そうか・・・と、いつまでもここにいてもあれだな、レモン空間へ入って休むか」


 話すにしても、いつまでもここで突っ立っていてもあれなので、俺達はレモン空間へと入る事にした。


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 それから3日程、俺達は順調に山を越えて言った。

 半日普通に走り、半日スキルなどを全開で使って進むと、少しだけ走りに変化をつけつつ進み、4日目には一番大きな山の麓へと辿り着く事が出来た。


「ふぃぃ・・・やっと着いたか。一日でかなり距離を進んでいた筈なのにここまでかかるとは、広いな・・・」


「魔境地帯全体で見ると、まだここは入口近いのじゃぞ?」


「マ?」


「マ、なのじゃ」


 取りあえずの目的地には着いたものの、もしかしたらごぶ助達の位置まではまだまだ離れているかもしれないという事が解ってしまった。

 まだニアが頼んだポンコ迷宮の保護期間は残っているが、ちょっと急いだほうがいいかもしれない。


「ぬー・・・さっさとラゴウに会いに行こう!Hey Nia!ラゴウのダンジョンの入口は何処!?」


 既に夕方近くなってはいたが、俺はちょっとでも早くごぶ助達と合流したかったので、何でも知ってるAIみたいなニアさんにラゴウの居るダンジョンの入口を尋ねた。


「ラゴウの居るダンジョンの入口か」


「おう、なるべく早く仲間の所へ行きたくなってな」


「ふむ、解ったのじゃ」


 ニアは現在位置を確かめる為なのか、一度空高く飛び上がった。着地してきたのが1分後だったので、相当高く飛び上がったのだろう。

 戻って来たニアは周りをキョロキョロと見回した後、確認が終わったのか俺に向いて頷いた。


「うむ」


「悪いな急かして、で、何処なんだ?」


「うむ、忘れたのじゃ」


「ん・・・?」



 スーパーAIである筈のNia・・・壊れた?



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 作者より:読んでいただきありがとうございます。4章開幕です。Hey Nia!4章面白いの!?  Nia:質問の意味が 解りません 。

「面白い」「続きが気になる」「Hey Nia!」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。

 ☆や♡をもらえると Niaが 貴方の質問に答えてくれます。


 こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』

 https://kakuyomu.jp/works/16816927860702355532

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