第96話 B連打するわんちゃん
「え・・・?なんだって?」
決して難聴系主人公という訳ではないが、俺はニアの言った言葉が信じられずに聞き直す。
「お主、進化が出来るのじゃ」
しかしニアの言った言葉は変わらず、それが本当だと俺に教えてくれた。
「おぉ・・・そこまで進化の為に魔物を倒した記憶もないが、出来ちゃうのか進化!」
「前に進化したのがいつかは解らぬので何とも言えんのじゃが、小物も倒しておったし妾の修行も受けた、なので進化が出来るようになったんじゃないかや?」
「成程・・・」
前に進化したのがクイーンアントのダンジョンへ行く前だったので、そこからの行動を思い返すと確かに納得もできた。
「うむ。そして一狼、妾は前にステータスを見るのは禁止だと言ったが、今はそれを許すのじゃ。転生者はそうでないと都合が悪いのであろ?」
「ああ」
進化特典を選んだりもするので、俺はニアの言った事に頷き肯定すると、早速ステータスをチェックする事にした。
久しぶりに見るのでワクワクしつつ、俺はステータスを開く。
名前:一狼
種族:ブラックドッグ
年齢:0
レベル:25(24↑)≪進化可能≫
str:858(482↑)
vit:698(246↑)
agi:929(486↑)
dex:651(353↑)
int:842(478↑)
luk:568(355↑)
スキル:雄たけび 咬みつき ひっかき 鑑定 氷魔法 念話 守護の壁
火魔法 集中 調理 統率 教練 黒風 レモンの入れもん
魔導の心得 索敵 隠蔽
ユニークスキル:ワンチャン 神つっこみ
称号:元最弱犬 転生者 ダンジョン1階層突破 特殊進化体 群れの長
軟派者
「おおぉ・・・ぉぉお?」
一部「ん?」と思う所はあるものの、思わず唸ってしまう程の超強化だった。
ステータス値は進化直後と比べて約2倍程の上昇を見せ、スキルも『魔力操作』がランクアップしたのか『魔導の心得』というスキルに変わっていた。
「妾が見た時には既に中途半端に強くなっておったのじゃが、一狼からするとかなり強くなっておるのかや?」
「そうだな・・・ステータスだけで言うと2倍ほどになってる・・・」
「そうかそうか、よかったのじゃ」
おう、と生返事を返し、気になる2つの項目を詳しく見てみる。
『スキル:魔導の心得
・魔力操作に秀でた者が偶に開眼する魔力操作の進化形。
魔導の心得を習得していると魔力の運用に限界が無くなる。 』
ニアにみっちり扱かれたおかげでこのスキルへと進化したのだろう、本当にニア様様だ。
唐突に拝まれ始めて「うん?」と不思議がっているニアをスルーして、俺はもう1つの気になる項目をチェックする。
『称号:軟派者
・異性に対して、口説いたり、ボディータッチ等を繰り返す軟派者に送られる称号。異性に対してクリティカル補正。 』
お・・・おん?
予想はしていたがあんまりな内容に一瞬見た内容を信じられず、俺はもう一度確認をする。
だが内容は変わらず、俺にそのあんまりな内容を突き付けて来る。
(待て待て待て!確かにニアに対してよく美辞麗句を言うが、それのせいなのか!?けどボディータッチは・・・まぁしてると言えばしてるな?)
頭の中で不名誉っぽい称号について考えていると、その思念が漏れていたのかニアから突っ込みを貰う。
「あぁ、称号かや。まぁ妥当なのじゃ。まぁ妾は懐が深い雌故に、それも一狼の個性だと思って許すのじゃ。それにじゃ、そんな称号よりも、『助平』等のモノが出ていない事を喜ぶべきなのじゃ」
「はい・・・」
非常にあれな評価を貰ったが、確かに『称号:ドスケベ』とかないだけ良かったかもしれない。というか、そんな称号あるのだろうか・・・?あるのなら大体の男持ってそうなモノなのだが・・・。
俺は『称号:ドスケベ』が、エロい事に補正があったら面白いなと、そんな馬鹿な事を考えてしまった。
するとその思念はまた漏れていたのか、ニアから「ド助平め・・・」と言われてしまった。
しょうがないじゃないか!!
と、脱線をしてしまったので話を元に戻すとして・・・次は一番大事な項目である、進化について見てみよう。
進化先を見るのは毎回ワクワクするのだが、今回も例にもれず心臓の動きが早くなって来たのを感じながら、俺は≪進化可能≫の項目に注目する。
≪進化可能≫
・現在の進化可能先は 1つ です。
『人
「そおおおぉぉぉおおおいいい!!!」
「「「ごぶっ!?」」」
「っ!?」
「うん?」
俺が急に大声で叫んだので、少し離れた場所で遊んでいたゴブリン達とエペシュ、それと近くにいたニアが何事かと俺を見て来た。
「なっ・・・なんでもなぁぁあいい!」
「「「ごぶごぶ」」」
「そっか」
ゴブリン達とエペシュは何でもないと言うと直ぐに遊びに戻ったのだが、ニアだけは「なんでもないわけないのじゃ」と心配をしてくれたのだが、大丈夫だと言って心を落ち着かせる。
(すーはーすーはー・・・大丈夫大丈夫、見間違え見間違え、最後まで見ていないからセーフ!)
心の中で自分に言い聞かせた後、そういえば今日はユニークスキル使っていなかったなーと思い出し、何でもないけど取りあえず使ってみる事にした。
(まぁあれだし?ワンチャンこれで超進化して俺も竜犬に成ったりするかもだし?一応使ってみるだけだし?)
そう言い訳しながらユニークスキルを発動させた後、大きく一回深呼吸した後、再び≪進化可能≫の項目を見る。
≪進化可能≫
・現在の進化可能先は 1つ です。
『人面犬』
「う・・・うそだぞんだごどおおおおん」
「ん?いまなんじゃって?」
ニアが難聴系主人公みたいな台詞を吐いてきたが、俺はそれどころではなかった。
いや、本当に・・・!
以前よりネタ枠として出てきていた筈の人面犬が、何故かネタ枠ではなく、何故かそれを選べとばかりに1択で出て来たのだ。
(嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ・・・嘘だっ!お前はネタ枠の筈だろっ!?神様がわざと用意して、『うわっ!また出た!こんなん選ばないだろっ!』って俺に毎回言わせる為だけの存在だろっ!?そうだと言ってくれっ!)
俺はブレイクダンスみたいに背中で床をくるくる回るという奇行を行いながら、延々と嘘だぁ!と考えていた。
するとニアは焦れたのか・・・
「一狼よ、何をしておるのじゃ?進化せぬのか?」
と急かしてくる。
しかしそんな事を言われても、流石に人面犬だぞ!?と思った俺は、『今回の進化・・・見送ってもいいんじゃないか?』と、普通ならまずならない考えになっていた。
「いや・・・うーん・・・」
今回は見送ろうかなー、と言おうとした・・・次の瞬間、ニアは「仕方ないのじゃ」と言いつつ魔力を滾らせ始めた。
「一狼は軟派者じゃから中々進化先が決められんのも解るのじゃ。しかし、雄ならばスパッと決めねばならぬ時もあるのじゃ。という事で、妾が強制的に進化させてやるのじゃ」
え・・・?
「さぁ腹をくくるのじゃ。頭の中にいいかも・・・と思う進化先を思い浮かべるだけでよいのじゃ。さぁいくのじゃ!」
ちょ・・・まっ・・・
「妾は望む・・・古来より存在せし偉大なる神よ、今ここにその力を持って彼の存在を次なる可能性へと運びたまえ・・・」
あ・・・あぁぁぁあああぁぁあぁあ
「昇華せよ!新たなる存在へっ!強制進化!」
BBBBBBBBBBBBBB!
キャンセルゥゥゥウウウ!
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
「面白い」「続きが気になる」「え?あれって作者の悪ふざけ枠なんじゃ?」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。
☆や♡をもらえると 一狼が、ごぶ面犬になります。
最近本作を書くことに詰まって来たので、気分転換に新作始めました。そちらも読んでくれれば嬉しいです。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』
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