第69話 のじゃお婆ちゃんとわんちゃん

お詫び:68話が取り下げた覚えはありませんでしたが、取り下げがされてました。

    68話を飛ばしてしまった方にはご迷惑をおかけしました。

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 俺はニアに言われた事が衝撃的で固まってしまった。


 ま・・・、まずい。知られてしまった・・・。・・・ん?まずいのか?


 聞かれた時はまずいと思ったが、よくよく考えれば隠す理由もないような気がする。これでもしもニアが、転生者絶対殺すマンとかだったらアウトなのだが、別にそうでないのならば教えてしまっても構わない、俺はそう考えニアに聞いてみる事にした。


「(も・・・もしそうだと言ったらニアは俺を殺したりするのか・・・?)」


「いや?せんが?」


 どうやら大丈夫らしい。なので俺はニアの質問に答えることにした。


「(たしかに俺は転生者だ。犬みたいな魔物の神様に転生させてもらった)」


「うむ。まぁステータスにも出ておるしの」


 最初からバレバレじゃないか・・・。まぁいい、気を取り直して話の続きを聞くとしよう。


「(で・・・、それが俺を助けた理由になるのか?)」


「うむ。妾は神が遣わせし転生者を観察しておるのじゃ。そして小物よりお主の方が観察対象として良いと思った、それが理由なのじゃ」


「(観察・・・。それはあの神様か誰かに言われてか?何かあったら報告したりするのか?)」


「いや?ただの趣味じゃが?」


「(あ、はい)」


 俺は一気に体の力が抜ける気がした。いや、実際に抜けたのか座り込んでしまった。

 だって、まさかニアの様な強大な力を持った魔物が転生者を観察してるって言うんだぜ?普通何かあると思うじゃん!?でもそれがただの趣味だったなんて・・・。


「(因みになんだがニア、何でそんな事を趣味にしてるんだ・・・?)」


 俺はもう大丈夫だと思って世間話的なノリで話す事にした。とりあえず不思議な趣味のきっかけを聞いて見る。


「ん~?何でとな・・・。そういえば何で趣味にしたんだったかの・・・。始めたのが昔過ぎてな・・・ちと待つのじゃ」


 忘れるほど昔なのか・・・?っていうかニアって話し方の感じからもなんとなく思ったんだが・・・、もしかしてお婆ちゃん?

 そんな事が頭の片隅によぎったが、もしそれで怒らせでもしたらたまったものではないので黙っておくことにした。暫くすると、ようやく思い出したのかニアが話し始める。


「思い出したのじゃ。あれはそうじゃな・・・今から5000年程前かの?妾がまだ童くらいの頃の話じゃ」


 何気に歳が大体わかってしまった・・・。5000歳くらいか・・・。長生きだな!?


「その頃に妾は一度彼の神を見たことがあっての。あれは衝撃的じゃった・・・。今でもよく覚えておるのじゃ・・・」


「(あの優しそうなわんこ神様が衝撃的・・・?)」


 俺は不思議に思い聞いてしまったのだが、ニアも不思議そうに聞いてきた。


「優しそう?あの破壊を体現したような彼の神がか・・・?いやでも確かに、童と小物の戦いでチラッと見えた神は昔見たイメージと少し違ったのじゃ。なんでなのじゃ?」


「(いや・・・俺に言われても・・・。まぁそれだけ長い時間があったら変わるとかなんじゃないのか?)」


「そうじゃろうか・・・?じゃが確かに小物から聞いた話でもそんな感じじゃったかのお?」


 ニアは昔自分が見た神様と、俺達が接したことのある神様とのギャップを不思議がっていた。もしかするとどちらかの姿は演技だとか、どちらの姿も本当だとかなのかもしれないが、俺にはその事は解らない。

 しかし俺が接した方が演技だとしたら・・・。

 俺は少し怖い想像をしたが、あの人の好さそうな神様、いやわんこ様だしそれはないかと考えるのを止めた。


「(あーっと、それでニアが小さいころに見た神様が衝撃的でどうしたんだ?)」


「うーむ・・・。む?おお、それでの、妾は暫くして彼の神が遣わしたという転生者に会っての?その時暇じゃったから観察していたのじゃが・・・。存外面白くての?」


「(面白い・・・?)」


「うむ。今の世で言う絵巻物か?童達転生者風に言うと・・・漫画じゃったか?そのような感じでの。見ていて面白かったのじゃ」


 長命かつ超越的存在の娯楽的な感じだろうか?なんだっけ・・・暇を持て余した超人の遊び?


「特にこう、弱き存在だったのが強くなっていくのが面白くての、そういう奴を好んでみておるのじゃ」


「(へぇ?でもそれだと何で長谷川はダメだったんだ?別にあいつの下衆さは気にならなかったんだろう?)」


 俺はニアが少し前に言った事を思い出し聞いて見た。ニアは長谷川の下衆さは気にしないと言っていたし、強くなっていくと言うのならあいつのユニークスキルは最適だったんじゃないのか?


「うむ。小物の性格は今まで見て来た転生者達にも似た様なのがおったしの、それはいい。あやつのダメな点は・・・あやつはあのまま行くと崩壊していきそうだったのじゃ」


「(崩壊・・・?)」


 何やら物騒な話が聞こえて来た。聞いておいた方がいいかもと思い、ニアに話の続きを促す。


「(それ、ちょっと詳しく聞きたいんだがいいか?)」


「よいぞ。ただこれは妾が長年転生者を観察してきた上での推察じゃ。それでもよいか?」


「(ああ、たのむ超絶賢く美しい才色兼備のニア様)」


「仕方ない童じゃのお、ほれ、この果物でも食べながら聞くが良いのじゃ」


 ニアはどこぞのお婆ちゃんみたいな感じで飴じゃなく果物を渡してきた。どこの世界でもお婆ちゃんはこんな感じなのか・・・?


「おほん。それでは話してやるのじゃ。何故あやつが崩壊していきそうだったか・・・。それはじゃな・・・ずばり食べ過ぎなのじゃ」


「(うん・・・?)」


 どういうこと?


「あやつのユニークスキルを知っておるかや?」


「(確か・・・、『捕食』とか言ってたか?能力を奪えるとか言ってたな)」


「うむ。それで間違いないのじゃ。そして妾の言った食べ過ぎとはその名称にかけて解りやすくいっただけなのじゃ。詳しく言うとじゃな、神に与えられし強力な力であるユニークスキル、これを身に取り込みすぎたのじゃ」


「(えっ・・・!?ま・・・まさかユニークスキルって複数持つと危険なのか・・・?)」


 俺は自分のステータスをチラっとみてニアに聞いた。確かにユニークスキルは強力なモノだろうが、まさかそんな副作用があるだなんて!?

 ニアは焦る俺を落ち着かせる様に、優しい声で答えてくれた。


「安心せい童、お主のユニークスキルは自分で獲得したものじゃろ?なら大丈夫じゃ」


「(そ・・・そうなのか?)」


「うむ。自分で獲得する分には大丈夫なはずなのじゃ。でないと神が与えんはずなのじゃ。・・・多分」


「(た・・・多分!?)」


「直接聞いたわけではないから多分なのじゃ。まぁ話を続けるのじゃ。まず前提として、魂と言うモノが妾達にはある。それは個人個人すべて異なった形を持つ器の様なものであり、当然力の許容限界も違う。それなのにユニークスキルの『捕食』は、容量が決まっている器にドンドンと力を乗せていってしまうのじゃ。するとどうなると思う?」


「(器が・・・魂が壊れる?つまり食べ過ぎとはそういう事なのか?)」


「うむ、その通りじゃ。賢い子は良い子じゃ」


 ニアは俺に近づいてきて、前足で頭をポンポンとしてきた。

 しかし、そんな事実があったのか・・・。ためになるな・・・。・・・ん?待てよ?


「(なあニア?個人個人力の許容量が違うって言ったけど、それってユニークスキルだけの事を言ってるんじゃなくて、ステータス的な強さの事も言ってる?)」


「そうじゃが?」


 ニアは軽く言ってきたが俺には大問題だった。つまり俺の魂の器次第では、俺は余り強くなれないかもしれない!

 それでは最強になって大事なモノを守ると誓ったのに、前提から崩れてしまう!


「(な・・・なぁニア!その力の許容量ってのはわかったりしないのか!?魔法を使って調べたりとか!)」


 俺はニアにすがり付くように抱き着き質問した。ニアならそういう事も出来るんじゃないかと思ったのだ。


「童、積極的なのは嫌いじゃないがまだ早いのじゃ・・・」


 ニアは何か変な事を言ってきたが今の俺は余裕が無く、ついつい口が悪くなってしまった。


「(うっせぇ婆!そんな事は良いから教えろっ!)」


「なんじゃと・・・?」


 つい俺が暴言を言ってしまったのだが、その瞬間一気に周りの空気が重くなった気がした。

 まずいと思い、慌てて謝る。


「(す・・・すまん、いやすいませんニア様。でもそれほど切羽詰まった質問なんです!これほど切羽詰まってなければお美しく優しいニア様にそんな事いう訳ないです!)」


「・・・」


 ど・・・どうだ・・・?だめなのか・・・?


「仕方のない童じゃの。まぁ童の言う事に一々目くじら立ててもいかんのじゃ。じゃがの童、雌には常に優しく振る舞うのがイイ雄というモノじゃ。わかったかや?」


「(はい!解りましたニアお姉さま!)」


「うむ。よい子じゃ童」


 ニアは再び俺の頭をポンポンとした。どうやら助かったようだ。

 まぁ確かに暴言はよくないよな、うん。気を付けよう。こうして反省した俺は再びニアへと質問をすることにした。


「(そ・・・それでニアお姉さま!力の許容量が解る魔法はあったりしませんか?)」


「あるわけないのじゃ」


 ば・・・婆!・・・はっ!イカンイカン。決してニアが悪いわけじゃないんだ・・・。でもやっぱりつr・・・。


「じゃが、妾の勘でよいなら教えるのじゃ。たぶん大体合うはずなのじゃ」


 言えたじゃねぇか!


「(それでもいい!教えてくれ!)」


「そうじゃの・・・どれ・・・」


 ニアはそういうと俺から少し離れ、俺の全体像をジーッと見て来た。俺はその間、死刑宣告でも待つかのような気持ちでいた。そして暫く経ち、ようやくニアが口を開いた。


「妾の勘じゃが・・・恐らく・・・」


「(お・・・おそらく・・・?)」


「・・・」


「(・・・!)」


 ニアは目を瞑って上を向き、やけに答えを言うの溜めた。早く答えが聞きたい俺は焦れてきてしまう。まさか前世のクイズ番組的な焦らしなのだろうか・・・?


「恐らく・・・」


「(恐らく・・・?)」


「それは・・・」


「(そ・・・それはっ!?)」


 は・・・はやく言ってくれ!俺は強くなれるのか!?なれないのか!?


 ニアはゆっくりと目を開け、上に向けていた顔を俺に合わせて来る。


「(ゴクリッ・・・)」


「わからんのじゃ」


「(あれだけ溜めてそれかぁぁぁあああ!この!・・・っ!あああああ!)」


 俺は再び暴言を吐きかけたが思いとどまった。再びあのような空気を味わうのは御免だ。しかしこれはあまりにも・・・!


「(あぁぁぁああああ!!)」


「すまんのじゃ。妾にも童の事はよう読めぬのじゃ。しかしこれから長くなるかもしれぬ付き合いじゃ。その内わかるのじゃ」


「(あぁぁぁああああ???え?なんだって?)」


「うん?これから先は暫く一緒にすごすのじゃ?じゃからその内解ったらおしえるのじゃ?」



 何やらおかしな展開になりそうなんですが!?たすけてごぶ助!



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 作者より:読んでいただきありがとうございます。

 頑張っていきますので応援よろしくおねがいします。

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 『女の子になったと思ったら霊が見えるようになった話』 ※一応ホラーです。

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 お詫び:過去の話の誤字等をちょこちょこ直すかもしれません。ご迷惑おかけします。

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