第47話 ボス戦のわんちゃん

 俺は今猛烈に殺意が沸いている。何かに目覚めそうだ・・・。

 その殺意の原因は、「シャーーーッハッハッハ!」と目の前で高笑いしているとても大きな蛇にある。



 名前:ブラド

 種族:ブラッドヴァイパー

 年齢:-

 レベル:8

 str:252+100

 vit:217+100

 agi:303+100

 dex:282+100

 int:106+100

 luk:82+100

 スキル:巻き付き 毒攻撃 吸血

 ユニークスキル:

 称号:迷宮『スネーク』の守護者



 コイツ絶許ブッ殺!と殺意を溢れさせながら鑑定すると、この迷宮の守護者らしい。それが解って少しだけ冷静になれた。

 俺は声を出さない様に意識して、ごぶ助に念話を送る。・・・ちなみに俺は無意識で念話を使うと、口からはワンワンと声が出るのだ。


(ごぶ助、喋るとバレルかも知れないから、わかったら首を振るだけでいいから聞いてくれ。この目の前のデカい蛇がこのダンジョンの『守護者』だ。コイツさえ倒せばこのダンジョンはクリアしたも同然になるはずだ)


 ごぶ助は俺の方を見て頷いた。俺はごぶ助に『守護者』のステータスも伝える。


(今伝えたのがこいつのステータスだ。『守護者』の恩恵でステータスがブーストされていなかったら、ごぶ助だけでも勝てるくらいだな。まあ今の状態なら二人で戦うべきだがな。で、作戦なんだが、この間抜けが俺達に気付かないうちに、先制攻撃でこいつの動きを封じる様に魔法を使う。その後俺は魔法を維持してガッチガチにこいつの動きを封じ込めるから、ごぶ助はこいつをタコ殴りにしてくれ)


 俺はステータスから見るにこいつは物理型だと判断した。なので奇襲で動きを封じ込めて一方的にぼっこぼこにする作戦を取ることにした。

 俺は最初に、コイツは絶対に許さず蒲焼にして食ってやると誓ったのだ!卑怯卑劣だとか言われても知らぬ!

 因みにだが、恐らくそんな卑怯な戦法をとらず、ガチで戦っても多分二人でなら勝てると思う。なぜなら、俺達もレベリングによって少し強くなっていたからだ。



 名前:一狼

 種族:狛犬

 年齢:0

 レベル:18(6↑)

 str:264(48↑)

 vit:360(67↑)

 agi:309(72↑)

 dex:213(42↑)

 int:255(54↑)

 luk:138(30↑)

 スキル:雄たけび 咬みつき ひっかき 鑑定 氷魔法 念話 守護の壁

     火魔法 集中 魔力操作 調理 統率 教練

 ユニークスキル:ワンチャン 

 称号:元最弱犬 転生者 ダンジョン1階層突破 特殊進化体 群れの長


 名前:ごぶ助

 種族:ホブゴブリン・覇種

 年齢:3

 レベル:11(1↑)

 str:377(20↑)

 vit:324(15↑)

 agi:345(18↑)

 dex:263(12↑)

 int:172(10↑)

 luk:317(12↑)

 スキル:パワーアタック 剣術 アイテムボックス 一点集中 調合 武具同調

 ユニークスキル:覇王

 称号:ダンジョン1階層突破 特殊進化体 世界樹の同調者

    迷宮『ポンコ』の守護者



 更に俺が『統率』というスキルを使うと、俺達の連携が上がり、また少しだけだがごぶ助にバフもつくので大丈夫だと思われる。

 俺達が作戦を練り行動に移そうかとしていると、デカ蛇が目の前にいるであろう手下に命令を下した。


「シャーッハッハ!それで今はどうなっている?早速ご自慢の攻略法とやらを試しているのか?何?解らない?ならさっさと確認して来い!そして考え出した攻略法が通じなくて泣きを入れているところも早く確認してくるんだぁ!シャーッハッハ!」


 コイツ クウ ゼッタイ・・・おっと、冷静になれ俺。急いては事を仕損じるだ。

 デカ蛇に命令された手下が何処かへ行く気配を感じるまで待つことにした。なるべくなら邪魔が入らない方がいいからだ。

 やがて、部屋の中の気配は目の前のデカ蛇だけとなった。

 さぁ~て、ボッコボコタイムの始まりだぁ!


 俺はイメージする。目を瞑り、集中して、強くイメージする。目の前の蛇が凍りつき、身動き一つできない様を・・・。


 俺は静かに目を開け、頭の中で強くイメージした事を現実に描写した。すると、一瞬にしてデカい蛇の体に霜が張り、やがて尻尾の先から頭の近くまでが氷に覆われた。

 そしていきなり氷に覆われたデカい蛇『ブラド』は、唯一氷に覆われていない頭、その顔を驚愕の表情に変化させ叫んだ。


「シャッ!?な・・・なんだこりゃぁぁあ!?俺様の体が動かねぇし、サミィィイイイ!どうなってやがる!?」


 俺はニコニコしながらこの部屋に通じる通路を凍らせて、邪魔が入らない様にする。そしてやさ~しくブラドに話しかけた。


「(こぉ~んにちはぁ~、ブ・ラ・ドくぅん。間抜けじゃない侵入者の俺が笑顔で君の前にやってきたよぉ~?)」


 俺はそんな事を言い、ごぶ助と一緒にブラドの正面に回った。

 ・・・別にブラドが言っていた事は気にしてないよ?ホントダヨ?

 ブラドは正面に回ってきた俺に気付き声を荒げて喋り出した。


「シャッ!?何だとテメェ?侵入者だと?寒くて動けねぇのもテメェの仕業かっ!」


 ブラドは何とか動こうと、もがきながら俺を睨み付けてきた。そんなブラドに俺は相変わらず笑顔でこう言った。


「(そうだよブラド君。君はまんまと背後にいる俺達に気付かずに、間抜けにも魔法で拘束されたのさ。ねぇねぇ?今どんな気持ち?間抜けだと嘲笑っていた俺にいい様にやられて、どんな気持ちぃ!?ねぇねぇ!?)」



 ブラドの言っていた事は気にしていないと言ったな。あれは嘘だ。



「ああん!?うるせぇよ、さっさとこれを止めやがれ!そしたらその、俺は迷路の攻略法を知っているぜ楽勝楽勝、とか抜けたことを言っていた間抜け面を潰してやる!だからさっさと俺にやってることを止めやがれっ!」


「(ホッホッホ・・・。面白い事をいいますねぇブラドくん。ごぶ助さん、ブラド君をお殴りあそばされて、そのお体をやわらか~くしてあげなさい)」


「ご・・・ごぶ?」


「(つまり・・・、ボッコボコにして挽肉にしてやれって言ってんだよぉぉぉおお!)」



 俺はプッツン来とるんじゃぁぁぁ!だぁ~れの顔が間抜けじゃこらぁ~~!



 ごぶ助は俺が叫ぶと一つ頷きブラドに向かって走り出した。やがてブラドの体にたどり着くと、とぐろを巻いて段になっているブラドの体を軽快にジャンプしながら登り、頭上に踊りでる。


「シャッ!?なんじゃテメェは!このっ!」


 ブラドは目の前に来たごぶ助に咬みつこうとするが、俺が継続して魔力を注ぎ込みガッチガチに固めているので身動きできずに顔を顰めていた。

 そんなブラドの頭に向かってごぶ助が棒を振り上げた。


「ごぶっ!食らうごぶ!『武具同調』『パワーアタック』」


 ごぶ助は飛びながら2つのスキルを使い、攻撃力を強化して棒を振り下ろした。『武具同調』により得も言われぬ圧を放ち、更にパワーアタックによる光を放つ『ごぶ助カリバー』がブラドの頭に直撃した。


「グゴッ!?」


 ごぶ助の攻撃がまともにはいったブラドはくぐもった声を上げた。やはり『守護者』だけあって一撃では沈まなかったようだ。しかし・・・。


「(っしゃぁ!いいぞごぶ助!もっとやってしまえ!タコ殴りじゃあああ!)」


「ご・・・ごぶ!ごーぶごぶごぶごぶごぶごぶ!」


「ぐがっ!あがっ!うぺっ!や・・・やめぇえうぺぇぇえ」


 俺はごぶ助に追撃を指示する。ごぶ助はそれを受けて、棒を縦横無尽に振り回してブラドの頭を殴り回した。


「(いいぞ!もっと叩いて柔らかいお肉にしてしまえ!そしたら捌いて蛇の蒲焼にしてくったらぁ!)」


「ごぶ!お肉ごぶううう!」


 お肉と聞いてごぶ助が更にヒートアップ、殴るペースを速めて猛連打した。そしてその結果・・・。


「ァゥァ・・・」


「ごぶ?消えたごぶ」


「(ん?あー、倒したっぽいな!まぁあれだけ一方的に連打されればそうなるよな!はーっはっは!俺達の華麗な戦術に倒されやがってブラドめ!つまり間抜けはお前ってことでいいよな!?あー、もう答えれないか!!ふぅ・・・心が清々したわ)」


 ごぶ助にタコ殴りにされて消えたブラドを見て、俺は賢者タイムになっていた。今なら何でも許せるな。


「ごぶ?あいつ何も落とさなかったごぶ」


「(ん?あぁ、まぁ少し惜しいがいいさ。ダンジョンコアだけとって帰るとしようか)」


 ブラドはドロップアイテムを落とさなかったみたいだ。散々出た肉を食ってやるとか言っていたが、前述の通り俺はまさに今賢者だ。許そう。

 お肉が・・・と少し未練があるごぶ助を引き連れて、部屋を調べる。すると通路を二つ見つけた。


「(んー、片方は手下が向かった方かな?そっちに侵入者を監視出来る何かがあるのかもしれないな。だからまずはそっちを確認してみよう)」


 俺は確認すると決めた方の封鎖を解く事を決め、未だに魔法で塞がれている通路を通れるようにした。

 そしてその通路を進んで行くと、やがて石造りの部屋へたどり着いた。



 その部屋の中央には、俺達が見たことのある丸い球が、台座の上で光を放っていた。



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