第44話 作戦会議とわんちゃん
森に当たる日は消えかけ、夕暮れの紅い光りで染まっていた。そんな森に10匹ほどの犬がいた。正確には、1匹の犬と10人のコボルトである。
「(おし、もう暗くなり始めたし急いで帰ろう!)」
「がるる、了解がるボス!お前ら!素早く撤収がる!」
「わう!撤収わう!」
「「「「がう!」」」」
俺達は結局日が暮れるまで狩りを続けた。荷物入れに持ってきた9人分の背負いかごはパンパンになっていた。大漁である。
「(今日の戦果は上々、肉も一杯取れたから腹いっぱい食えるぞ!だから急いで帰るぞっ!)」
「「「「がう!肉!がう!」」」」
俺が、今日は肉パーティーだと言うと、心なしか走るスピードが速くなった気がする。解らんでもないが、荷物をおとすなよ!
そして俺達は今日1番のスピードを出し、ダンジョンへ帰りついた。さすがだぜ肉パワー。
ダンジョンの入口付近には、防衛組が待っていた。俺達が帰還の挨拶をすると、防衛組はお帰りなさいご苦労様、と労ってくれた。
「(ただいまごぶ助。そっちはどうだった?やっぱり敵の魔物は来たか?)」
「ごぶごぶ、来たごぶ。でも弱い蛇ばっかりだったごぶ。」
「(そっか、まぁこっちも弱い蛇ばっかりだったわ。戦利品は大量に取れたけどな!ってことで肉パーティーと行こうぜ!あ、ご飯が終わったら、後で一度ポンコを交えて作戦会議をしよう)」
俺はごぶ助を見つけ声をかけたのだが、肉パーティーしようぜ!と俺の声を聞いたごぶ助はテンションがすごく上がり、食材置き場に走って行ってしまった。肉パーティー以降の会話はちゃんと聞こえていたのだろうか・・・?
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「(よぉーし!今日の肉パーティーは終わりだー!各自明日に備えて寝とけよー?)」
大漁だった戦果で肉パーティーを開催したが、あっと言う間に終わってしまった。楽しい時間は過ぎるのが早いな。
俺は終了の合図を出し、明日に備える様に注意した。そして作戦会議をしようと思っていたのでごぶ助を探す。
「(あ、いた。おーいごぶ助!作戦会議するぞー!)」
「ごぶ・・・?」
ごぶ助に声をかけたが、ごぶ助はお腹をパンパンにして眠そうな顔で蕩けていた。
・・・コイツやっぱり俺の話は半分聞いていなかったな!?
「(だから作戦会議だって!ほら行くぞっ!)」
「ご・・・ごぶ、わかったごぶ。歩くごぶ」
俺はだらけたごぶ助を無理矢理引きずっていった。
もう!この子は本当に仕方ないんだからっ!って俺はオカンか!
そんなセルフノリツッコミをかましつつポンコの元へ転移、ダンジョン最奥のポンコルームに着いた。
「(ポンコただいまー。ちょっと作戦会議しようぜー)」
(はイ、オかえりナサイ。作戦会議でスカ?解りマしタ)
「わう!ただいまわう!さくせんかいぎわう!」
「(おわっ!?ニコいつの間にいたんだ・・・)」
全く気付かなかったが、何時の間にか背中の上にはニコがいた。最近はニコを背中に乗せることが多かったから、それが普通に感じて気づかなかったわ!
まぁ邪魔さえしなかったらいいか、と考えて、俺に引きずられて頭が覚醒したごぶ助を交えて作戦会議を始めることにした。
「(さて、まずはそうだなぁ・・・。ポンコ、敵が放ってくる魔物の数って無制限なのか?放っておいたら取り返しが付かなくなったりする?)」
まず俺は、話のキモとなりそうな事を聞いてみる。この答えによっては少し動きも変わってくるだろう。
(いいエ、無制限ニ魔物を生成すル事は出来マせン。タだ、元々迷宮内デ生成シてあった分ト追加デ生成出来ル分、こレを合わセると数自体ハ多いト思われマス)
「(なるほど・・・じゃあ、魔物の強さはどうだ?時間をかければミノタウロス級のヤバい奴を量産できたりするのか?)」
(いいエ、恐ラく出来マせン。こレマでの情報カら導き出シた答えニよるト、時間をカけてモ『石蛇女』クラスが最高だト思われマス)
「(そうか・・・ふむふむ)」
「わうわう、ふむふむわう」
俺の真似をして頷いているニコは放っておいてだ、なるほどな。
俺はポンコが教えてくれた情報で、これからの行動案を大体決めた。その案をごぶ助とポンコに相談することにした。
「(考えたんだが、しばらくは敵の数を削る為と、うちの戦力をアップさせる為に、敵のダンジョンに攻めこまず狩りを続けるってのはどうだ?)」
「わう、どうだわう」
「ごぶ、いいと思うごぶ。毎日肉パーティーごぶ」
(はイ、いい案カと思われマス。相手方ノ戦力を削ルのは有効デス。更に言エば、相手の魔物ノ数を削リ、取得シた魔石をポンコに与えてイタだけレば尚良しデス)
一応了承をもらえた。肉パーティーも許す。しかし、ポンコが最後に魔石をくれと言ったが一体?
「(んじゃあこの作戦で進めてみるか。んでポンコ、魔石がほしいのか?)」
(はイ、魔石はほしいデス。与エていただケレば、多少龍脈接続強度が戻りマス。ポンコのご飯トいった所デス。ポンコニもご飯をくだサイ)
まぁ、うん。ポンコのご飯ね?なるほど?
何となく釈然としないが龍脈の接続が少しでも戻るらしいので、ポンコにもご飯を上げることにする。早速ごぶ助のアイテムボックスにある分を上げたら喜んでいた。
「(一杯お食べ?まぁ作戦会議はこんなものかなぁ?)」
(はイ、あリがトウございマス。そシて一点確認事項ガありマス。戦力の増強を目指シておらレマすよネ?ニコ様が戦力アップでキそうですヨ?)
「(んぁ?ニコが?)」
「わう?」
こんなものかなーと作戦会議を締めようとしたら、ポンコがそう言ってきた。まさかと思いニコに鑑定をかける。
名前:
種族:ベビーコボルト
年齢:0
レベル:10(9↑)≪進化可能≫
str:41(18↑)
vit:35(16↑)
agi:45(18↑)
dex:36(15↑)
int:19(9↑)
luk:34(9↑)
スキル:
ユニークスキル:
称号:
「(おお!ニコ!進化ができるぞっ!)」
「わう?」
ニコのステータスを確認したところ、進化が可能になっていた!それをニコに伝えたがよくわかっていないみたいだった。
何故か嬉しくなった俺はテンション高くニコに、進化について説明した。
「わう!わかったわう!わうわう・・・わう!」
俺の説明をわかってくれたのか、ニコは考え込むように目を瞑った。そして眉間にしわを寄せて力をいれていたが、やがてニコの体がカッと光った。
「(おぉー、進化おめでとう!)」
「ごぶ!おめでとうごぶ!」
(ニコ様、初進化おメでトウございマス)
「わう?・・・わう!ありがとわう!」
俺達は無事進化したニコを祝う。ニコも初進化で少し戸惑っていたが、やがて本能的に進化したことを悟ったのか笑顔になり、お礼をいってきた。
どれどれ、どんなものになったのかな?『鑑定』っと。
名前:
種族:コボルト・亜種
年齢:0
レベル:1
str:75(34↑)
vit:58(23↑)
agi:80(35↑)
dex:69(33↑)
int:40(21↑)
luk:47(13↑)
スキル:補助魔法
ユニークスキル:
称号:
「(つっよっ!?流石に強すぎへんか?うそやろ?)」
「わう?」
ステータスを鑑定して思わず声が出た。
思わず、何故か関西弁になってもうたわ!いやでも、本当に強すぎでは?パパンを余裕で超えるぞこれ。しかも普通のコボルトでなく亜種。さらに魔法も使えると言うチートぶり。うそやん。
俺が吃驚してポカーンとしている横で、ニコは強くなって体が軽くなったからかはしゃいで走りまわり、ごぶ助がそれを追う形で追いかけっこをしていた。
「(はっ!?あまりのことに口が開きっぱなしの間抜け面してたわ・・・。おーい、とりあえず他のコボルト達にも知らせてやろうぜー?)」
追いかけっこをしている二人に声をかけると、二人とも俺の所へ走ってきた。
「わう!パパとママに言うわう!」
「ごぶごぶ、お祝いごぶ」
「(そうだな、皆に言ってお祝いしてもらおうか)」
俺はポンコに一声かけ、二人と共にコボルト達の元へ転移した。その後、コボルト達にニコの進化を報告したら、皆は自分の事の様に喜び祝ってくれた。
特に両親の喜びはすごく、パパンがニコに強めのハグをかまして若干嫌がられていた。まぁ見た感じ殺人ベアーハグみたいだったしな。
そんなお祝いムードは夜明けまで続き、翌日は全員寝坊した。
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
合計2000PV達成できました!PVの波がすごいんじゃぁ!
しかしすごい事です!これも話を読んでくれる皆様のおかげです!ありがとうございます!この調子でガンガン流行れ!最強ワンチャン物語!
「面白いわポンコ」「続きが読みたわ一狼」「ほんまかごぶ助?」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。
☆や♡をもらえると 作者の頭脳が、子供になります。
※カクヨムコンテストに応募中です。ぜひ応援をよろしくお願いします。
お詫び:名探偵のくだりを少し修正。 2021/12/14
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