第38話 コボルトとわんちゃん

 名前:

 種族:ベビーコボルト

 年齢:0

 レベル:1

 str:23

 vit:19

 agi:27

 dex:21

 int:10

 luk:25

 スキル:

 ユニークスキル:

 称号:



 ごぶ助の見つけたモノは『コボルト』だった。正確にはその幼体の『ベビーコボルト』。


「(ごぶ助・・・まさかこいつ食べるのか・・・?俺、同じ犬系はあんまり食べたくないな・・・)」


「ごぶっ!?食べないごぶ!」


 俺がちょっとコイツ食べるのNGと言うと、どうも違ったらしい。ごぶ助と言えば、「無機物以外は何でも食べちゃうごぶ~。お腹が減ってたら無機物でも食べちゃうごぶ~」って言うと思ってたわ。


「(うん?じゃあ何で呼んだんだ?)」


「ごぶごぶ、怪我してるから助けるごぶ」


 どうやら怪我をした小さなコボルトを見て助けようと思ったらしい。犬好きな俺としても歓迎だ。食料もそこそこ採取できていたので、俺たちは小さなコボルトを連れてダンジョンに帰ることにした。


 ・

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 ・


(お帰リなさイマセ。おヤ、獲物を生きたママ持っテ帰っタのですカ?捌クのなラ部屋の隅デお願いしマスネ?)


 俺たちが帰るとポンコがそんな風に声をかけてきた。

 ・・・、俺と同じ様な事を言うんじゃない。同レベルに見えるだろうが。


「ごぶごぶ、相棒と同じこと言ってるごぶ。獲物じゃないごぶ。怪我して倒れていたから助けるごぶ」


(おヤ、そうデしたカ。失礼しマしタ。しカし一狼様と同じ発言をしタとは嬉しい事でス。お揃イでスネ?)


 俺は嬉しくないが?俺はポンコツじゃないが?・・・ないよな?

 深く考えてはいけないと思い気持ちを切り替える。さて、問題のコボルトなのだがどうしようか。


「(うーん、とりあえず怪我の治療をするべきなんだが・・・。ポンコ、傷薬とか出せるか?)」


(はイ、出せマすヨ。傷薬を生成しマスカ?)


 ポンコの問いかけに、頼むと言いかけたが咄嗟に声を止める。そして逆にポンコに問いかけた。


「(なぁポンコ?傷薬出したら龍脈の接続がやばくなるとかならんよな?)」


(はイ、現在の状態で傷薬を生成スルと龍脈とノ接続は完全に消えマすネ)


「(ダメじゃん・・・。とりあえず傷薬を出すのはやめ!そしてポンコ!龍脈が完全に切れるとヤバそうだから、今後はヤバそうなら事前に申告してくれ!!)」


(はイ、わかりマシタ)


 嫌な予感がしてポンコに質問したが、やっぱり正解だった。今龍脈の接続が完全に切れたらどういうことになるかわからないし、何より切れた後の復帰もできるか解らないからな。なのでもうダメってならない限りは微弱でも接続状態にしておくべきだ。

 そしてあれだな、コイツに何か質問したり行動させたりスル時は気を付けなくては・・・。


「(んー、そうなると外の森へ行って薬草でも摘んでくるか)」


「ごぶ、薬草なら我が取ってアイテムボックスの中に入れてあるごぶ」


 俺が次善策を口にした所、ごぶ助からそんな言葉が返ってきた。

 知らない間にそんな物を取っていたんだな。万が一の備えとか・・・?行動がイケメンすぎるだろ!

 俺がそんな事を考えていたら、ごぶ助はサッサと行動し始めた。


「ごぶ、じゃあ早速薬草使うごぶ」


 ごぶ助はそう言ってアイテムボックスから薬草を出して・・・口に運んだ。そしてそのまま薬草を「クッチャクッチャ」と口の中でかみ砕いた。そして薬草がかみ砕けると、ペッと吐き出してコボルトの体に塗っていった。


「ごぶごぶ・・・。ごぶ、これでいいごぶ」


「(おいおーい、ポンコぉ、ごぶ助をみてくれぇい。ワイルドだるぅおぅ?)」


(はイ?あの方はごぶ助様でスヨ?)


「(そうだな、すまん。忘れてくれ)」


 余りにワイルドな使い方だったから、前世の某有名芸人さんみたいな言葉が出てしまったわ。

 使い方はともかく、薬草の効能のおかげか辛そうな顔をしていた小さなコボルトの顔はましになっていた。後は目が覚めるまでこのままにしておくしかないだろう。


「(ごぶ助、後は目が覚めるまで飯でも食って待っていようぜ)」


「ごぶごぶ、そうするごぶ」


 ごぶ助にそう声をかけ、とりあえず俺たちは飯の準備を始めることにした。


 ・

 ・

 ・


 俺たちが思った以上に難航した食事の準備をなんとか終わらせ、肉を焼き始めて辺りにいい香りが匂いだした頃、気を失っていたコボルトが反応しだした。


「ぐぅ・・・がうぅ・・」


「(んぉ?肉の匂いにでも反応したのか?)」


「ごぶ?」


 そのまま様子を見ているとコボルトの目が開いた。するとコボルトは寝ぼけているのか、目を前足でこすりながら辺りを見回した。少しして頭が覚醒したのか、途端に俺たちを警戒し始めた。


「がう!がうがう!」


「「??」」


 そのコボルトは、小さな体を大きく見せようと頑張りながら俺たちを威嚇している様だった。だがその様はかわいらしく両手を上にあげ、ガウガウと言っているだけだったので、俺たちは威嚇だと思わず、何をしているんだろうと首を傾げていた。


「がう!がううう!」


「(さっぱりわからんな。ポンコわかったりするか?)」


 俺は一応ポンコに聞いてみる。こいつはポンコツだが、一応ダンジョンコアだ。話も念話みたいなものを使って話しているので、もしかしたらコボルトの言葉もわかるのではないかと思ったのだ。


(はイ、わかリマすヨ。ココは何処だ?お前達は誰ダ?近寄ルな、と言ってイマス)


 俺の読みが当たったみたいだ。俺はそのままポンコに通訳をしてもらうことにした。


「(ありがとうポンコ。そのままコボルトに通訳してくれないか?)」


(はイ、わかリマシタ)


「(頼んだ。ではまず、ココはダンジョンで俺は・・・まぁウルフとしておこうか。俺はウルフの一狼、こっちはゴブリンのごぶ助、そんで話してるお前はダンジョンコアのポンコと紹介してくれ。お前が倒れて傷だらけだったから、連れてきて治療しただけ、とも言っておいてくれ)」


 俺がポンコにそう伝える様に言うと、ポンコはコボルトに俺が言った内容を復唱していた。・・・傍から見ているとただ復唱しているように見えるな、不思議だ。

 ポンコの復唱が終わると、コボルトは何故か余計に吠え始めた。


「がう?がううう!がうがう?!ががうがう!?がうがうがううう!がうがう!」


「ごぶ?すごく怒ってるごぶ?」


「(俺もそう見える。ポンコ、なんて言ってるんだ?)」


(はイ、こウ言ってマス。ダんじョン?敵じゃナイカ。そレにウルフとごぶリンだト?嘘をつくナ。お前ノ様な恰好イイウるフがいルカ!?横ノもエルフだロウ!私を食べル気だナ、そうはイくか。だソうデス)


「(格好いいだなんて・・・こいつ良い奴じゃん?)」


「ごぶごぶ、我はエルフではないごぶ。でも我もいい奴だと思うごぶ」


 俺たちはチョロインだった。警戒されてるが褒められてるみたいな感じだったので、ついつい俺たちはいい気になった。

 いい気になった俺たちはこいつを助けてやろうと、ポンコを通じて説得し続けたのだが、相手の警戒心を解くことはできなかった。


「(うーん、だめかぁ?せめて直接話せればもう少しましに説得できるのだが・・・)」


 俺の口からついつい愚痴が出てしまった。と言うのも、どうやら相手はダンジョンを敵と認識しているらしく、そのダンジョン本体ともいえるポンコに話しかけられる事で、より警戒心が煽られている様なのだ。

 なのでそんな言葉がついつい出たのだ。俺は誰に言ったのでもなく呟いたのだが、その言葉を聞いたポンコが、コボルトと直接話せる方法を提示してきた。


(はイ?直接お話しニなりタイのデスカ?出来マスヨ?)


「(え?そんな方法あるの?どうやってやるんだ?)」


 俺は思ってもみなかった言葉に、ポンコへその方法を尋ねた。


(はイ、お教エいたしマス。そノ方法とハ、『眷族化』でス)


「(『眷族化』?手下にするみたいな感じか?)」


 俺はポンコに話を聞くことにした。その間ちょっと待つようにと、ポンコからコボルトへ伝えてもらう。そしてその待っている間、ちょっと考え付いたことがあるので、ごぶ助にある事を頼んだ。

 そうしてポンコに『眷族化』の話を聞いた。それによると、どうも『眷族化』とは名前持ネームドちと呼ばれる、俺やごぶ助みたいな魔物が使えるスキルらしい。このスキルを使うと、使った者との間に繋がりが出来て色々な事が出来るらしい。この色々な事の中に直接話す事が含まれるらしい。

 俺は早速そのスキルの使い方を教えてもらい、少し練習、そしてステータスを確認するとスキルが習得できていた。どうも魔力の運用と似た感じだったので直ぐ憶えれたみたいだ。俺は早速使ってみる事にしようと、コボルトの元へ向かう。

 コボルトの元へ行くと、コボルトは焼いたキノコと木の実を食べていた。俺が近づくと警戒するように唸りだす。


「(ごぶ助ありがとな、言った通りキノコと木の実上げてくれたみたいで)」


「ごぶごぶ」


 俺がごぶ助に頼んだ、待っている間に頼んだ事とはキノコと木の実をコボルトにあげる事だった。とりあえず食べ物を渡して懐柔する狙いだ。


「(じゃあ教えてもらった方法を試してみるわ。ほーらこわくないぞー?)」


「がうがう!!がう、ががう!」


 暴れるコボルトを捕まえて『眷族化』のスキルを使う。すると俺から何かがコボルトの方に伸びて、コボルトに繋がろうとする。だが・・・。


『バチッ』


「(うわっと・・・、無理矢理はやっぱり無理か)」


「がぐぅぅうう!」


 俺から伸びた繋がりみたいなものはコボルトに弾かれた。『眷族化』スキル失敗だ。だがこれはポンコからも聞いていたのでなんとなく予想出来ていた。

 ポンコ曰く、無理矢理このスキルを使っても失敗するらしい。この『眷族化』は双方が望まなければ、ほぼ失敗するとの事。


「(っふ、だがこれならどうだ?ごぶ助!肉を出してくれっ!)」


「ごぶ、これでいいごぶ?」


「(おう!ありがとな!・・・ほ~れ肉だぞ~)」


「がうっ!?」


 ココで俺はちょっと前に思いついた事を実行した。その名も「肉作戦」!この作戦でする事は名前の通りだ。そう、肉をあげるだけ。


「(ほ~らほらぁ、焼いたお肉ですよぉ~)」


「が・・・がうぅ!・・・あぅぅ~ん」


 バカめっ!!かかりおってっ!!

 コボルトはフラフラと肉に近寄ってきた。その目は肉にロックオンだ。

 俺は手下にすると聞いてこんな事を思った。手下にするには好感度を稼ぐべし、つまり美味しいものを与えればいい。

 なので飴と鞭ではないが、まずはごぶ助にキノコと木の実という肉食系には微妙な物を食わせ、後から俺が肉を与えて好感度を爆上げさせる、このような事を考えた。


「あうぅぅ~ん・・・」


 効果は見てのとおり、ば つ ぐ ん だ !


「(ほら、肉を食え。ほれほれ)」


「あぅぅん・・・。はぐはぐ」


「(今だっ!『眷族化』!)」


 再び俺から何か繋がりの様なものがコボルトに伸び、今度は弾かれずに繋がった。

 俺はそれを確認し、繋がりから会話がわかる様にイメージして魔力を流し込む。


「(よし、これでどうだっ!・・・コボルト?言葉が解るか?)」


「わう・・・肉・・・うま・・・」


 よし、うまくいったっぽいな。

 俺はそう考えていた。確かにうまくいっただろう。ある意味では。


「わう・・・あ・・・あう・・・」


 しかしある意味失敗なんじゃないか、そう思われる言葉がコボルトから出てきた。



「わう!お肉美味しい!ありがとう!一生ついていく!ダーリン!」



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