第37話 ダンジョンの外とわんちゃん

 少し前に、俺は『最強』になる!(ドーン とか言っていた俺だが、現在は食べれるものを探して森の中をうろついている。 


「ごぶごぶ、獲物はどこごぶ!」


「(そう慌てるなよ、)」


 そう、俺。俺とはダンジョンを出て、森の中で獲物を探している。


「(しかし本当に何なんだ、ポンコってポンコツすぎでは・・・?)」


「ごぶ?」


「(いや、なんでもない)」


 俺はつい愚痴ってしまった言葉を聞かれ、なんでもないと言い返した。

 その愚痴ってしまった事、ポンコなのだが・・・。確かにポンコは『守護者』のデメリットとして、ダンジョンの外に出れなくなる、そう言っていたのだが結果はご覧のとおり。


「ごぶごぶ、キノコ見つけたごぶ」


 ごぶ助はダンジョンの外に出ている。ごぶ助を『守護者』にする時、「復活して外に出られないことを怒ったら、それを甘んじて受け入れる」とか言ってた俺ェ・・・。


「(本当にポンコツゥ・・・)」


 俺は再びポンコの事を言いながら、ごぶ助が外に出られた時の事を思い出した。


 ・

 ・

 ・


「(はは・・・、そうか。じゃあどっちが『最強』になるか勝負だな)」


「ごぶごぶ、勝負ごぶ」


「(ああ!)」


「ごぶ、でもとりあえずご飯は美味しいの食べたいごぶ。だから外で取ってきてほしいごぶ」


「(あ・・・ああ。そうね、うん。わかった。)」


 恰好いい感じで締めたはずなのに、さすがはゴブリンクオリティだ。なんか変に入っていた力が抜けたわ。


「(うっし、じゃあ外に出て森から何か取ってくるわ!)」


「ごぶごぶ、見送るごぶ」


「(おぅ、ありがとな!んじゃちょっと行ってくるわポンコ。帰ってきたら、取ってきたモノを料理して一応登録するからな!登録だけなら龍脈への接続いらないんだろう?)」


(はイ、登録ダけなラ大丈夫デス。いっテらっしゃいマセ)


 気持ちを切り替えて、出かけることにした。ごぶ助が見送ってくれるという事なのでダンジョンの入口まで一緒に転移する。

 そしてダンジョンの入口までたどり着いたとき、そこでごぶ助に声をかける。


「(見送りありがとなごぶ助。美味そうな獲物取ってくるから)」


「ごぶ、頼んだごぶ!お肉頼んだごぶ!」


 ごぶ助にも『守護者』になり、ダンジョンの外には出られないと説明してあった為、俺に向けて素直に「頼んだ」と言ってきた。俺はごぶ助のその頼みを聞いて頷き、ダンジョンの外に出た。

 するとごぶ助が直ぐに声をかけてきた。


「ごぶ、背中にゴミが付いてるごぶ。取れたごぶ」


「(ん?あぁ、ありがと)」


 俺の背中にゴミが付いていたみたいで、ごぶ助はゴミを取ってくれた。ごぶ助はゴミを取った後、ゴミを其処ら辺にポイッと投げ捨ててダンジョンの中に戻って行き、俺に手を振ってきた。


「ごぶごぶ!なるべく早く帰るごぶ。暗くなると危ないごぶ」


「(わかってるって。なるべく早く帰るようにする!・・・ん?)」


 俺は返答しながら、何か不思議な事が起こっていた気がして立ち止まる。そしてそのまま何を不思議に思ったのか考え込んでしまった。そして突然立ち止まった俺に対して、何かあったのか?と心配そうにごぶ助が俺の傍に来て話しかけてきた。


「ごぶ?立ち止まってどうしたごぶ?何かあったごぶ?」


「(あー、いや。何かわからんが不思議なんだ。何かおかしな事があった気がするんだ。でもそれが何かイマイチわからない・・・)」


「ごぶごぶ、おかしな事ごぶ?」


 ごぶ助は辺りをキョロキョロ見渡し始めた。俺もそれにならい辺りを見回し始める。


『森』『木』『ダンジョンの入口』『ダンジョンの外にいるごぶ助』『草』『キノコ』


「(ってごぶ助外に出られてるジャン!!!!)」


「ごぶっ!?あ、本当ごぶ」


 おかしく思った事の正体がわかり俺は叫ぶ。そんな俺の叫びを聞いて、ごぶ助も外に出ていたことを理解したみたいだった。

 俺はいったん外に出ていくのをやめて、ごぶ助を引き連れてポンコの所へ戻った。


「(ポンコォオオオオオ!?一体どういう事ダァァァァアア!?)」


(はイ?何がでス?)


 ポンコのいる部屋へ転移するなり俺は叫んだ!しかしポンコは何の事?と聞き返してくる。

 イカンイカン、一旦冷静になれ。落ち着いて話を聞くんだ。

 冷静になれと自分に言い聞かせ、ポンコにごぶ助が外に出られたことを説明した。


(出らレないト聞いテいタ、そノごぶ助様が外ニ出らレタ、そノ理由をポンコに聞きにキたのデスネ?はイ、お答エしマス)


 俺は混乱しながらポンコの答えを待った。


(はイ、外に出らレた理由は、わかリマせン)


「(ポンコツゥ・・・)」


(いいエ、自分ノ名前はポンコでス)


 安定のポンコツだった。

 ええい!こいつを頼るのが間違いだった!とりあえず自分でわかる範囲で調べてみよう。とりあえずはそうだな・・・ごぶ助を鑑定してみよう。



 名前:ごぶ助

 種族:ホブゴブリン・覇種

 年齢:3

 レベル:10(4↑)

 str:357(88↑)+50

 vit:309(66↑)+50

 agi:327(73↑)+50

 dex:251(50↑)+50

 int:162(39↑)+50

 luk:305(50↑)+50

 スキル:パワーアタック 剣術 アイテムボックス 一点集中 調合 武具同調

 ユニークスキル:覇王

 称号:ダンジョン1階層突破 特殊進化体 世界樹の同調者

    迷宮『ポンコ』の守護者



 ふむふむ、最後にステータスを見た時は名前を付けた時だったな。そこから変わっている点がいくつかあるな。・・・なんかめっちゃ気になる点がいくつかな!

 変わっている点は4つ。

 ・ステータスの後ろのステータスのプラス部分

 ・スキル:武具同調

 ・称号:世界樹の同調者

 ・称号:迷宮『ポンコ』の守護者

 詳しく見ていこう。


 まずステータスのプラス部分、これをポンコツさんにもちょっと話を聞きながら調べた結果、『守護者』の恩恵らしい。龍脈からの補正らしく、龍脈の接続強度が上がると補正も増えるとの事。

 ・・・ほんとにござるかぁ?ポンコツさんの話も混じっているので信用度が・・・。


 とりあえず流して次にいこう。まずはスキルと称号の鑑定結果がこう。


『スキル:武具同調

 ・所持する武具と同調することができる。武具と同調することにより、その武具の性能や特性などを引き出せる。(Lv1)


 称号:世界樹の同調者

 ・世界樹と同調した者。世界樹関連の事に補正。


 称号:迷宮『ポンコ』の守護者

 ・迷宮の守護者。迷宮内にて様々な補正。』


 鑑定結果を見て思った事がある。スキルについてはまぁわかる。問題は称号だ。

 何処から出てきた世界樹・・・!そして迷宮『ポンコ』ってダッサ!!ポンコツダンジョンって自分で宣伝するって恥ずかしっ!

 待て待て、冷静になれ。・・・ふぅ。

 冷静になって見ると色々頭が回ってきた。そして思いあたることがあり、ごぶ助の持っている棒『ごぶ助カリバー』を出してもらい、鑑定をかける。しかし結果は前回鑑定した時と変わらずだった。鑑定レベルが足りないのか・・・?


 その後、ステータスの変わった点の前3つについて、少しだけ調べてみた。ダンジョンの中と外でごぶ助に鑑定をかけたり、『ごぶ助カリバー』に武具同調を使ってもらったり、その状態で鑑定して見たりと色々やってみた。

 その結果で分かったことがいくつかあった。

 ・ステータスのプラス部分はダンジョンの外に行くと消えた。ダンジョン内だけの恩恵らしい。それ以外にステータスで変わった事はなかった。

 ・武具同調してもらい鑑定をかけたが、結果は変わらず。だが武具同調を使った時、『ごぶ助カリバー』からは何か凄み?圧?そんなものを感じた。やはり世界樹の枝なのだろう。


 これらの事がわかった事だ。ちなみにごぶ助がダンジョンの外へ出れたことについては、さっぱりわからなかった。

 まぁわからないことはいつまでも悩んでいられない、そう思ってごぶ助と外に行くことにした。一応ごぶ助には、何か体に異常を感じたらすぐ戻るように、そう約束させた。


 そうして俺たちは二人で森へ食料探しに出て行った。


 ・

 ・

 ・


 これがごぶ助がダンジョンの外に出られた時の事だ。ダンジョンから出た俺たちはせっせと食べられるものを探しているわけさ。


「ごぶごぶ、食べるもの探して、早く『ポンコ』ダンジョンへ帰るごぶ」


「(ごぶ助よ。あそこは『ダンジョン』とだけ呼べばいい。『ポンコ』の部分は忘れるんだ)」


「ごぶ?わかったごぶ?」


 話題に出さなかったダンジョン名『ポンコ』を言われたが、ごぶ助にダンジョン名禁止令を出し、このことは封印することにした。どうにかしてダンジョン名を変えれないか、帰ったらポンコに聞いてみよう。

 そんな事を思いつつ、食料を採取する。すでにキノコや木の実、肉も芋虫とウサギは確保した。

 そろそろいいかなーと思い、ごぶ助に帰ろうと声をかけようとした時、ごぶ助から声がかかる。


「ごぶ!相棒、こっちくるごぶ!」


 ごぶ助が声を張り上げて俺を呼ぶので、何かあったのかと急いで駆けつける。


「(どうした!?何かあったのか?)」


「ごぶ、これ見るごぶ」


 そう言ってごぶ助が指示した先にあったものは・・・。


「ググゥ・・」



 一匹の傷ついて気を失った子犬・・・いや『コボルト』であった。



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