第29話 名前とわんちゃん
イキナリ目の前が光ったものだから、俺たちはソレをもろに見てしまった。
「(メガー!メガァー!)」
「ごぶー!メガァーごぶー!」
俺たちは二人とも目が眩み地面をのたうち回っていた。しばらくのたうち回っていると視力が回復してきたのでヨロヨロと立ち上がる。
「(ぬがぁ・・・ひどい目にあった・・・。ごぶ助!お前が変なことを言って俺の集中を乱すからだぞ!)」
「ごぶ・・・、変な事って何ごぶ・・・?」
「(体の中に入ってくるぅ~!って変なトーンで言ったじゃんかよ!)」
「ごぶ?何が変ごぶ?」
(そうでス、ナニがヘンなのデスカ?)
「(そりゃぁお前、何がって・・・ん?)」
「ごぶ?」
(どうしまシタ?)
何かおかしい何だろう・・・?
「(なあごぶ助、何かおかしくない?)」
「ごぶ?何が変なのかは我が聞いてるごぶ」
(デスヨ?)
「(いやそうじゃなくてだな・・・)」
「「「??」」」
「「「!!!」」」
「(わかった!ごぶ助以外に誰かがしゃべってる!)」
「ごぶ!喋ってるごぶ!」
(誰かが喋ってマス!)
「(いやお前だよ!一体どこに!?っていうかいつの間に!?)」
俺はいつの間にか聞こえる声の主を探して辺りを見回す。一体いつの間にいたのか、そして何処にいるのかと疑問が沸いてくる。疑問を頭の中に抱きながら辺りを探してみるがどこにも姿が見えない。
「(ごぶ助っ気を付けろよ!いつの間にか居たやつだ。やばい奴かもしれん!・・・一体何処にいる!姿を見せろっ!)」
「ごぶ!何処ごぶっ!」
(自分デスカ?自分ならココですヨ?)
「(だからどこだ!?姿がみえないんだよっ!)」
(ココでス。ココ。このまん丸ボディーですヨ)
声の主はココにいるまん丸ボディーだという。ココにあってまん丸ボディー?そんなものここにはあれしか・・・。え?まさか?
俺はまさかと思いそれに向けて声をかける。
「(まさかと思うけど・・・。喋ってるのはお前かダンジョンコア?)」
(ダンジョンコア?・・・ダンジョンコア。はイ、そうでス。自分でス)
「(ダンジョンコアって喋れたのか・・・。まあ喋るっていうか頭の中に直接話してくるみたいな感じだが。これって念話か?それならなんで最初から喋りかけてこなかったんだ?っていうかダンジョンコアならダンジョンの構成をいじったりできるんじゃ?それなら俺たちも地上に戻れるようになるな、そういう風にできるか?)」
(・・・)
俺が喋りかけてきたダンジョンコアに怒涛のように話しかける。だがダンジョンコアはそれに答えを返さなかった。俺はそんなダンジョンコアに呼びかける。
「(おーいダンジョンコア?どうしたー?)」
(ienae@woiwabka@oew9gjiew9a)
「「なんだっ!?」ごぶ!?」
ダンジョンコアは突然壊れた様な声を出す。一体何が起こったのか!?
「(と・・・とりあえず鑑定!)」
『ダンジョン構成部品:コンジョンコア・未成熟(一部破損)
・ダンジョンを構成する為の最重要物であるダンジョンコア。魔素を星の龍脈から取り入れ魔力に変換する機能も持つ。』
鑑定にかけると少し表記が変わっていた。名前の後に未成熟と付き、状態も一部破損と出ている。
俺はその状態をごぶ助に話すことにした。
「(ごぶ助・・・どうやらこのダンジョンコア、状態が未成熟で一部破損しているらしい・・・)」
「ごぶ、つまり壊れてるごぶ?」
どうやらそうらしい。今だに横で言葉にならない言葉を言っているダンジョンコアを見ながら俺たちは様子を見ることにした。
・
・
・
(はイ自分はダンジョンコアでス)
俺たちはダンジョンコアが落ち着くまで様子を見ていた。しばらく経ってもバグった様に音を出し続けているのでご飯を食べて休憩していたら、ようやくバグ音が止まり言葉を返してきた。
「(お、ようやく声が戻ってきたか。それでダンジョンコアよ、大丈夫か?)」
(はイ、自分は正常でダンジョンコアでス)
「(その答えがすでに怪しいんだが・・・)」
俺たちが喋っている横で、ごぶ助は我関せずと食事を続けていた。なので俺がそのままダンジョンコアとの対話を続けることにした。
「(あー、それでだ。今さっきはなにがあったんだ?突然壊れたみたいになったが?)」
(はイ?自分は正常なダンジョンコアですヨ?ボディーもピカピカまん丸でス)
「(だめだこりゃ・・・ポンコツってる・・・)」
本当にだめだこれは!完全にポンコツですわ!
こいつAIに話しかけるみたいにして話しかけたらちょっとはましにならないかな?そう思って前世でよく使われていたワードを使ってみる。
「(Hey ○iri! 今さっき何があったか教えて!)」
(はイ?自分は正常なダンジョンコアですヨ?尻ではありマせン)
まるで出来の悪いAIみたいな答えを返してくるダンジョンコアに対して、俺は神に祈るように天を仰いだ。そうするとわんこ神様がニタリとした笑顔を返した気がしたので、視線をダンジョンコアに向けて現実を見ることにした。
「(あーうん。それでダンジョンコア君?ちゃん?ちょっと聞きたいことがあるんだが)」
(何でしょウ?ちなみに自分に性別はありマせン)
「(あーそうなの。それでだ、まず最初に聞くんだが、何故俺たちが部屋に入ってきた時に喋りかけてこなかったんだ?)」
(何の事ですカ?自分はアナタたチを確認してかラ直ぐに声をカけましたヨ?・・・そもソモ自分が自分とイツ自覚しタんでしょウ?そもソモ自分は一体?自分はダンジョンコア?自分ハiew@@oengbi侵略woei/l@0aw9ew n@iojd,asdj)
「(やべ!また壊れる!Hey ダンジョンコア!何ができるのか教えて!)」
俺は再びバグりそうになったダンジョンコアへ咄嗟に質問を投げかける。するとそれが功を奏したのかダンジョンコアは正常?に戻った。
(ttem/wie] piwklwifi・・・はイ、自分は正常なダンジョンコアでス。何ができルかですネ?まずハ仮登録かラ正規登録をするコトをおすすメしまス)
俺は仮登録なんていつしたんだと首を傾げて考える。だが思い当たることはなく、それなら聞いてみる事にした。
「(仮登録した覚えがないんだが、いつしたんだ?)」
(さア?わかりマせン。だけド2名様分ノ仮登録がさレておりマス)
聞いてみたが結局わからなかった。分からなかったが新たな疑問がでた。
ダンジョンコアは2名分の仮登録がされているといった。おそらく俺とごぶ助なのだろう。つまり魔力を流した二人か・・・。
なんとなく答えが出たところで正規登録するとどうなるか尋ねてみる事にした。
「(仮登録から正規登録に変えると何があるんだ?)」
(はイ、正規登録にいたしマすとココの機能を使えるヨうになりマス)
なるほど、いわゆるダンジョンマスターになるってことか。・・・格好いいじゃないか!
俺はそのダンジョンマスターという響きに少し感動する。最弱だった俺がそんな格好いい響きの存在になれるのかと。感動した俺はその言葉に飛びつくことにした。
「(正規登録するっ!どうやってするんだっ!?)」
(はイ、でハお二人方自分に触れてクださイ)
ダンジョンコアからそう指示がきたので、未だに食事をしていたごぶ助を呼び寄せてダンジョンコアに触れるように言った。
「ごぶ、これでいいごぶ?」
「(あぁ!いいはずだ!Hey ダンジョンコア!正規登録始めてくれ!)」
俺がテンション高くごぶ助にダンジョンコアへと手を触れさせると、ダンジョンコアから何かが繋がる様な感じがした。
(はイ、それでハまずお二方の情報かラ名前を取得いタしまス。・・・おヤ?お二方名前がナいみたいでス。自分の機能を使い名前を取得シますカ?)
ダンジョンコアからそう質問された。
名前を付ける?そういえば魔物に転生して名前はずっと空欄になっていたな。ごぶ助達ゴブリンも名前がある人は一人しかいなかった。その一人というのもゴブリン村の族長だけだった。だからそういうものなのかとずっと思っていたのだが・・・。
「(ごぶ助、何か名前を取得できるらしいぞ?)」
「ごぶ?我の名前は『ごぶ助』ごぶよ?」
(はイ、『ごぶ助』で名前を取得イたしマス。・・・龍脈に接続。魔素取得。対象にネーム付与開始。付与完了。そのまま正規登録開始。完了。)
どうも今さっきので名前の取得から正規登録まで終わったようだ。ごぶ助の名前の所だけステータス確認してみると確かにそうなっていた。
「(じゃあ俺は・・・『
(はイ、『一狼』で名前を取得イたしマス。・・・龍脈に接続。魔素取得。対象にネーム付与開始。付与完了。そのまま正規登録開始。完了。)
俺の名前は前世の
正規登録というのが終わったみたいなのでダンジョンコアに次はどうするのか聞いてみる。
「(ダンジョンコア、次はどうするんだ?)」
(はイ、次ハ自分の名前を入力シてくださイ)
「(お前のか・・・なぁごぶ助?俺が適当に決めていいか?)」
「ごぶごぶ、いいごぶ」
「(じゃあ・・・ポンコで)」
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作者より:読んでいただきありがとうございます。今回の話も少し長くなりそうだったので分割しました。この後続いて2話目を投稿します。
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