第21話 漁夫の利のわんちゃん
お肉、それは神が我らに与えたもうた天上の至福。曰く、それは食すると心が躍りぴょんぴょんと・・・
「ごぶ、やっぱりお肉は最高ごぶ」
「(だなぁ・・・心がぴょんぴょんするわ・・・)」
「ごぶ?ぴょんぴょんごぶ?」
「(すまん、忘れてくれ)」
あまりの満足感に妄想が爆発して、それがついつい声に出てしまっていたみたいだ!失敗失敗と。まぁそんな失敗は置いといてだ、やっぱり焼いた肉はいいよね。塩やハーブの味をつける物があれば更に良しなんだが、贅沢は言うまい。
俺たちは美味しい肉を食べて満足した。なのでようやく他の事について頭が回ってきたので、それらを確認しようと思う。
まずは肉以外のドロップ品を確認しようとして、そこらへんにポイッとしてあった物を探しに行く。
「(どこだ~。あ、あったあった。鑑定っと)」
『アイテム:魔石
・魔力がこもった魔石。
アイテム:木の盾
・木でできた盾。あまり強度はない。』
鑑定をかけたが見たままだった。なんとなくわかっていたが特に使い道はなさそうな者たちだ。
ドロップ品の事がわかったので、次はレベルアップしたはずなのでステータスを確認することにする。
名前:
種族:狛犬
年齢:0
レベル:2(1↑)
str:135(8↑)
vit:165(13↑)
agi:115(12↑)
dex:104(7↑)
int:114(9↑)
luk:58(5↑)
スキル:雄たけび 咬みつき ひっかき 鑑定 氷魔法 念話 守護の壁
火魔法
ユニークスキル:ワンチャン
称号:元最弱犬 転生者 ダンジョン1階層突破 特殊進化体
大分いい感じに上がっている。進化するたびに上り幅も大きくなっている感じだな。そういえばごぶ助もレベルが上がったのか気になり聞いてみる。
「(ごぶ助、オーク倒した後にレベルって上がった?)」
「ごぶ?レベルごぶ?」
「(あー・・・、ステータス確認していい?)」
「ごぶごぶ」
ごぶ助に尋ねたところ、レベルの意味が解らないのか、それともレベルが上がった感覚がわからなかったのか首を傾げられたので、一言断ってからステータスを見ることにした。
名前:
種族:ホブゴブリン・覇種
年齢:3
レベル:2(1↑)
str:183(21↑)
vit:176(15↑)
agi:180(18↑)
dex:153(12↑)
int:85(10↑)
luk:205(14↑)
スキル:パワーアタック 剣術
ユニークスキル:覇王
称号:ダンジョン1階層突破 特殊進化体
・・・はぁ?と俺は思わず声を漏らす。おそらく今の俺の顔はとても間抜けに見えるだろう。それくらいに衝撃だった。
いやしかし、強化率半端なさ過ぎじゃね?俺も大分すごくなったと思ったが、ごぶ助の強化率を見るとかわいく見えるな・・・。
「ごぶ?」
俺がムムムと眉間にしわを寄せて唸っているそばで、ごぶ助がかわいらしく?首を傾げている。
殴りたい、この笑顔。
いや、そうじゃない。まぁごぶ助が強くなる分には全然いいんだよな。このまま順調に育てばもしかするとミノタウロスも怖くなくなるかもしれないんだから。
俺たちに絶望を抱かせたあのミノタウロスの事を考える。いつかはあいつを倒せる日が来るのだろうか?
「ごぶごぶ・・・、眠くなってきたごぶ・・・」
俺があのトラウマモンスターに思いをはせていると、ごぶ助は美味しい肉を食べて満足したのか眠たくなっているようだった。
「(そうだな・・・。俺も眠くなってきたし、今日はもう寝ようぜ)」
「ごぶごぶ、おやすみごぶ」
俺も同じく眠たくなってきたのでごぶ助に寝よう声をかける。美味しい肉は食べたし、ステータス等の確認も終わったことで気が抜けて眠くなってきたのだろう。すでに眠りかけているごぶ助に就寝の挨拶をする。
「(おやすみごぶ太郎、明日はも~っといい日になるよね・・・)」
「我は・・・ごぶ・・助・・・ごぶぅ・・・ぐぅ~・・・」
・
・
・
翌朝、いい気分で目が覚める。久しぶりの充実した食事のおかげだろうか?
「ごぶごぶ、いい朝ごぶ。おはようごぶ」
「(おはようさん、水出すから顔でも洗ってくれ)」
「ごぶ、ありがとごぶ」
ごぶ助も起きてきたが、ごぶ助もいい気分でめざめれたらしい。やっぱりミートイズゴッドだ。そう思っていると、ごぶ助は顔を水で洗ってすっきりしたみたいだ。そんなごぶ助は昨日のお肉の味を思い出したのか、嬉しそうにしながら言ってきた。
「ごぶごぶ、お肉取りに行こうごぶ!」
「(おうよ!今日もいい肉とろうぜ!)」
俺も同じく昨日の肉を思い浮かべて応える。俺たちは今日も美味しい肉を取るために狩りに出発することにした。
いざ通路へ出ようかというときにユニークスキルを発動させてなかったのを思い出して、慌てて発動させる。オークは倒せたとはいえ、他にもさらに強敵がいるかもしれないし念の為だ。しかし発動させた後にやっぱり取っておくべきだったかも、そんな考えが一瞬よぎったが使ってしまった後だったので、明日からはそれもありかもなと気にしないことにした。
俺たちが警戒しながら通路を進むと、見慣れた芋虫が出てきた。その芋虫をサクッと倒しドロップアイテムの芋虫肉を回収して、今日はさらに進むことにする。
かつてのライバルの芋虫はもう敵じゃないな、そんな風に思いながら進んでいると前方で何かが争っている感じがした。
「(ちょっとまったごぶ助。前方に何かがいるみたいだ。ちょっと見てくるからまっててくれ)」
「ごぶ、わかったごぶ」
ごぶ助にそう言って前方の確認に行くとする。そろりそろりと近づいて行き、そっと通路のあちこちにある岩影などに隠れながら様子を伺う。
「プゴオオオ!」
「シャー!」
争いの現場を覗き見ると、オークと二足歩行のトカゲみたいなのが戦っていた。トカゲの方は初見だったので鑑定をかけてみる。
名前:
種族:リザードマン
年齢:-
レベル:6
str:175
vit:153
agi:188
dex:157
int:90
luk:39
スキル:再生・小 水耐性・小
ユニークスキル:
称号:
なるほど、リザードマンね。オークとステータスは似たものだな。
争っている2体に気付かれないようにごぶ助の元へ帰り、何があったのかを話した。
「(この先でオークとでかいトカゲ、リザードマンって言うんだけど、そいつらが争ってたわ)」
「ごぶ、たおすごぶ?オークは美味しかったごぶ」
「(んー、そうだなぁ。じゃあこういうのはどうだ?)」
お肉の為に倒したいというごぶ助のリクエストに応えて、倒す作戦を伝える。するとごぶ助はそれに頷き了承したので、俺たちは作戦を実行するためにオークたちの所へ静かに進んでいった。
オークたちの元へたどり着くと、いまだに争っていた。俺たちは息を殺してそれを見て機を伺う。
「プギイイイイィ!」
「シャァ・・・」
少しすると耐久力と腕力で勝るオークに軍配があがり、リザードマンが倒されて消えていった。しかしオークの方も大分疲労しているのか、片膝をついて荒い息を吐いている。
この時を待っていた!
「(今だごぶ助!行くぞっ!)」
「ごぶ!」
俺たちはチャンスとばかりに飛び出し、いきなりの襲撃に驚くオークに攻撃を仕掛ける。
まずは俺がオークの顔めがけて氷魔法で散弾を作り放つ。そしてそのままオークの気を引くように吠えながらオークの横を通り過ぎていく。
「(へいへいこっちこっちー)」
「プギイィイアア!」
オークは氷の散弾を手で防御しながら俺の方をそのまま追いかけようとする。なので俺の後ろからついてきたごぶ助が眼に入っていないみたいだった。ごぶ助はそれをチャンスとばかりに攻撃を仕掛けた。
「ごぶ!食らえごぶ!」
ごぶ助のパワーアタックがオークの頭に直撃し、オークは声を上げる暇もなく倒れた。
「ごぶ!勝ったごぶ!」
「(ナイスごぶ助!ドロップアイテム回収して一回引き上げよう!)」
「ごぶごぶ、わかったごぶ」
オークとついでにリザードマンのドロップアイテムを回収して、手に持てる量ぎりぎりになったので俺たちはセーフティーエリアに戻ることにした。リザードマンのドロップアイテムは肉ではなく、革と牙か爪みたいなものだったので残念だ。こいつらはまた後で鑑定してみよう。
しかし収納スキルを取らなかったのは早計だったか?だが後悔はしていない!
セーフティーエリアに戻った俺たちは前日に引き続き焼肉パーティーを楽しんだ。焼肉が終わった後、再び狩りへ出かけたが、そこでは残念ながらオークは狩れなかった。しかし芋虫の肉がそこそこ取れたのでそいつを焼いて食べる。芋虫も焼いて食べると中々いい味がするのだ。
俺たちはこの日も満足しながら眠りについた。そして翌日から、せっせと狩りに出て、肉を取り、焼いて食べて、満足して眠りにつく。この生活を繰り返した。
俺たちはそんな風にしばらく過ごしていた。
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作者より:読んでいただきありがとうございます。皆様のおかげでPV数も上がってきております。これからもよろしくお願いします。
「面白かった」「続きが読みたい」「これからも応援してやる」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。
☆や♡をもらえると、作者の心もピョンピョンしますのでよろしくお願いします。
赤いキツネと緑のたぬきのコンテストがあったので書いてみました。
よろしければ↓になります。どうぞお読みください。
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