第12話 緊急事態のワンチャン2
俺たちは2階層へと足を踏み入れた。1階層と比べても特に変化はなかった。
そういえば前に1階層で『ワンチャン』スキルを使ったら、ごぶ助が今も愛用している『ごぶ助カリバー』が手に入ったんだよな。ボススライムに使うかもと思って今日は使っていなかったが、ワンチャンまた良い物がゲットできるかもだし使ってみようかな。
『ワンチャン』スキルを発動させて2階層の道を進んでいく。まだどんな敵が潜んでいるかわからないので、警戒をしつつ進むようにする。
すると通路の先から「ずるずる」と何かが這ってくる様な音がしてきた。
「ばうばう!」
(なにかくるぞ!)
「ごぶ?ごぶごぶ」
俺が何かがやってくるのを知らせるために吠えると、警戒の鳴き声だったのがわかったのか、俺の隣を歩きながらついてきていたごぶ助は気を抜いていた表情が引き締まり、木の棒を構えた。
そして俺たちが待ち構える前に現れたのは・・・、一匹の蛇だった。
初めて見る敵だし鑑定しておこう。やばかったら逃げてもいいしな。
名前:
種族:ビッグスネーク
年齢:-
レベル:2
str:28
vit:21
agi:26
dex:19
int:15
luk:11
スキル:巻き付き
ユニークスキル:
称号:
その蛇は名前の通り大きな蛇で、長さが8メートル程で太さは40センチ程もありそうだった。
だがステータスを見た感じでは全然倒せるレベルだ。だが蛇だけに巻き付かれるとやばそうだ、スキルにも出てるってことは相当強力に締め付けられて、下手をすればそのまま絞殺されそうだ。
「ごぶ、お肉ごぶ!」
俺が蛇を鑑定して倒せそうだなと考えていたら、その間にごぶ助は蛇に向かって行ってしまった。
ごぶ助よ!もう少し考えてから行けええええ!
毎度の事ながらつっこまずにはいられない!そして突っ込みを入れつつも、急いでごぶ助の後を追って戦いに参戦する。
ごぶ助と俺が蛇の近くまで行くと、蛇は鎌首をもたげこちらを威嚇してくる。
ごぶ助が蛇の正面から攻撃を仕掛けようとしていたので、俺は側面に回り込み、ごぶ助より先に蛇の側面にたどり着いた俺は、一撃を与えて離脱した。
そして気を引く為に気合を入れて吠える。
すると蛇は俺の方に気を取られ、俺の方を向こうとした。
だがその隙にごぶ助がジャンプからの振り下ろし攻撃を蛇の頭に決める。すると蛇の頭が地面に勢いよく叩きつけられた。
そのクリーンヒットした一撃で倒せたらしく、蛇の体は消えていった。
そして蛇の体が消えた場所にはドロップアイテムが残された。
『アイテム:蛇の肉
・蛇のお肉。さっぱりしてておいしい。
アイテム:蛇の皮
・蛇の皮。そこそこ丈夫。
アイテム:魔石
・魔力がこもった魔石。』
肉に加えて皮か、何か使い道あるかな?財布とか・・・、ゴブリンに通貨なんぞなかったわ。まあ何かに使えるだろう。
「ごぶ!おおきいおにくごぶ!」
やったなごぶ助、しかもさっぱりしてて美味しいらしいぞ。だがちゃんと皮と魔石も回収してくれよ?お肉命で他が目に入らなさそうで怖いわ。
そんな風に思っていたが、ごぶ助はちゃんと全部回収してくれた。
よかったよかったと安堵して、探索を進めるために通路を進もうとすると、蛇が這ってきた跡がうっすらと残っていた。俺達はなんとなくその跡に沿って通路を進んでいく事にした。
しばらく進んだが敵も出てこず臭いもしてこないので外れかと思っていたら、行き止まりに突き当たった。完全に外れかと思っていたのだが、蛇の這ってきた跡が壁に続いているのに気が付いた。
「ばう!ばうばう!」
(ごぶ助!きっと隠し部屋だぞ!)
「ごぶ?なにかあるごぶ?」
「ばうばう!」
(ここだよここ!)
ごぶ助に隠し部屋がありそうな場所を教えようと、壁に前足を置こうとした。だがまるで壁が無いかのように足がするっと通り抜けてしまう。
「ごぶ!?あしがきえたごぶ!?」
「ばうっ、ばうわう!」
(違うよ、こっちこっち)
こういうタイプの隠し部屋もあるのか、そう思いながらごぶ助を壁の奥へと誘導する。ごぶ助は困惑しながらも俺について壁を抜ける。
そして壁を抜けた先には部屋があり、中央には宝箱があった。
「ごぶ、へんなかべごぶ。ごぶ!たからばこごぶ!」
「ばう、ばうばう!」
(そう、宝箱だよごぶ助!)
「ごぶごぶ、あけてみるごぶ」
俺たちは宝箱を発見して喜び、早速開けようとした。そして宝箱の蓋を開けた、その時だった。
魔法陣が宝箱を中心に現われ、輝き始めた!
「ごぶ?なんかひかってるごぶ?」
「ばう!?ばうわう!」
(なんだ!?まさか罠だったのか!?)
逃げなきゃ!と思った瞬間、輝きが一層強くなり光がはじけた。
眩しい!と咄嗟に目を瞑ると、ふわっと体が浮く感覚がした。そのあとすぐに今度は体が落ちる感覚がしたと思ったら、本当に体が少しだけ浮いていたらしい。俺はつんのめってしまったが何とか無事に着地した。
すぐ横で「ごぶっ」とごぶ助の声がして、横を見るとごぶ助は尻もちをついていた。
「ごぶごぶ、けつうったごぶ」
そんな呑気なごぶ助の声を聞きながら、俺は周囲を警戒していた。ごぶ助の方を見るために動かした視線が周囲の異常を訴えていたからだ。
俺たちがいた場所は隠し部屋で、薄暗かったからはっきりとはわからないが、壁の色は普通の土みたいな茶色の部屋だった。しかし今は、若干周囲が明るくなり、なぜか壁の色が赤っぽく変わり、しかも通路にいた。
俺は周囲の様子を慎重に探っていく。一体あの罠はなんだったのか、周りの様子が何故変わっているのか、俺は何が起こったのか判断すべく様子を伺う
すると、遠くからドスドスと何かが近づいてくる音が聞こえてくる。
なんだ!?何か来る!
そいつは通路の先から現れた。
そいつの体は大きく、見上げなければ顔が見えない、そんな巨体だった。
上半身は筋骨隆々で、下半身も丸太みたいに太い。
頭には天に向かい伸びる2本の角があり、口からは「ゴフーゴフー」という荒い息を吐き、こちらを見下ろしていた。
こいつは明らかにやばいな・・・!いつもは緩い雰囲気のごぶ助も体がこわばってる!
やばいというのは一目で解り、とりあえず鑑定をかけてみる!
名前:
種族:ミノタウロス
年齢:-
レベル:??
str:???
vit:???
agi:???
dex:???
int:???
luk:???
スキル:??? ???
ユニークスキル:
称号:
な、なんだ!?ステータスが見えない。まさか実力差がありすぎるとうまく鑑定できないとかなのか?
それにしてもまずい、逃げるにしても頼みになるかわからないが、切り札のユニークスキルもすでに使ってしまっている。
だからと言って絶対に戦うべきでもない、なんとかして逃げる道は・・・。
こうして俺たちは緊急事態に陥った。
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
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お詫び:誤字や言い回しを微修正 2022・1・8
2022・1・20 行間微修正
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