第4話 「運命共同体」
バスがホテルに付いた。
大集団がゾロゾロとホテルのエントランスまで歩く。ギラギラ太陽が照りつけていた。ホテルの前の左側に大きな木があった。木が日陰を作っていた。ホテルは、かなり大きい。ロビーに、子供たち、そしてリーダーの僕らは集められた。
杉浦先生のオリエンテーションがはじまる。
「疲れたでしょう。今からグループわけします。しっかり聞いて、リーダーのところに集まってください。まず、1班さんは木村君がリーダーです」
「はいはい」
「2班は、木田さん、3班、髙山君、4班、玉川君、5班は佐原さん。最後は6班和田さんね」
「みんな〜。名札に書いてある数字の班にあつまればいいの。はいはい、わかれて」
僕ら6人のリーダーが1列に並ぶと、眼の前にガヤガヤ、キャッキャいいながら、子供たちが集まってきた。
「あれっ。鴨君いない。」
僕の列の目の前の少年があたりをみわたす。賢そうで目尻が何かくるっと丸まった特徴的な一重まぶたの少年がいた。名札には「1班・2年・やまだけい」とある。
「あっいた!」
山田君が叫ぶ。
自動販売機の前で、座り、お釣りのところに手をいれてカチャカチャしてる子供がいた。
「かもく〜ん!」
彼は、気づいて振り向く。名簿をみたら鴨下という名前がある。
「なんだ、あいつ。変なガキ」
さらに山田君の後ろに居た少年がイラッとしながら言った。名札には「1班・3年きくちしょうた」とある。
「菊池君よろしくね。」
「おぁ。」
何か投げやりに答えた。
あとからよくわかる、
山田君に聞いてみる。
「かもくんって鴨下君?」
「そうです」
山田君が答えた。
「山田君、僕はね、1班のリーダーは木村だよ。」
「
丁寧過ぎてはっとした。
「挨拶がしっかりしてるんだね。」
「・・・」無言。
「あ、あ、偉いなあ山田君は。よろしくね。」
「はい!」
「先生、私1班?ここなの??」
何かふて腐れたような雰囲気を漂わせた少女がその後ろにいた。名札は遠くてよく見えない。
「名前は何ていうの?」
「スギマチタオって書いてあるでしょーが!」
ビクッとした。なんなんだ、この子は。強いなあ。名札を向けられた。「1班・3年すぎまちたお」とかいてある。
「ごめんね。名札がよく見えなかったんだよ。タオっていうの。珍しいお名前だね。あ、珍しくないか。」
「タオは、お母さんベトナムだし。ガイジンだから」
何かいちいち口を尖らして話すような口ぶり。
「お母さん外国人なんだねえ。へえー」
杉町タオは、確かに生意気だけれど、ぱっちりした目、可愛らしい顔をしている。しかしまあ国際化したキャンプである。
またタオちゃんの後ろを見ると何か一際、大人しく弱々しさが際立つ少女が佇んでいた。5人いるな。よしよし、オッケ。
「あの、
「さっちゃんは、あんま喋んないから。」
タオちゃんがすかさず言う。
「……」無言。
唇ぽてっとした、やっぱり可愛いらしい顔をした暗い少女だった。
「よし!じゃあ5人全員いるね。あらっ。鴨下君まだ来ないか。ちょっと待っててね」
4人に言うと僕は自販機の前にまだちょこんと座り自販機を眺めている少年の元にいき、手を引いてきた。
「かもくん、君の班のリーダーだよ。みんなから離れたらだめでしょう。」
鴨下君はニヤッと笑った。
「ごめんなさい。」
甘えるような言い方。
「うん。集団生活だからね。」
僕は意味がわかるかは、知らないが、優しく言った。
こうして運命共同体1班5人が全員、ようやく、揃ったのだ。
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