第2話 「オリエン」

 真夏の8月半ば、土曜日朝の7時30分。僕らアルバイト学生3人組は、聖蹟桜ヶ丘駅前のバスロータリー付近にいた。


 3人組とは、冒頭の髙山君、僕、そして玉川君の社会学部の3人組である。


 玉川光一君は、オカッパ頭、色白、ほっぺがニコちゃんマークの優等生タイプ、温かい青年である。

 対照的な先程の髙山青年の風貌を簡単に、話す。髙山は、スラッとしたほっそり体型だが、何か雰囲気に威圧感がある。やはり色白のシュッとした顔立ちのいわゆるイケメンだった。


 朝からもうずいぶんと蒸し暑い。アスファルトからつきあげるような熱気。これから恐ろしく、だるく、暑くなることは想像できた。朝の日差しが、駅前コンビニの透明ガラスに反射してキラキラしていた。


 既に、皆を載せる団体バスが到着している。


 この『わくわくキャンプ』を取り仕切る「チルドレンワークス」の杉浦さんが、大きな声で話しだした。50代くらいだろうか。


 集まった子供の群れは40人くらい。みんな1.2年生みたいな幼い様子だ。しかし、よく見たら、5年生くらいの高学年の女の子もチラホラいるみたいである。


 「おはようございます!今日は、わくわくキャンプに集まってくれてありがとう。私は杉浦です。これからの1泊2日は、わくわくした体験をいっぱいしますからね〜」


 こうして僕らの1泊2日のキャンプが始まった。バスは那須高原めがけて出発したのである。

 

 バスの中で、杉浦先生に班分け表をもらった。抜粋である。

《1班・リーダー 木村玲 児童5名》

1年 鴨下ひろき  男  1

2年 山田 慧   男  1 

3年 菊地翔太   男  1

3年 杉町タオ    女  1

3年 添田幸子   女  1


 バスに揺られながら眺める。リーダーは、全部で6人いた。僕ら3人組。そして他大学の木田さん、スタッフ佐原さん、専門学生の和田さん。みんなが5人〜6人を仕切るリーダーになっている。

 だいじょうぶかなあ?かなり不安が交錯していた。

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