狗奴国での生活
邪馬台国を出た我が兄弟は、行く当てもなくひたすら歩いていたのじゃ。太陽が沈み暗くなると、
三か月ほどそうやって過ごしたじゃろうか。ある日、別の国が見えてきたのじゃ。我はとても嬉しかった。ここで、うまく生活を送ることができたら、弟や妹たちにも楽をさせてあげられるであろう。そう、期待が膨らんでいたのじゃ。
辿り着いた国は
最初は、どうやってこの国で生活を送れるかを考えるところから始まった。しかし、すぐに、親を失った子供たちが集落を作っているのに気づいたのじゃ。そこで、我らは、この国にもともと住んでおり、両親を失ったという設定で、その集落に加わったのじゃ。
その集落での生活は本当に豊かなものであった。集落のものは親を失ったものばかりであるから、皆で協力しようという雰囲気があった。邪馬台国と狗奴国では、言葉も少々違っておったが、そのあたりは我はすぐに理解することができた。スジナオやメナも集落の者どもに可愛がってもらっており、我は一安心じゃった。
その集落に定期的に訪れてくる一人の青年がおったのじゃ。歳は我より四つほど上であったから十四くらいだったと思う。皆からはモノリと呼ばれておった。モノリは誰にでも優しくて、いつも食料などを分けてくれた。風貌がどことなく我と婚姻する予定じゃったミチカナと似ており、我もモノリのことを気に入っておった。モノリは我にいろいろな話を聞かせてくれた。世の中のことについてかなり詳しく知っており、我はモノリの言うことを必死に覚えようとしておった。
ある日のこと、稲刈りを済ませて集落に戻ると、集落の者どもが皆泣いておった。その訳を聞くと、モノリはもう二度とこの集落にはやってこないとのことであった。我もとても悲しかった。もう、モノリからいろいろな話を聞くことができないかと思うと、これからの生活がとてもつまらなくなると思えた。
それから二年後、我はあるところで偶然モノリを見かける。なんと、モノリは狗奴国の王様になっておったのじゃ。そして、モノリとその妻らしきもののそばには、一人の赤子がおったのじゃ。とてもかわいい赤子のように見受けられたが、その時我は、まさかこの赤子と後々深くかかわることになるとは微塵も思っていなかったのじゃ。
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