第6話 許嫁なんて言いなすって!

「「ちょっとまてーーーい!!!」」




幼馴染たちが話を止めてくれた、助かる、正直俺も混乱してる。




 俺とこの美しいお姉さんが許嫁?騙されてる?




「えっと、カンナさん?初めまして、レイっていいます!こっちはシュウ」




「あらあら初めまして。これからよろしくね。」




「ちょぉーと詳しく話をお聞かせおくんなましねぇですかね???」




ああ、レイの口調が滅茶苦茶に!




話を整理すると。




カンナさんは弐の集落の子である。年は俺の2つ上。




そして母親はなんと十刺であり、俺の母ミカと親友であり、その縁で父親同士でも仲良くなったという。




そして自分の息子と娘が梁山泊入りを狙える才能を持っていると自慢しあう酒の飲み会で、じゃあお互い梁山泊入りしたら結婚させね?と口約束をしていた。




我が父親から俺はその話を聞いていないが、あちら側の父親はノリノリで家族に報告。




母娘共にその条件であるならば問題なし。何よりゲンジ・ミカ夫妻の子なら安心だろうと即決。




そして選出が近づいてきたこの時期に顔合わせにやってきたというわけだ。




「でも、ほんとにユキ君がこんなに素敵な子だと思わなかった。ふふっ、ついつい笑顔になっちゃう。」




なんというか、美しい。笑っただけで周りに花が咲くようなオーラがある。




「ちょ、本当に気持ちは嬉しいんだけど、一個伝えなきゃならないんです!」


正直こんな美少女と結婚なんて願ってもないが、俺には伝えなきゃならない事がある。




「あら、どんな事?」




「俺は………梁山泊の可愛い子たちみんなを嫁にしたいんです!!!」


これ漫画なら「どーん!」とか「ドドン!」て効果音付くやつね。




「俺は、もちろんカンナさんを嫁にしたいと今思ってます、正直喜んでです。だけど、俺梁山泊に入ったらここにいるレイも嫁にしたいって言うつもりなんです!そしてまだ見ぬ美少女にも!」




「あら、ですって。レイちゃん。あなたはどう思う?」




あ、これやっちゃった。




「正直、私もおや?なタイミングで告白されちゃいましたけど、喜んでお受けするつもりです。わたしは、ここにいるこの人に私の全てを捧げたいと思ってます。受け入れてくれるだけで十分。それ以外何もいらないです。」




頬を少し染めながら、はっきりと見据えた目で全員にそう宣言した。




「ふふっ、ですってユキ君。もちろん私もそれで構わないわ。これからここで英雄になる子が色を好むことに誰も文句は言わないわ。それはどこでだってそう。」




「でも、私はあなたの事をまだよく知らない。だから、もっと仲良くなりましょう。そのために今日はあなたの家にお泊りに来たの。」




「ちょっ!それはダメー!なぜなら私もまだだから!」




「あら、うーん、それじゃ今日はやめておきましょ。幼馴染ちゃんにそれくらいは譲ってあげないとね。ではユキ君、これからよろしくお願いします。」




「えっと、よろしくねカンナさん!」




嵐のような時間だった。とはいえ、お嫁さんが二人も出来ました。




「えっと、その、ユキ君。」




「う、うん」




「あーなんかせっかく譲ってもらったしね!その、ね!お泊り、したいなぁって」


いつも元気な彼女が、足をすり合わせながら上目遣いで頬を真っ赤に染めている。




「ぜ、ぜひ!俺、君にちゃんと気持ちを伝えたい!君の事が好きなんだって事を!」




「おおうまた言ってるよユキ君…」




もうこれ以上赤くなるのかというくらい彼女は照れてしまっていた。




「おい、僕もう帰っていいか。」




あ、忘れてた。やっちゃった。


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