第4話 修行の日々

あの日の彼女は、変わらぬ笑顔で話を続ける。




「へーユキ君同い年かぁ!でも私の方が3か月早いからお姉さんだね!でも、さっきはゴメンね?私忘れっぽくてさー!」




「いや、ゴメン。勘違いだったよ。改めて俺はユキ!今までは特別区?って所で両親と住んでたんだ。」




「ほえーびっくりだよ!特別区は十刺の人しか貰えないからね、ユキくんのお母さんは強いんですのう」




この喋り方。ちょっと男の子がおどけてるような。間違いなく俺が恋した女の子だ。




「うん、とう様もだけど、かあ様はもっと強いよ。俺もそんな二人になりたくて、梁山泊を目指すために二人と引っ越してきたんだ!」




「そうなんだ!それじゃ私と一緒だね!でもユキ君、私達は加護とか天禄を持ってる子も多いから、男の子のレイ君には大変かもだよ…?」




優しい彼女は申し訳なさそうに伝えてくれた。




「それなら大丈夫!実は天禄を持ってるんだ!それにちょっとだけど加護もあるんだ!」




「ええ!それ本当なのユキ君!!それってめちゃくちゃ凄いことだよ!」




「やっぱりそうなんだ!両親にも驚かれたよ。」




「ちなみにさ、ユキ君の天禄って何だい?こっそり教えてごらん?」




戸惑いながらも、答えるしかない。




「絶影っていうのと、透過って呼んでる奴だよ。」




「え?二つもあるの!どーゆうこっちゃ!男の子は持てないと思ってたよ、すっごいなぁ~」




やっぱりそうなのか、色々と異例みたいだな。こればっかりは自分の才能に感謝だな。とう様、かあ様、ありがとう。




「ん~でもユキ君はまだまだ梁山泊の事を分かってないですな?気軽に天禄を教えちゃダメなのでございますぞ?」




「そうなの?まぁいずれ分かることだしさ。」




「うーむ、これはお姉さん心配だぞ…よし!同じ集落のよしみでこれからは私がお世話してあげようじゃないか!ちなみに私の天禄はね…」




固まった。あのゲームのレイと全く同じスキルじゃないか。というか何故今まで気付けなかったのか。




これは、あのゲーム「三国記」の世界じゃないか。




「どしたのレイ君?おーい!そんなに私にお世話されるのは嫌ですかい…およよ」




ウソ泣きでこちらをわかりやすく盗み見している彼女に癒されながらも返事をする。




「ゴメンゴメン!天禄に驚いちゃって!むしろ喜んでお願いしたいくらいだよ!実際両親から教わったこと以外は全くわからないから、ぜひよろしくです!」




ペコリとお辞儀で伝える。




「おうおう!そっかそっか!それではレイさんと一緒に頑張っていこうではないですか!」




彼女もペコリとお辞儀を返した。




「ではでは、ユキ君、これからよろしくね!」




あの時と同じ笑顔で、彼女が手を差し出す。




それを見て、決意した。




もう一度、ゲームのシステムではなく、今のユキとしての自分を好きになってもらえるように頑張ろう。




一から、やり直そう。二度目のユキとして。




そして彼女にも認めてもらおう、ハーレムを。

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