平安貴族はいとをかし
マチュピチュ 剣之助
プロローグ
「あーあ、私平安時代に生まれたかったな。そしたら受験勉強なんてしなくてよかったし、何よりも貴族とか楽そうだし」
「あーあ、私平安時代に生まれたかったな。そしたら受験勉強なんてしなくてよかったし、何よりも貴族とか楽そうだし」
改めて昨日の言葉を思い返す。あれは本心だったのだろうか、と夢は考え直す。いや、本心なはずがない。あの言葉は、自分が平安時代に生まれることはないとわかっていたからこそ出た言葉であったはずだ。それなのに・・・。
朝起きてすぐに夢は異変に気付いた。ベッドに寝ていたはずなのに起きたら布団の中にいた。時間を確認しようとスマホを探すがどこにも見つからない。それどころか、部屋の様子が明らかにいつもと違う。
「あれ・・・なにこれ。寝ぼけているのかな」
夢は試しに二度寝してみたが、起きてみるとやはり同じ世界にいた。
「うそ・・・ここどこ?」
慌てて起きようとするが、自分の体が重いことに気づいた。よく見ると髪が異常なほど長く伸びていた。少し騒いでいると、外からドタドタと人が入ってきた。
「
知らない女性が大声で泣き始めるので夢は焦った。
「ちょっと待って。あなた誰!?」
そう言った後で、夢は自分の布団の横に和紙が落ちていることに気づいた。開いてみると、
平安貴族はいとをかし。そちはそうお思いかもしれないが、それはまことのことかな。是非そちの目で確かめるが良い。
と書いてあった。夢はパニック状態に陥った。そう、昨日自分が言ったことが現実になってしまったのだ。ここはなんと平安時代である。
平安貴族はいとをかし マチュピチュ 剣之助 @kiio_askym
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