第159話 鍵を探して
「俺たちが
「
カメリアは
あの人とは数回会ったが、とても怒るような人には見えない。
「まさか。あいつはいつも浮かべている笑みでミステリアス感を漂わせているだけで、実際は短気な男だ。人間に味方なんてしてみろ、木っ端みじんにされるぞ」
デルマーはなにかを思い出したのか、目を細めた。彼の瑠璃色の目がさらに濃い色になる。
「……デルマーさまは人間の、味方なのですか?」
カメリアは思わず尋ねる。「神の僕に反する」ことはすなわち「人間に味方する」ということになるが、カメリアは彼が容赦なくトルコでオークションにいた人間を惨殺するところも見ており、とても人間好きには見えないのだ。
「なわけないだろう!」
デルマーは、まるでとんでもない的外れなことを耳にしたかのように声を荒げた。
「ほとんどの人間は洗脳された馬鹿か、安保隊のクソどもみたいな正義という名を振りかざして殺人を起こすことに快楽を覚えている奴らだ! あんなのに味方なんてできるか! ……例外がいないわけではないが」
じゃあ一体目的はなんなのか。わからなくなったカメリアの表情を察し、デルマーは語り続けた。
「そもそもだな、カメリア。俺は人間とペストには対して違いはないと思うのだ」
少女は言葉の意味がわからず、首を傾げる。
「君は洗脳されているから、この事実を知らないかもしれない。だが、ペストは生まれたとき、もともと全員が能力のない人間だった。途中で能力が覚醒して、ペストとなるのだ。つまり人間たちはいつでもペストに変化する可能性を秘めている。それなのにどっちが悪だとお互い勝手に決めつけて殺しあっているのは、本当に見るに堪えないことだ。『神の僕』は神の名において人間を撲滅するとかなんとか言っているが、これは正義でもなんでもない。ただの
「じゃあ、私もかつては……普通の人間だった……」
「そうだ、俺もお前も、マルティナもキーランも、
「洗脳……」
その言葉は一体どういう意味を持つのだろうか。自分が過去を思い出せないのも、「神の僕」に疑問を持てなかったのも、これのせいなのか。
「洗脳の能力……、恐ろしい力だ。裏切り者であるうえで、最も障害となるものだ。カメリア、お前は
だが、それ以上はなにも聞いたことがない。
「やつの能力は……特別なのだ」
「特別?」
「ああ、他のペストが持っていない力を所有している。それは洗脳と嘘破りだ」
「神の僕」で裏切り者が長く生きてはいけない一番の理由……、それは
「どういう理屈かはわからないが、やつは嘘を見破れるのだ……。だが、性能はそこまで良くないのか『完全なる嘘』でなければ、彼は人が嘘をついていることを知ることはできない。だから俺たちは生きている。言葉で『嘘ではない嘘』をついているのだ。微妙に質問をそらしたりしてな。しかし……それがいつまで持つかはわからん」
デルマーは疲れた顔でため息をついた。見破られないようにするために、この班は何を言うかに相当苦労しただろう。
「だが、
「血縁者……、家族がいるということですか?」
家族、今のカメリアにはあまりなじみのない言葉だ。
「そうだ。今、あの男は最後の血縁者を血眼になって探している。ペストは基本血で能力が決まるものだ。だから追われているそいつも、
そこで
「
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