第141話 嘘ではない嘘
「
「怒る気持ちはわかる、
「私は先日、
そこで白髪の男は手をかたく握った。
「この世界でたくさんのペストたちが人間の手にかかり死んだというのに、奴らの味方をするなんてことは許されない。それは『神の僕』に歯向かうことをも意味するのだ。だから私は十分対処できるだろうと思った
最後は呟くようにして、
「情報担当は自分のほうでもフェアリー団を始末する手はずを整えると言っていたが、こちらでも奴らを消すための手段が必要になりそうだ。そういえば、
「……いえ、我々の脅威になりそうなペストはいなかったです」
彼は、柑子色の髪をし、
「……そうか」
あまり生産性のなかった会議が終わり、
扉を開けて入ると、先ほどの髪を結んだ褐色の男と、カールしたチョコレート色の髪を高く結んだ女が座っていた。両方ともあまり明るくない顔をしている。
「……カメリアは?」
「全然よ。まったく何も食べてくれない。ずっとベッドの中にもぐりこんでいるわ」
女がため息をついて答えた。
「そうか……」
「デルマーが起こしにいったらどうだ? なんか効果があるかもしれないぜ」
今度は男のほうが自分の上司に言った。
「そうだな、キーラン」
「カメリア、聞こえるか?」
彼は呼びかけたが、返事はない。
「……開けるぞ」
ぎぃっと小さな音を立てながら、青年は扉を開いた。
部屋はそこまで広くなく、ちょうど二人が座れるくらいの机、クローゼット、二段ベッド、小さな布団、そして小さな窓があった。
二段ベッドの下では一人の少女が、壁に寄りかかりながら、毛布にくるまって座っていた。彼女は
いつもは綺麗な焦げ茶色をした彼女の長い髪は、いまは真っ白になっていた。世界中の緑を集めたような美しい目も、藍玉色に変色している。
「カメリア……」
もう一度、
「今日12神官で会議があった。話題は
青年は少女に目を向けた。
「我々の任務はまだ終わっていない。……そろそろ行動しなければならないようだ、真莉」
真の名で呼ばれ、少女は振り向いた。太い眉に、綺麗なアーモンド型をした目。篠崎怜を知る者は間違いなく似ていると認めるであろう容姿。
少女の名は篠崎真莉。彼女は「神の僕」
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