第46話 敵か味方か
キャサリンは家族の墓(仮)参りへ行く途中だった。もちろんアメリカの墓地には自分の両親の墓があるわけないので、ただただ木の下に花を置いていくだけだ。けれどもイギリスにいたころからの習慣を、キャサリンは辞めたくなかったのだ。
そこでいきなり10㎝以上も自分より小さな少女から抱きつかれ、彼女は完全に困惑してしまった。キャサリンは
「あなた、大丈夫? 一体なにがあったの?」
「わた、私っ……」
息も絶え絶えな少女の顔をじっと見つめるキャサリン。彼女の目を見て思い出す。
「あなた……もしかして安保隊の子?」
あの火事で救った……。怜がしばらくその子のところ通ってたけど、数週間前にはもうやめたはず。まさかぼろをだして、私たちが一体何者なのかバレてしまったの?!
キャサリンの身体から少し冷気が出た。髪こそ金髪にはなっていないが、警戒して能力の一部が出てしまったのだ。
「ち、違うの! ただ話を聞いてほしくて……」
「で、なにがほしいの?」
まだ警戒しながら、キャサリンは彼女に尋ねた。
「ケイ……ケイがどこにいるのか知りたい……」
「ケイ? 誰なの、それ」
「えっ」
「あの、アジア人で、髪が黒っぽくて、目が大きくて、背が小さい……」
キャサリンはそれが怜だと理解したが、まだ眉間にしわをよせたまま、次の質問に移った。
「で、その人になんの用があるの?」
「え……あの……」
彼女は足でキャサリンの体をひっくり返し、すぐに銃を彼女につきつけようとした。だが、キャサリンもすぐに彼女の銃と足を凍らせ、動けないようにした。
「やっぱり」
「あなたもケイと同じ、ペストなんだね」
「ケイと同じ……? ケイがペストなの、なんで知ってるの?」
「それは後で話す。今、急いでるの。私の安保隊員の友達がペストになった。あと数日で彼女は殺されてしまう。私はそれを阻止したい。きっとあなたたちペストならなにか方法を思いつくはず。あなたの仲間のところに連れて行って」
目を鋭く光らせながら、彼女は言った。
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