第13話 計画

「さあて、会議をはじめようか」


 ヴィリアミが言った。場所は近くの公園。


「ヴィル、ほんとうにこんな勝手な行動していいのかな……日向の言うことちゃんと聞いたほうがいいんじゃない?」


 アリシアの不安げな発言に、緑眼の少年は答える。


「お前の意見もわかるが……日向は翔を助けるための戦力として、たぶん今別の班員を集めていると思う。でも、別の班の人たちはここからかなり離れたところにいるから、ここまで来るのに数日はかかるだろう。そんなことしている間に、翔は売り飛ばされるかもしれない。だから、そうなる前に俺たちがあいつを救うんだ。クリシュナ、翔がいると思われる場所は?」


「当然記録してある」


「よし。他に集めてある情報は?」


「そこは昼は完全に閉まってるけど、毎晩たいそう派手なパーティーが開かれるらしい。人も結構来るみたいだよ」


「なるほど、じゃあ決定だ。今夜十二時、俺たちはそこに行き、翔を救う。いいか?」


 皆は頷いた。家に戻り、少女たちは自分たちの部屋に閉じこもる。


「ねえ、リーナ。ペストって『社会の害虫』なんて呼ばれてるのに、どうして売られるの?ペストを買う人なんているのかな?」


「そりゃあね、キャス。ペストの能力は本当は使い道によってはとても役に立つ代物なのよ。考えてみなさい! 炎の能力は石油や天然ガスとかの燃料の代わりになるし、水は人間の大切な活動源なんだからそれを集められる水属性のペストは貴重だわ! でも一番みんなが狙ってるのは、実は大地の能力なの」


「大地……?」


「そう、大地の能力をもったペストは体が再生することは知ってるよね? 大地属性のペストの血を使えば、植物の成長を促進したり、動物をコントロールしたり、人間の体を回復させたりすることができるの」


「そうなの?! すごい!」


「でしょう? だから翔がさらわれた理由の一つには、翔が大地の能力をもってることも関係していると思うの」


「じ、じゃあ血を抜きとられてしまうってこと……?! そんな! はやく助けないと!」


「そういえば、キャシーはどうする? 私はもちろん弱いからここに残るけど、あんたは? 仕事デビューしたばかりだし、家に残ったほうがいいんじゃない?」


「ごめん、アリシア。あなたが正しいのはわかってる。でも私はここにいるわけにはいかない。おとりでもなんでも私のこと使っていい。翔がこうなったのは止めなかった私のせい……、私を2回も助けてくれたのに。だから今度は私が助けるの!」


「きゃああああ!! かっこいいわ、キャス!」


 リーナは興奮して言い、キャサリン少し照れくさそうに笑った。

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