第12話 発覚
「キャス、キャス起きて」
「う……リーナ?」
「もう朝よ」
二人は階段を降りていく。下ではアリシアが朝食を作っていた。
「あれ、男子たちは?」
「寝坊じゃない? あとで叩き起こすから大丈夫よ」
「ふわぁ、おはよう……」
日向が目をこすりながら別の部屋から出てきた。首が痛いのか、ぐるぐると頭をまわしていた。座りながら寝ていたのが原因だろう。
「もう本当嫌になる……、机の上で寝落ちしちゃったみたい」
「え、首大丈夫?」
「少し痛いけどどうってことないよ。男の子たちは?」
日向が尋ねたとき、寝起きでボサボサ頭の怜が、真剣な顔で居間に来た。
「姉さん、兄貴を見てない?」
日向の顔が急に不安の色に染まった。
「見てないよ。何かあったの?」
「見あたらないんだよ。お兄ちゃん、またどっか行っちゃったんだ。たぶん、まだ……帰ってきてない」
そこからは大騒ぎとなった。女の子たちは、翔がまだ家にいるかもしれないという望みとともに家を走りまわったが、結局見つからなかった。どこにもあの美しい瞳を持った少年はいなかったのだ。
「私のせいよ!」
日向はパニックに陥って、悲痛な叫び声をあげた。
「私が……私が寝てしまったから……」
「違う! 日向さんは違う!」
彼女をキャサリンは遮った。
「私……私のせいなの。昨日、私は出ていく翔を見たのに、私は止められなかった……でかける理由を聞いたら止めることができなくなって……」
「しゃべったの……? どこに行くかは言った?」
「ペストが売られるところ……」
クリシュナはうなずいて、場所を確認しに行った。
「で、そんなことをする理由は何?」
怜が冷たく尋ね、キャサリンは答えた。
「お姉さんを見つけるため……」
その言葉に日向は目を見開き、力が抜けたように床に座り込んだ。彼女は口をぱくぱくさせて、何かを話そうとしたが、結局小さく「そうなのね」としか言えなかった。
「真莉か……」
ヴィリアミは少し苦い顔でつぶやいた。怜はただただ呆然としていた。
「ひな姉さん、これからどうすればいいの……?」
「あなたたちは何もしなくていい。こうなったのは私の責任だから、私が翔を助け出す」
「でも、日向さん……」
「ダメよ、これは本気で危険な仕事なんだから。あなたたちのやることじゃない。本部に連絡してくる」
日向は部屋を出ていった。しばらく沈黙があったが、ヴィリアミが口を開いた。
「お前ら、何すべきかわかるな」
彼の緑色の瞳が鋭く光った。
「学校が終わったら、作戦を話し合おう。俺たちはここで突っ立ってるわけにはいかない」
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