第10話 それが正しいのか?

この異世界にある未開の森。

そこには誰にも整えられることはないため苔や雑草は生えしきり、木は螺旋状に絡まって上へ伸びている。

そんな森の中にひっそりとあるツリーハウス。その名をエスリマと呼んでいる。

その中で一人の人影がポツリと立っていた。




ーーー本当にあれで正解だったのか?他のやり方があったのではないか?




その人影は紫と赤を基調としたドレスをスカートの端が折り返しているというおかしな着方をしており、黒色のトンガリ帽子をかぶっていた。

その人影は木の目が荒い机の上にボロボロになっている紙を眺めていた。




ーーー何が正解かなど瞬時の判断では決められなかった。




その人影が眺めている紙には何か人の名前と書いてあるのと誰かの写真が貼ってあった。

しかし、紙はその名前の部分だけボロボロに破れてしまっているため、文字を読むことはできない。




ーーーだから、なんだ?それはただの言い訳ではないのか?




ボロボロになっている紙に貼ってある写真はかろうじてその人物が着ている服がわかるようになっていた。

写真に写っている人物は黒い半袖シャツに赤色のパーカーを羽織っていた。




ーーーそんな言い訳を許さないために、私はこんなことをしているのだ。




紫色が目立つ人影はその写真に手を当て、こう言った。



「愛しているぞ、カルラ」



それだけ呟くと、その人影は今にも壊れそうなツリーハウスの戸を開けた。

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