第3話 エスリマ

異世界にある巨大な未開の森。そこはどの種族にも使われておらず、誰にも手入れされない樹木は螺旋状に絡まっていたり、そこらじゅうにコケは生え散らかっている。

そこにひっそりとあるツリーハウスがあった。それにも幾つもの苔や蔦が絡まっていて、とても人が住めるような見た目ではない。が、そこには二つの人影があった。



「ふぅ。また来たわね。異世界からの異分子が」



紫色のふちに黒色の円柱のような帽子を被り、紫と赤を基調としたドレスを着た女性がそっと呟いた。茶色く長い前髪を掻き分け、茶色い瞳で自らの手で持った鏡を眺めていた。



「じゃあ、あたいの出番みたいだね。『アケルナル』だよね。さっそく観察しに行ってくるよ。そういうことだよね、ソフィア?」



黒い半袖短パンに赤いパーカーのようなものを腰に巻いた少女はソフィアと呼んだ女性に言った。赤い髪にギラリと赤い眼差しが地図に載った『アケルナル』という文字を睨んだ。



「任せたわよ、カルラ」



ソフィアは鏡を見ながら言った。

その一言にカルラと呼ばれた赤髪の彼女は『エスリマ』と呼ばれるツリーハウスから飛び立った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る