第十四章〜第十六章
第十四章 女 季節外れのサンタクロース
女はカフェのラウンジで熱いコーヒーをすすっている。
女が座っているのはカフェの中で最も奥の手洗い場の近くだった。
ここからは客の動きがよく見える。
本来であれば夜までは寝ていたかったが、今日は約束がある、それもとても重要な約束が。
昨夜、探偵の事務所から盗み出した財布が女の目前に置かれている。
一見すると茶色い革製のそれの唯一の特徴は表面に押された烙印だ。
十字架を中心に羽が描かれたそのエンブレムにたどり着くために女は相応の時間を強いられた。
煙草が吸いたくなり、女は手持ちの鞄からシガレットケースを取り出し、その中から1本を取り出した。
そこで女の目には禁煙の張り紙が映る。
女は煙草を咥えたまま、呆然とする。
いったいいつからこんな生きづらい世の中になったのだろう。
女は咥えていた煙草をケースに戻すと、ふと煙草の匂いが立ちこもっていた探偵の事務所を思い出す。
ジャック、あの探偵の名前だ。
女はカバンからファイルを取り出と、そこに書かれた内容に目を通す。
警察官でありながら、ある事件がきっかけでその職を自ら辞退した男。
所詮身勝手な正義感に駆られたのだろう、私にはそんなことはあり得ない。
自身の目的のためであれば、悪にだって染まって見せる。女にはその覚悟があった。
そんなことを考えていると、女の右斜め前に座っていた老夫婦がカフェに置かれたテレビから流れたニュースについて話ているのが聞こえる。
「平和な昼下がりの中、1台の車が爆発し街はパニックになっています」
顔も知らぬ親戚の葬式に出るような顔で、ニュースキャスターが原稿を読み上げる。
ちょうどこのカフェから歩いて15分程度の場所で車の爆発があったらしい。
「犠牲になったのは男性の身柄は現在調査中です」
なんとも悲惨な事件だろうと思い、女の目は炎上している車体に向けられた。
運転席から出火し、車の前面は原型を留めていない。
これは本当にただの事故なのだろうか。
女の脳裏にどうも引っかかるものがある。車に爆発物が敷けられていたら?
そんな事件をいくつも女は見てきた。
ただ今は自身の問題に向き合う方が先だった。
残っていたコーヒーを胃袋に流し込むと、女は立ち上がり会計を済ませる。
日が落ち始めた黄昏の中をサングラスをかけ、目的地へ向かう。
街を抜け、裏路地に入ると不自然なまでに清掃されたアスファルトが目に入る。
まるでここに見てはいけない何かがあったような、そんな気配が漂う。
その後何本が道を奥に進んだところで、女の目的地が見える。
天国、このバーの通称だ。
正直、こんな場所へ足を運びたくはないのだが、目的のためならば仕方がない。
女はドアを開け、中へと入る。
その瞬間、自身が引き返せない領域へ侵入したことを感じた。
薄暗く、客は自身を含め3人だけ。
一人は後頭部しか見えないが、煙草を剃っていることがわかる。彼は煙草を吸わない。
その中でカウンターに座り、両手を祈るように組んでいる男の隣へと座る。
「ジョン、ずいぶんと久しぶりね」
女は男の方を見ずに言う。
顔色の悪い男は、祈りをやめ、女の方をむく。
「急に呼び出してすまなかった、助けがいる」
「その話の前に、あなたにはこれが必要じゃない?」
女は茶色の財布をカウンターへ置く。
「どこで手に入れた?」
男はすぐに財布を受け取らず、問いかける。
「それは企業秘密よ」
男は財布を受け取り、中身を改める。
「プレゼントをもらって嬉しいのはわかるけど、あなたには時間がないんじゃないの?」
そうだ、この男は勝手の同僚に命を狙われている。
「単刀直入に聞く、誰が俺を嵌めた?」
女はそれを待ってとばかりに、ある人物の名前を口に出そうとする。
「随分と興味深い話だな」
その男は血に濡れたコートのポケットに手を入れたまま2人を見据えている。
紛れもなく、それは昨夜の探偵であった。
女は自身の計画に罅が入る音が確かに聞こえた。
第十五章 探偵 汚れた正義
探偵はかつては正義の執行人であり、法の守護者である警官だった。
だが今となってはそのことを知る人間は少ない。
慣れた足取りで警察署を歩き、証拠品保管室へ向かう。
鉄格子で囲まれた窓からヘッドフォンをつけ、ラジオを聞いている男の姿が見える。
探偵は窓を叩くが、男は一向に気づく気配がない。
力任せに探偵が窓を叩くと、その衝撃で鉄条網が揺れる。
それでやっと男はヘッドフォンを外し、探偵の方を訝しむ。
「部外者は立ち入り禁止だ」
部外者、探偵は常にそうだ。
「俺はマーカスの友人だ、昨夜の事件の遺留品がみたい」
「マーカスなんてやつはここにはいない」
探偵は、このようなやりとりが起こることは想定していた。
しかし、現状こんなやりとりで時間を使っている暇はない。
「知らないのか?今朝、車が爆発して死んだマーカスだ」
探偵は男の目を見据える。
「お前記者かなんかか?だったらこんな場所じゃなくて他を当れよ」
男も負けじと探偵を見据える。
「俺は記者じゃない、探偵だ」
男はそれを聞くと大笑いし、膝を叩く。
「そりゃ傑作だな、あんた大真面目な顔でジョークを言うんだな」
探偵はかつては自分がこの男と同じ警官であったことを恥じた。
「いったい何をしてるんだ」
初老の男が探偵の肩を掴む。
探偵はその腕を掴み、後ろを振り返る。
「お前、ジャックじゃないか」
その男の顔を探偵は知っている、まだ現役だったとは。
「こんなところであんたに会いたくはなかったな」
探偵は掴んだ腕を離す。
「何か入用か?」
「自分の仕事をしにきたんだがこいつが口を開いてくれなくてね」
「彼は仕事を果たしてる、部外者には情報は渡せない、わかるだろ?」
2人の男が部外者を睨む。そうか自分は既に部外者か。探偵はその響きが気に入らない。
「そうだな、確かに俺は部外者だ」
睨む男に背を向け、探偵は歩き始める。
「待て、仕事なんだろ。俺の部屋に来い、話は聞いてやる」
男は探偵の肩を掴み、そう言うと歩き始めた。
証拠品係の男はヘッドフォンをつけ直し、ラジオを聞き直す。
しばらく建物内を歩き、目的の部屋にたどり着く。
途中で何人かの警官とすれ違ったが、皆探偵に怪訝な視線を向ける。
「ここだ」
男は足を止め、ドアを開ける。
随分と立派な部屋だと探偵は思わず口に出す。
「随分と金の入りがいいようだな」
探偵はこの男が嫌いだ。組織で生きるために上に媚を売る姿勢が気に入らなかった。
「あの事件からもう5年か、お前は変わらないな」
わかったような口を聞くな、探偵の拳に力が入る。
「わざわざこんなところに呼び出したのは昔話をするためか?」
探偵は椅子に座った男を見下ろし、睨む。
「マーカスはいい警官だった。愛する家族のため職務を全うした」
男は探偵ではなく、床を見ている。
床に水滴が垂れれば感動のストーリーの出来上がりだ。
「だが行きすぎた正義感は身を滅ぼす」
男は探偵を見上げる。
思わず探偵の体に力が入る。
「過去のお前と同じだな」
男の手にはマスクの男が持っていた財布が握られている。
「今回は正義感だけではどうにもならんぞ」
探偵が声を上げようとした瞬間、ドアを開け2人の男が部屋に入ってくる。
体格もよく、その目には敵意が込められている。
「抵抗するなよ、部屋が散らかる」
探偵の前へ2人の男が立ちはだかる。
「随分な歓迎だな、コーヒーでも持ってきてくれたのか?」
探偵の右腕を男の一人が掴む。
「生憎だが、コーヒーはお預けだ」
もう一人の男が探偵の顔面めがけて拳をふるった。
探偵の頭が揺れ、倒れそうになるが、男に腕を掴まれてる際で倒れることができない。
「軽いな、こんなんじゃ眠気覚ましにもならないぞ」
探偵は床に血が混じった唾を吐くと、殴った男を見据えた。
男が拳を振り上げるのと同時に、探偵は掴まれた腕を引き寄せ、頭突きを男の鼻めがけて放った。
痛みに顔を歪め、思わず腕を離し、男は地面に倒れる。
掴まれた右腕が自由になると同時に、振り下ろされた拳を左手で交わし、右の拳を顎目掛けて振り切る。
もう一人の男は床に倒れる。
一人は鼻から血を流し悶えている、一人は完全に気を失っている。
探偵は鼻血を出している男の頭部を蹴り上げる。
男は気を失った。
「次はあんたがやるのか?」
探偵が近づくと、男は胸ポケットから財布を取り出した。
「こんなものが欲しければくれてやる、だがお前は誰を敵に回したのかわかっていない」
探偵は財布を受け取ると、それをコートへしまった。
「あんたは戦わないのか?」
「ふざけるな」
そう言いかけた男の腹部を探偵は殴る。
「あんたは警官でも男でもないな」
腹を抑え、床をのたうちまわる男を見下ろし探偵はそう呟いた。
それは自分も同じだろうと、探偵は自嘲した。
すっかり荒れ果てたデスクのドアを開け、探偵は警察署を後にする。
しばらく歩き、探偵が気に入っている喫茶店へと向かう。
この店は昼は喫茶店、夜はバーとして開いている。
探偵は腕時計を確認する。15時。まだ喫茶店だ。
ドアを開けるとマスターがこちらを見る。
「あんたか、しばらくだな」
「まぁな」
探偵はカウンターへと座り、皮が剥け血が出ている拳をさする。
「また厄介事に首を突っ込んでるのか?お前さんも好きだな」
「俺も好きで関わってるわけじゃないだがな」
探偵はポケットから煙草を取り出し、口に咥える。
珈琲と煙草の組み合わせは何者にも勝る。
ライターを探して、ポケットを弄っているとマスターがわざとらしく咳払いをする。
ポケットの探索をやめ、マスターの方を見ると張り紙を手に持っている。
「禁煙だ」
探偵は煙草を咥えたまましばらく固まっていた。
「とうとうボケたのか?煙草無しじゃ、あんたの珈琲の魅力は無いも等しいぞ」
「知るか、煙草なんざ慢性的な自殺じゃ無いか」
納得のいかない探偵を他所目にマスターは珈琲の準備を始める。
「お前もマーカスを見習って煙草をやめて家庭を持つような人間らしい生き方をしたらどうだ?」
探偵は思わず息が詰まる。
「そうだな、あんなにいいやつは他にいないさ」
探偵は咥えていた煙草を箱に戻す。
沈黙が流れる。
正確に言えばマスターが仕事をする音だけが店内に響いている。
探偵はポケットから戦利品である財布を取り出し、中身を改める。
警察のデータベースに登録されていない男だ。中の身分書は役に立たないだろう。
危険物の取り扱いに関する資格証明書が何枚か折り畳まれて入っている。
名称は全てジョンドゥ。これは何かのジョークか?
そこで思わず探偵の手が止まる。
店の会員証。店名は天国。
ジョンドゥが持っている天国の会員証。見た目以上に意味があると探偵は睨む。
そこでマスターが探偵の前に珈琲を置く。
「今度は探偵じゃなくてスリにでもなったのか?」
「これも仕事だ」
探偵はコップを持ち上げ、湯気を立てる珈琲をすする。
事務所で飲んだタールのような飲み物とは風味が違う。
「なぁマスター、あんた天国って聞いて何か思い当たることは無いか?」
マスターは怪訝な表情を探偵に向ける。
「なんだ藪から棒に、俺に早くくたばれって言ってるのか?」
「そうゆうことじゃ無い」
探偵の顔から質の悪いジョークじゃ無いことを察知したマスターがしばらく顎髭をいじりながらしばらく考える。
その間に探偵は2口目の珈琲をすする。やはりうまい、しかし煙草の味が足りない。
「天国か、そんな名前のバーがあることは知ってるが、名前だけだ」
探偵は会員証をマスターに渡す。
しばらくマスターがそれを観察すると探偵へ投げて横した。
「住所が書いてあるじゃ無いか、お前はいつも全体をみて細部を見ないな」
探偵は頭をかきながら、もう一度会員証を見る。小文字で住所が記載されている。
「どんな事件であっても細部まで観察するんだ、若造」
過去に上司から叱咤されたことが頭によぎる。
俺はまだまだ若造か。
探偵は財布をポケットに戻すと、珈琲の代金をカウンターへ置く。
「そろそろ出る」
マスターは代金を受け取ると探偵の飲んだコップを片付け始めた。
「マーカスにも顔を見せるように言っておいてくれ」
「あぁ伝えておくよ」
探偵はドアを開け、店を出る。時計の針はそんなには進んでいない。
書かれていた住所はそう遠く無い、探偵は口に残った珈琲の風味を味わいながら煙草に火をつけた。
第十六章 マーカス 死体は一つ
組織の中で生きるためには綺麗事だけでは生きていけない。
それは自分の人生で学んだことの数少ない教訓の1つだった。
子供の頃に夢見たような正義の味方はこの世界にいないことは既に知っていた。
それでも自分は誇りある警官なのだ。
バッチをつけている間だけは自分は正義の味方だった。
「この件はこちらで処理をする」
目の前の男は室内であるのにサングラスをつけていた。
古い友人からの一本の電話、それが自分の人生を変えようとしていた。
「おいそれと納得できないな」
マーカスは目の男の威圧を物ともせず、一歩前に進んだ。
しばらくの沈黙。部屋に重たい沈黙が流れる。
ある一家から回収された4体の死体。ただの事件ではないことはマーカスがよくわかっていた。
「少なくともこれは上層部の決定だ、これ以上踏み込むな」
男はそう言い放つと、後ろを振り返り遺体安置所から出ていく。
やれきれない思いでマーカスは拳を強く握った。
大声で叫びたい気分だったが、それを理性が必死に抑えている。
「死者が目を覚ますぞ、用が済んだのならさっさと出て行ってくれ」
マスクにゴーグル、布の帽子をつけた係員が用具を片付けながら、自分を見据える。
「悪かった」
マーカスは謝罪し、ドアを開け遺体安置所を後にする。
外は暗闇に包まれている。
マーカスは胸ポケットを弄る、ただそこに煙草はない。
煙草はやめたはずだった。
マーカスは車に乗り込み、署へと向かった。
さっきまで降っていた雨が病んだおかげか、人通りが増えている。
出歩く人間が増えれば、その分トラブルの数も多くなる。
それをうんざり思い始めたのはいつからだろうか。
この世界にはそんなトラブルが可愛く見えるような巨悪が潜んでいる。
ただそれはコミックの悪役のような姿はしていない。
そんなことを思っていると、車は警察署の前へたどり着く。
エンジンを切り、車を降りる。
そのままの足で、警官は上司のオフィスを訪ねる。
ドアをノックし、返事を待つ。
「入っていいぞ」
その声と同時にドアが開く。
体格のいい二人の若い警察官が横を通り過ぎる。
会釈の一つぐらいしたらどうかと思ったが、そんな小言を行っている暇はない。
「失礼します」
マーカスは整理されたオフィスのソファに腰を下ろす上司の前に立つ。
「用件はなんだ?」
「先ほどの殺害事件についてです」
その後の言葉を上司が遮る。
「あぁ、あれは事件ではない」
マーカスはいよいよ自分が立っている地面の脆さに気付いた。
「それはどうゆうことでしょうか」
上司は自分の目を見ずに続ける。
「そのままの意味だ。事件でないなら君が捜査する必要もない」
「あれは明らかに殺人でしょう」
身を乗り出し抗議の姿勢を示す。
水面の様に落ち着いた様子で上司は続ける。
「いいか、これは命令だ。この件には関わるな」
上司はそう言い放つ。
警官は背後に冷たいものを感じた。
「承知しました、確認ですがこれは事件ではないんですね」
「そうとも」
こんな禅問答を繰り返しても意味がない。
警官は振り返り、ドアノブに手をかける。
その背後から上司が言葉を投げかける。
「君は嫁さんも可愛い娘もいるのだろう?今日はもう帰ったほうがいい」
明らかに言葉以上の意味を含んでいることをマーカスは悟った。
後ろ手でドアを閉める。警官の覚悟はもう決まっていた。
警察署を後にし、車のシーツに体を沈める。
ポケットから携帯を取り出し、液晶で微笑む妻と娘の顔を見る。
ここで折れてしまったら、二人に合わす顔がない。
マーカスは車のエンジンをかけた。
行き先は決まっている、遺体安置所だ。
マーカスは車を飛ばした、あのサングラスの男が既に調査している可能性がある。
遺体安置所の前に車を止め、マーカスは再び、そこへと足を踏み入れる。
ドアを開けると、職員がまたかといった視線をマーカスへ向ける。
「何か忘れ物でもしたのか?」
「あぁそうだ」
マーカスはろくに目も合わせずに、職員の横を通り過ぎる。
遺体はまだそこにあった。
後ろからついてきた職員にマーカスは質問する。
「この男の身柄は?」
「まだ何も、ただ普通の死体じゃないな」
「男の所有物が見たい」
職員は警官に財布を投げて寄越した。
マーカスはそれを受け取り、しばらく観察する。
なんの変哲もない財布に見えるが、意味深な刻印が押されている。
中身を調べようとしたところで、マーカスはある気配を感じた。
「関わるなと言ったはずだ」
サングラスをかけた男がそこに立っていた。
「すまないが、身元も明かさない奴の命令は聞けないな」
サングラスの男が警官に近づく。
「警告はしたぞ」
サングラスの性で男の目線が見えない。
「あぁ確かに聞いた」
男が腰に手をかけたその瞬間、反射的にマーカスの体が動く。
腰のホススターに手を掛ける。
しかし、マーカスの眼前には銃口が向けられている。
死体を挟み、二人の男が睨み合う。
「2度目はないぞ」
男の指がトリガーにかかる。
マーカスの額に汗がにじむ。
その刹那、警官は死体のキャスターを蹴り上げる。
甲高い金属音をあげ、キャスターが男の下半身へ激突する。
男の体制が崩れる、マーカスはそれを見逃さず男の腕を掴み捻りあげる。
その体制のまま、マーカスは男の顎へ拳を振るう。
男の手から銃が転がり、地面に崩れ落ちた。
もう後戻りはできない。
死体を調査している時間はない、マーカスは死体を抱き抱えるとそのまま出口へ向かった。
「あんた一体何をしてるんだ」
後ろで職員が叫ぶ。
「きっと正しいことだ」
誰にも聞こえない声で、そう呟いた。
男の死体を車に乗せた際に、ポケットから財布が落ちる。
なんの変哲もない茶色い皮の財布だ。
マーカスはそれを拾い上げると、自身のポケットへそれをしまった。
車に乗り込みエンジンをかける。
死体とのドライブなどしたこともなかった。
マーカスは夜が明けた空の下、車を走らせる。
この財布は必ず事件の真相へ繋がるはずだ。自分はそう確信していた。
警察署へはもう戻れない、マーカスは唯一信用ができる友の元へと向かった。
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