第12話 第二章 憎悪の幽鬼

 それが出た瞬間、咄嗟に[鑑定]を使う。


 種族 憎悪の幽鬼   Lv?  

 深度  2

 HP 80/80

 MP 54/54

 STR   26

 DEF   ???

 INT   1

 RES   12

 AGI   18

 LUK 5

 

 スキル  体術Lv5 受け流しLv3 

     防御Lv3 ■■■■


 称号 復讐者 鉄壁 憎悪の幽鬼


 一瞬でわかった、これはヤバいと。

「清華!」



 一部ステータスが視えないとか、深度が2になっているとかいろいろあるが、

 何より[気配察知]がゴブリンキング以上にヤバいと告げている。

 シュタッ!


 俺はスライムになった清華を持ち、すぐに逃げた。

 ゴブリンキングと戦った時とは違って、ここは草原。

[逃走]は無いが[神速]を使えば、逃げ切れるはずだ!


 その希望は、すぐに打ち砕かれた。

 ガタンッ

 壁があった。目に見えない透明な壁が。


「クソが!」


 すぐに清華を放り投げ、騎士槍ランスを構え突撃する。


 いくらなんでもこの一撃を耐えきれるはずがない!


 そんな様子を、憎悪の幽鬼は鼻で笑い

 キィィィン!

 左手のメリケンサックで受け流し、右手のメリケンサックで腹を殴った。

「グハッ!」

「マスター!」

 俺は、一瞬で透明な壁まで戻ってきた。


 HP 2/15 


 すでに死の一歩手前だ。

 油断してた。色々といつもの敵とは、違うことがあったのに、[気配察知]が全力で警告していたのに俺は、今まで一撃で倒せたから。

 倒せなくても致命傷ぐらいは与えられるだろう。なんて軽い気持ちで挑んだ。

 そのツケを払わされた。 


「清華……」

「分かってる。」

 そう言いながら、清華の手が緑色の光を放った。清華の[回復魔法ヒールLv1]……HPや疲労などを回復させるスキルだ。 


 しかし、そんなことをしている暇を憎悪の幽鬼は、与えてくれない。

 壁まで吹き飛んだおかげで少しは猶予が、あるが時間がない。


 清華は、[回復魔法ヒールLv1]に集中しているため他のことは出来ない。


「万事休すか……」


 せめて清華は助かればいいな。


 憎悪の幽鬼が目の前で拳を振り上げた。


 そうして、俺は死んだ。















 ……あれ?


 何故か拳が目の前で止まっていた。

 それだけじゃない。必死に回復させようとしている清華が、遠くから戦いを見ていたゴブリン達も、全てが止まっていた。


【強い死の危機を感知、それが試練内部で起こっていることを確認、深度が2に到達していることを確認しました。

 また、それが特殊ボスによって起こされていることを確認、

 個体名 田中 すすむが人類に大きく貢献する可能性があることを確認。

 個体名 田中 すすむが討伐レベルに満たしていないことを確認しました。

 これにより一時的にスキル[思考加速]のLvを10に上昇、

 ユニークスキル[予測]に進化させました。

 ユニークスキル[予測]を強制起動させます。】


 は?


 そして、世界が進んだ。
















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