第9話 第二章 不法侵入

「ハアー緊張する。」 

「どうして?」

「これが犯罪だからだよ。」


俺は、清華と一緒に“立ち入り禁止”と書かれている看板の前に立っていた。

時間は、午後11時だ。


「話しているとだいぶ落ち着いてきたし、そろそろ行くか。」

「うん。」


俺達は、看板を飛び越えて行った。


しばらく進んで行くと、銃を持った自衛隊の人がいた。近くにテントに人の気配がするから、交代しながら2人で、見張りをしているようだ。

俺は、緊張しながら横を通るが、自衛隊の人は、


「ほんとにバレなかった。」

「魔眼を使っているから当たり前。」


これが、清華が持っている魔眼の1つ

[幻覚の魔眼Lv1]だ。

視覚、聴覚、触覚などの五感を騙すことができるが、今の所1人にしか使えないため、

2人で見張っていたら、諦めようと思っていた。


そうして、半径1メートル位の穴についた。

全ての元凶、一日でレベルアップしたりスキル獲得したり、死にかけたりした場所だ。

前は、巻き込まれたが、 

今度は自分で巻き込まれに行く。


背中に背負ったリュックの中には、入れれるだけ入れた非常食、水の入ったペットボトル。 

その他色々。

準備は、整った。


「よし、行くか。」


俺は、自分から試練に飛び込んだ。


【試練に人間が入りました。

……その人間が、過去にダンジョンを攻略していることを確認。

リタイアした階層に転移します。】


中は、以前ゴブリンキングと戦った部屋だった。 

以前と違うことは、後ろにある扉と別に前に階段があることだ。

清華が入っていた牢屋を見て言う。


「そういえば清華ってなんで牢屋に入っていたんだ?」

「わからない。

草原で餌を探していたら、

突然穴が出て来て気づいたら牢屋にいた。」


草原が何なのかは分からなかったが、 

今は試練のことのほうが重要だ。


試練から出てからしばらくは、何もなかったが、だんだん試練に行きたくなってきて、

一週間も経つと我慢できなくなってきた。


だから母さんに頼んで何とか試練に行くことを、許可してもらった。


「さあ行くぞ!」

「ん。」

俺達は、階段を進んで行った。










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