第6話 エピローグ

 ゴブリンキングの体が、消えていって。最後には、指輪が、一つ残った。


 それと同時に、騎士槍ランスもMP がなくなったからか、消えていった。

 その指輪を鑑定する。


 名前  MP 回復の指輪


 スキル  MP回復、(一秒に1回復)


「マジか……」

 それを見た瞬間、とても驚いた。

 なぜなら、これさえあれば、[神速]をずっと発動し続けられるからだ。 


 あとは、戦っている間は、気づかなかったが、部屋の隅に、小さな牢屋があった。

 牢屋に近づいてみる。


 その中には、一匹のスライムがいた。

「大丈夫だぞ、もう出てきていいぞ。」

 不思議と、スライムを警戒する気が、起きなかった。

 スライムは、牢屋の隙間から出てくる。

「それにしてもあのゴブリンキング、スライムを牢屋に閉じ込めるとか、馬鹿なんだろうか……」

 称号に愚王とかあったし多分馬鹿なんだろう。


 そう思いながら、スライムが、出てくるのを待っていた。

 出てきた、スライムを持ち上げてみる。

 ぷるぷるしていて、とてもさわり心地が良かった。

 そうしていると、ふいに声が、聞こえた。 


【一定時間が、経過しました。外に、帰還します。】


 そして、気づけば、元の通学路に戻っていた。あたりは、すっかり夜になっていた。

「戻ってきた……。」

 日常に戻ってきたことを、実感していると、

 ぷるっ

 スライム《非日常》を手に持っていた。

「あ……完全に、忘れてた。」

 ぷるぷるしているスライムの処理に迷う。


(どこかに放置して、家に帰るか……けど、他の人に見つかったら討伐されそうだしな……)

 考えた末に、結論を出す。

「よし、持って帰るか。」

 親には、ないしょにしとけばいいし、バレてもこのいかにも弱そうなスライムならどうにかなる。

 田中は、完全に忘れていた。ダンジョンの入り口で放置された、自転車のことを。

 田中が帰宅部で、帰るのが基本的に早いため親が、帰宅時間に敏感なことを。

 そして、何より親が謎の声を聞いて不安な状況で、帰るのがいつもより遅い息子がを心配しない訳がないことをを、田中は、忘れていた。

 田中家では、長い間説教の声が、聞こえたらしい。


 一章 完




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