雨がぽつらぽつらと体を打つ昼下がり

 薄灰色の空から冷たいような冷たくないような雫たちが

 予定よりも早く重力に引き込まれる


 夏と冬の間の生温い空気が私をやさしく包み込んでいるように感じた

 決心の末に手放した今朝の布団の中の温もりみたいなやさしさ


 二週間も経てば人間は新しい環境に適応するなんて誰が言ったんだろう

 上滑る会話、掴み切れない人と居場所、破れない本当を覆う殻、

 画面越しの講師の言葉、はじめましての景色、、、

 いつまでも煮え切らない不器用が服にできた斑点の数だけ赦された気がした


 体の一部のようになった布の下で思わず口が緩む



 雲が泣いているなんて歌詞は今の私にはかすりもしない

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散文集「かがやき」 星彩 涼 @ochappa

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