散文集「かがやき」

星彩 涼

走る

走り出す。目的も持たぬまま。

ただ走る。心のコンパスが指し示す方へと。

その先にあるものも分からぬまま。

たとえそこに何もなくても、それでいい。

それが自分の信じた道の果てであるなら。

それでいい。

なにもなくとも、心の清々しさだけはあるはずだから。

水彩ではどうやっても表せない青空の下で、

母のように優しく、父のように暖かい春風に包まれるような清々しさ。

それを全身で、細胞ひとつすら残さず、

味わいたい。

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