アメリカ合衆国陸軍 歩兵装備

M-14

・赤色戦争当時のM1ガーランドやM1カービンの後継として開発された7.62㎜小銃。

・アメリカ連邦軍で開発され、使用する戦場は北米大陸の広大な平地を想定していた。

・1950年代の連邦と連合の合併に伴い連合軍が標準としていたM1ガーランドやM1カービン、M3グリースガン、BARの更新問題が出てくる頃にはベトナム戦争が始まっており、M1のシリーズと共にベトナムに投入されたが、これがいろいろと祟った。

・開発メーカーも、運用する米軍もこの銃を高温多湿のジャングルで使用することは想定外。

・木製ストックが腐ったり、フルオート時ま7.62㎜弾の反動が強すぎて制御が難しいなどの批判が続出。

・元アメリカ連邦軍が開発していた5.56㎜規格の自動小銃M-16が配備される時点でM1シリーズと共に順次更新、廃止された後、細々と狙撃銃として一部が使用された後、南米戦線で破壊力故に再び第一線に返り咲く数奇な運命を辿った銃。


M-16シリーズ

・アメリカ連合軍が検討していた小口径ライフル企画により開発が進んでいた、AR-10をベースにした5.56㎜小銃だが、配備が進む前に南米戦線でのパワー不足を指摘され、M14やM1の再生産に全力を投入した関係から、5.56㎜弾規格と共に少数配備に留まった。




M2002

概略

・9.7㎜ヘルマーチ弾を使用するボルトアクションライフル。

・米軍が狙撃用途以外でボルトアクションライフルを採用するのはM1903以来。M1903の退役が1940年(しかも合衆国発足前)だから、およそ60年を超えてのボルトアクションライフル復活となる。

・実は日本軍も同じ理由で新型銃をボルトアクションライフルにしていることもあり、トライアルの採用が決定したのは、XM-202と呼ばれた試作銃。

・別口径のスポーツ射撃用に開発され、お蔵入りしていたのをS&M社が引っ張り出してきたものだ。

・参考……というか、彼等にパクられたのは、イギリス軍のL115A3軍用狙撃銃。

・ボルトアクションライフルとしては珍しい、銃身と銃床が一直線上にある直銃床方式の銃で、大型のサムホールと共に、曲銃床に慣れない兵士でも直感的に扱える外見を持っており、しかも、他のメーカーが木製ストックを採用したのに対して、生産のコストも手間も圧縮できる強化プラスチック製によるパーツを多く採用する他、等倍のスコープを取り付けたり、参考となった狙撃銃に組み込まれていた命中精度向上のための機能を生産効率重視の観点からほぼ全てオミットし、市販されている狩猟用ライフルと同程度という簡単な機関部を装備することで量産性を向上した代物―――とでも言えば聞こえが良いだろう。

・しかし、はっきりいえば、安くて撃ちやすいだけが取り柄な銃。

・S&M社はオーナーが中国系アメリカ人で、某拳銃で有名なメーカーのパクリとして、アメリカ本国だけで百近い裁判を抱えていることでしか知られていない曰く付きのメーカー。

・そんなメーカー製であることが納得出来る外見と由来のこの銃は、S&M社のオーナー一族がギャングに惨殺されて倒産、銃に関する全ての権利書類がギャングによって燃やされたことから採用が決定したあたり、米軍がヘルマーチ弾採用を巡ってどれほど焦っていたかがよくわかる。

・しかし、さすがに元のメーカーがメーカーなのか、採用した後に問題点が続出し、最後にはM3へと更新されて前線からは早期に姿を消した。

 口径  9.7ミリ

 銃身長 610ミリ

 全長 1,115ミリ     

 装弾数 5発

 作動方式 ボルトアクション方式

 重量  3,97キログラム



M3


・米軍司令部が満を持して投入したM2002は、意外なことに前線で問題が続出した。


【M2002で問題とされた事項】

・9.7㎜弾を使用するにはバレルを短くしすぎたことから、予想よりも反動が大きくて熟練兵でも二脚を使用しないと制御が難しい。

・機関部の加工精度の低さを原因として故障が続出する。

・ストックの接着が不良で、射撃のショックでプラスチックパーツが分解する。

・……その他。

・特に機関部の故障は顕著で、最後には暴発による死人まで出る騒ぎになって、指揮官用のM20エイプリルを代替として臨時配備する騒ぎになる。

・立ち上げられた原因究明委員会から、同時期に配備された四式や、英仏共同開発のR9、ドイツのGew97では同様の問題が全くないこと。そして、それぞれ独自に問題への対策がされているのに対して、M2002は機関部他、全てを悪条件での使用を考えない民間規格のまま流用したこと、つまり、悪条件や異物混入に構造上極めて弱ことを放置して採用したことが問題の根源と指摘され、軍司令部は機関部の設計変更を余儀なくされる。

・このため、技術供与に協力してくれたドイツのGew97と同じモーゼル方式を採用(ダブルカラム方式を採用した四式や英仏のR9と異なり、装弾数が半分の5発に留まるものの、モーゼルkar98以来の伝統と実績を持つモーゼル方式は信頼性が高い)

・ストックやプラスチック部分は接合方法や接着剤の見直しを行うなどして工夫され、改良されたモデルを特にM3と呼ぶことで、それまでのM2002を“なかったこと”にしたいらしい。

・Gew97と規格が統一されたように思われる機関部だが、実は四式とこのM3だけは左効きの射手に対応するモデルがある。R9はボルトの動きを重視しすぎて対応出来ない設計になっているし、Gew97は左利きを個人の問題と割り切っている。


 M3A2モデル

 口径  9.7ミリ

 銃身長 894ミリ

 全長 1,306ミリ     

 装弾数 5発

 作動方式 ボルトアクション方式




---

M20 エイプリル

・一般兵ではファッチ(FUACH)とも。

・M1トンプソン短機関銃と外見はほとんど一緒。

・50口径マグナム弾が発射出来るセミオート銃。

・サウスダコタの自称ガンスミス、貧乏大学生のウィル・ジョーンズが軍に売り込んだサブマシンガンサイズの大口径銃を始まりとする。

・ちなみに売り込んだ日は4月1日。売り込んだ彼の本気がそこから知れるし、「売れてびっくりした」という彼のセリフだけは間違いなく本気。

・フルオート機能と引き替えに、M1911に採用された.45ACP弾を発射するM1トンプソンを.50AE弾を発射可能にしたというアホみたいな代物。

・M1トンプソンそのものは1970年代には骨董品扱いされていた代物でしかなく、ジョーンズ自身、祖父の遺品から見つけたものを参考に、父の板金工場の機械で作ったという。

この頃、米軍が抱えていた“マグナム問題(後述)”がこの銃によって解決された。

・外見がサブマシンガンなので誤解されやすいが、「.50口径弾を撃てるセミオート銃」と割り切ったこともあり、主に指揮官向けに本格採用された後、反動の問題からカービン銃が作れないM3に代わり、山岳部や市街地、そして山林など、長い銃では取り回しが難しい戦場が多い日本戦線においては、扱いやすい本銃は一般兵士向けにも配備を求める声が高く、これに応じる形で戦争後期においては米軍の主力銃に数えられた。

・オーク兵にも一定のストッピングパワーが認められる上に、非武装部分に命中させれば大抵の人型妖魔を仕留めることが出来たので、大きくかさばるM3よりも兵士達の評価は高かった。

・M1では生産効率のネックとされた木製部分は全部樹脂製に切り替えられており、生産コストの低下にも一役買っている。

・構造はセミオート故にシンプルかつ単純。整備も簡単。軍教官曰く「バカでも●●人でも扱える」ことからついた蔑称が「ファッチ」&color(#ffffff){(ファッカー・アンド・チンク:バカでも中●人でもの略)}


M4ベオウルフ

・米軍が対人用に採用していたM4に簡単な改造を施すだけで50口径弾が撃てるキットを組み込んだもの。

・ただし、携行弾薬が10発程度にとどまったり、M20の大量生産・大量配備の体制がすでに整っていることから、わざわざM4を改造する必要がなかったことなどから一部が特殊部隊などで運用され、実戦投入されたに留まった。



参考:マグナム問題。

・南米の前線では、兵士が個人的に持ち込んだM29(44口径マグナム弾)などの大口径マグナム弾を発砲して、その強い反動で手首を負傷する事故が続出した。

・特に50口径マグナム弾を採用した大型銃は死者まで出す騒ぎになった。

・また、そうでなくても不慣れな状態や想定外の使用方法を用いた結果、重度の後遺症が残る程の負傷が多数報告されたことから、軍として前線への個人的なマグナム弾の持ち込みさえ禁止する措置までとられ、兵士達から反発を受けた。

・この命令は公然と無視され、負傷者は相変わらず続出。

・全ては妖魔に有効な武器を配備しない軍にあるとして、米軍に9.7ミリ弾や50口径マグナム弾の配備を決断させた。


アメリカ軍における9.7㎜弾採用の背景

・M-16やM-4などの5.56ミリ小銃弾が、中型妖魔相手には何ほどの役にも立たないと、南米で散々犠牲を出して軍司令部がやっと分かってくれたことで採用が決まったというのが定説。

・実際の所は、世界的な弾薬販売シェア確保のために政治力だけで5.56㎜弾を米軍に採用させて基準弾薬とした後も、7.62㎜弾をヨーロッパ標準規格と推すベルギーFM社からシェアを奪おうと活動を続けると共に、新型弾薬の開発全てを潰し続けてきた世界最大級の銃メーカー、ミントン・アームズ社のトップ、アメリカ兵器産業の大重鎮アル・ファレット・ミントンのせい。

・前線で兵士が何人死のうと、自社生産の弾薬さえ売れたら全て良し。自社以外の弾薬は全て売れなければ尚良し。

・それが彼の信念。

・特に、M-16の製造ラインへの投資が回収できない中での7.62mm弾の再度主力化の動きは彼が大反対の姿勢を貫いたことで数度にわたって頓挫した経緯がある。

・おかげで、7.62mm弾の採用さえままならない状況がアメリカでは長く続いた。

・困り果てた軍と大統領の政治工作によって、アメリカ国内での7.62mm弾の独占的製造権をミントン社に与えられたら、掌を返すように7.62mm弾信奉者を名乗るようになった節操無しの彼が極東戦線の前後になってやっと死んでくれたおかげで、米軍は大口径銃弾の開発と採用に本腰を入れることが出来るようになった。

・ちなみに、本当に善戦で兵士達が欲しがった銃はバレットM82A1、12.7㎜対物ライフル。

・オーク兵は、そんなものでもなければくたばる相手ではない。

・この状況で南米戦線を抑え切れたのは奇跡に近い話ではあるが、さすがに極東戦線でもう一度、妖魔と戦えと兵士達に命じる以上、相応の兵器を配備しなければ、兵士達が反乱さえ起こしかねないと判断した米国政府は、日本が9.7㎜弾を開発した情報を掴む。

・日本から貸与された試作銃10挺が米軍狙撃兵によって試験を受けることとなり、その9.7㎜弾は彼等から「オーク兵を一発で仕留めるのに十分すぎる威力」との高い評価を受けたことや、日本政府がこの9.7㎜弾の生産をミントン社を含めて米銃器メーカー数社に委託したことも配備を進める上で幸いした。

・弾薬生産にミントン社他の生産協力を得られると判断した米軍上層部は、戦場での弾丸の互換性も考えて9.7㎜弾の採用を臨時決定、メーカー数社に同口径を用いた銃の開発を依頼した。

・すると奇しくも、全メーカーが同じ回答をしてきた。

・曰く、新型銃は数万挺の開発を前提とするなら、フルオート射撃は不可能、もしくは危険。セミオートでも安全性を保証出来ない。

・そんな彼等が逆提案してきたのはボルトアクションライフル。

・M1ガーランドのように発射時のガス圧を利用したロータリーボルトロッキングによるセミオート機構を提案する企業も存在したが、機構の複雑さと信頼性が確保出来ないことから採用は見送られた。

・まず、最もコストが安いということから試験採用されたのがM2002である。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る