世界に関する設定

基礎情報 世界

物語の時間設定について

・我々の考える西暦2010年頃を物語の始まりと仮定する。

・が、厳密には特定しない。

・その理由は、この世界には西暦(A.D)の概念が存在しないから。

・尚、この世界の世界共通暦は「帝国暦(A.I)」。

・西暦2015年は、帝国歴3175年……。感覚狂うでしょ?こういうの。



次元的レベルでの世界設定

・設定上、この世界は数十次元によって成立する。

・各次元は複雑に絡み合って存在しているが、それぞれへの行き来は基本的に不可能。

・近年(……といっても1万年ほど昔)、後述する獄族によって多次元移動理論と関連技術が生み出されたことから、その技術を持つ神族・魔族・獄族に限って、下記5世界に関しては、相互移動が可能になっている。(移動は出来ても、それぞれの世界への関与には色々と規制がある)



この物語に出てくる5つの世界


+ 天界~神族と精霊が住む世界。

+ 魔界~魔族と妖魔が住む世界。

+ 獄界~獄族と死霊が住む世界。

+ 狭間界(きょうかい。別に“はざまのせかい”とも)~上記3世界の住民達が入り乱れ、混血を繰り返した結果、既に種族の区別を失っている世界。

+ 人間界~我々の住む世界。上記4世界では、「新世界」とも呼ばれる。



設定 : 戦争

・物語の中で、「戦争」と呼ばれる場合、大抵は下記二つのいずれかを示す。

・「二つの戦争」となれば、下記二つを示す。


赤色戦争~別名、「北米大戦」。この世界における、有史上たった一つの世界大戦。北米全土が戦場となった(西暦に換算して1938年から1945年までを想定)


三十年戦争~南米とアフリカで発生した人類対妖魔の戦争。物語の中で、「戦争」といえば、多くはこの戦争を示す。



設定 : 神族・魔族、獄族について

・人類にとっての創造主は彼ら。

・人間世界の暦で数千年を生きる、人間以上の高等生命体。

・まぁ、神だの魔だの名乗っていても、所詮は別世界の生命体に過ぎないが……。



設定 : 人類について

・神族と魔族によって創造された生命体。

・使い捨ての出来る労働力―――よく言っても悪く言っても「奴隷」に過ぎない。

・そのため、神族や魔族に比べて寿命、身体能力など、個のスペックは極めて低い。

・相次いだ戦争の結果、物語開始時点での総人口は約30億。


設定 : 世界の文化レベル

・1970年代後半に留まっている。

・コンピューター系の民生技術が発達していないのが大きな特徴。

・SONYもセガもアップルもないし、任天堂は花札を売る京都の老舗玩具店でしかない。だからテレビゲームの類は普及していない。

・携帯電話やインターネットはようやく普及し始めた段階。

・日本では未だに家制度が残されており、祖父母と両親、子供まで含めて6人前後の家族構成が最も一般的。逆に核家族は珍しい。

・過去100年間の間に生み出された人類の力は、「二つの戦争」に全て注ぎ込まれたといっても過言ではなく、その結果、世界の民間系技術力は経済と共に、現実世界程は成長しなかった。

・特に妖魔との戦争を経験した約30年間は、2つの大陸で総人口の約4割が死ぬ希に見る混迷期であり、この間の経済はほとんど停滞状態となった。

・そんなこんなで、世界の文化は1970年代にようやく到達した程度に留まる。

・わからなかったら、「映画「ALWAYS三丁目の夕日」や「ちびまる子ちゃん」でも考えて欲しい。あんな感じ。

・マクドナルドなどのファーストフード店舗もあるし、コンビニもあるにしても、肝心の東京でさえ、関東大震災も世界大戦もなかった関係で、一歩奥に入れば江戸時代から続く下町の風景が色濃く残されている。



この世界に存在しないもの

蚕&絹

 ・この世界には蚕が生息していないため、人々は絹の存在を知らない(魔界と天界には存在する)

 ・この世界で一般的な素材は綿と羊毛。

 ・絹に近い繊維が誕生したのは19世紀の化学繊維の発明以降。

 ・化学繊維(人絹)はヨーロッパの特産品。


胡椒を含む香辛料の一部

 ・胡椒、ナツメグといった香辛料は存在しない。

 ・ヨーロッパでも採取出来る香辛料は存在する。

 ・ラーメンはあるけど胡椒がない。

 ・唐辛子とワサビはある。

 ・不本意だが、当然ながらカレーもない。


ペスト菌


社会啓蒙思想

 ・歴史上、人権活動がロクでもない結果しか生まなかったこと、そして、時の権力者に徹底的に弾圧された結果。


カソリックとプロテスタント

 ・宗教改革を行うほど、キリスト教は発展していない。

 ・この世界でのキリスト教は、元々はイタリアローマ地方で信じられている一地方宗教に過ぎない。


社会主義と共産主義

 ・啓蒙思想と同じ運命と扱い。



現実世界と異なる、歴史上の主な出来事。


香辛料や絹を巡る貿易が行われなかった。

 ・存在しないのだから当然。


ローマ帝国の拡大はなかった。

 ・ヨーロッパ方面の侵出を試みたローマ人だったが、彼等には騎士や魔法騎士、そして魔導師がほとんど存在しなかった。

 ・これに対して、ヨーロッパ各地の蛮族は魔導師を頂点に騎士や魔法騎士を多数保有していた関係から、力関係では圧倒的に不利で、イタリア半島以上に領土を拡大することは出来なかった。

 ・また、ローマそのものが内戦につぐ内戦と腐敗により国家としても最初から最後まで不安定だった。 


キリスト教のローマ帝国国教化はなかった。

 【補足】

 ・312年ローマ皇帝コンスタンティヌス1世(史実ではキリスト教に改宗)、ミルウィウス橋の戦いにて敗死。

 ・375年、テオドシウス1世(史実ではキリスト教国教承認)、父の反逆容疑に連座、帝位に就く前に処刑される。

 【世界的異端宗教・キリスト教】

 ・元来、キリスト教は既存の多神教文化と相容れず、それを批判し、また皇帝崇拝を拒んだため、社会の異分子としてしばしば弾圧の対象とされた。

 ・また、ミトラ教を国教としたローマ帝国では、キリスト教は国家に反逆する禁教とされ、信徒は死刑に処された流れを受け、同じく多神教が多いヨーロッパ伝統宗教でも同様に異教徒扱いされた。

 ・キリスト教が社会的に認知されるのは何と10世紀以降である。

 ・当然、十字軍なんて起ころうはずがない。


モンゴル帝国の侵攻は史実ほどではなかった。

 ・モンゴル帝国によるヨーロッパ侵攻はなかった。

 ・モンゴル帝国弱体化の原因は12世紀末から発生した内紛と天然痘または発疹チフス(あるいはそれらの同時流行)の大発生による。

 ・13世紀半ばにはモンゴルは明などの新興国によって崩壊する。


十字軍はなかった。

 ・キリスト教の普及が遅かったのが原因。

 ・ただし、このおかげでアラビア世界の知識や技術がヨーロッパに入るのが相当遅れたのも確か。


ペストの流行は発生しなかった。

 ・14世紀に猛威を振るったペストは発生しなかったため、ヨーロッパ人口の激減は発生しなかった。


ヨーロッパでの宗教紛争は発生していない。

 ・キリスト教が広まらず、伝統宗教が形を変えて生き延びたため、宗教を理由にした戦いが発生することはなかった。

15世紀から18世紀まではヨーロッパは飢饉もなければ戦争もない「黄金の三世紀」を経験している。


市民革命は失敗した。

 ・啓蒙思想は異端として弾圧され、思想家は処刑された。


宗教改革は起きていない。

 ・キリスト教が広まっていないんだから当然。


ラキ火山と浅間山が噴火していない。

 【史実】

 ・18世紀、ラキ火山噴火によって発生した噴煙は、ヨーロッパ全域での日照量激減によってもたらした。 

 ・この影響で農作物が不作、収穫量減少に伴う飢饉を引き起こした。

 ・都市部への穀物供給は滞り、食糧事情を悪化させただけでなく、パンの価格の上昇による貧困を生み出した。

 ・国庫収入も激減し、債務償還も暗礁に乗り上げ、貧困解消という名のフランス革命のほぼ直接的原因を引き起こした。

 【この世界では】

 ・火山は噴火していない。

 ・ヨーロッパの気候は安定したまま。


フランス革命は失敗した。

 ・戦争をしなかったおかげでフランスの財政は安定していた。

 ・反国王派によるパリでのクーデターを契機とした反乱が発生し、国王一家が一時海外に亡命する。

 ・これがフランス革命と呼ばれるにしても、現実政治を知らない啓蒙思想にかぶれた若手貴族や学生達の暴走に過ぎず、反対する市民を虐殺する恐怖政治を引き起こし、後に国王派の軍隊によって粛正される。

 ・フランスはこの間に他国の侵略を受け、この間に領土の3分の1と植民地の全てを喪失。ヨーロッパの大国としての地位を失うことになる。

 ・各国は啓蒙思想家とそれを煽り立てた新聞などの言論界への引き締めを強化する動きを見せた。


ヨーロッパは未だに封建制度が続いている。


アメリカ独立戦争は起きていない。

 ・各国はアメリカを植民地化するのではなく、開拓者に金を貸すに留まった。

 ・その結果、アメリカ開拓者はヨーロッパの銀行に多額の借金を抱えることになり、支払いできない場合は容赦の無い取り立てに曝されることになった。銀行は資本家に開拓者から巻き上げた農場やその他土地を売り飛ばし、利益を得ることもした。

 ・アメリカでビジネスを立ち上げた者も、その多くがヨーロッパの資本の影響下に置かれ続けた。

 ・アメリカ政府もよもや開拓者の借金帳消しなんて出来ず、ヨーロッパは余剰に近い人口を借金を抱えた移民として送り出し、長きにわたってアメリカにおける経済的な影響力を確保し続けた。


征韓論者は粛正されている。

 ・西郷隆盛は不平氏族階級をまとめて反乱を起こさせることで、征韓論者を粛正することに貢献した。

大韓帝国は西王朝の侵攻を受け、その属国となる。


日清戦争は発生していない。

・1890年で清は滅亡している。


日露戦争は発生していない。

・発生したのは西露戦争(中華帝国対ロシア)。

・朝鮮半島を巡って争ったのは日本じゃなくて中華帝国たる西王朝。

・西王朝は日本軍が史実通り支払った人的犠牲の3倍の被害を被った後、日本に派兵を要請して、関係を複雑化させることを恐れたロシアを朝鮮半島から撤退させることに成功した。

・というか、当時のロシア皇帝が逝去した関係で、ロシアは戦争から一方的に手を引く代わりに西王朝に国境線上の有利な条件を押しつけることで線引きをつけたのだ。

・丸損したのは日本。

・このせいで、日本政府と国民は大陸への武力的な貢献は損するだけだと強く反対するようになる。


関東大震災は起きていない。

・東京は下町が今でも残っている。

・民法上、家族が生活単位として色濃く残る家制度が生きているせいか、地縁血縁を重視する傾向は都市・地方問わず強い。

・都内でマンションやアパートに住む者は大抵、地方出身者が不法入国者と疑われることから、共に土地経営としては勧められていない。

・下町育ちの住民には長屋の方が好まれる。


マルクスもレーニンも生まれていない。


イギリスはアフガニスタンに侵攻していない。


第一次世界大戦は発生していない。


第二次世界大戦は発生していない。

 ・ヒトラーもナチスも存在しないが、世界恐慌(1929年)でユダヤ人だけがボロ儲けした史実を受け、世界各地に反ユダヤ団体が公然として存在し続けている。

 ・広島、長崎の原爆投下はない。


朝鮮戦争は起きていない。


原子爆弾が初めて使用されたのはベトナム戦争。 


ロシアもアフガニスタンに侵攻していない。

・アフガニスタンは中華帝国に侵攻されるまで歴史ある独立国だった。


日本の高度経済成長は発生していない。

・朝鮮特需もなければベトナム戦争の後方支援もなかった。

・赤色戦争以降、日本は着実な経済成長路線をとり続けてきた。

・円のレートは対ドルに換算して1ドル360円の固定制を現実世界よりかなり長い期間とり続けた。


高度経済成長期の集団就職はなかった。

・若者が大量に東京や大都市へ就職を希望する動きはあったが、選挙への影響を恐れる声が地方議員から続々とあがり、その議員達主導の下、地方への利益誘導や人口維持の発想から、産業基盤は大都市ではなく地方へ分散する形がとられた。このため、地方からの集団就職という発想自体が日本には存在しなかった。

・戦後は総人口より労働人口割合の方が重視され、大家族・大量出産が奨励され、家族計画は避妊ではなく妊娠の方に力が置かれた。

・現在でも民法的に三年間妊娠しない場合の離婚が成立するのはその頃の名残。

・結果として地方は企業の工場が東南アジアへ移転するまでそれぞれに経済基盤を確保していられた。今次戦争において、地方から兵器が生産・供給できたのも、この時生み出された工場と、そこの元従業員のおかげ。


……とまぁ、いろいろと違う。「違う」ことだけ理解しておいて欲しい。

でないと、こんな話しについて行くことさえ出来ないだろうから。



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