第3話 このバッカ野郎!?

俺自身が.....初恋を忘れられない。

これは本当に情けない話だと思う。

だけど.....それだけ美里は憧れだ。

そして尊敬すべきで。

それから愛している.....。


そんな美里だが。

交通事故に遭ってしまった。

俺は衝撃で.....直ぐに美里の元に向かう。

それから......ICUに入院していて病室に移った美里を見る。


今、小春と美幸は席を外している。

小春は飲み物を買いに。

美幸は用事があると.....席を外した。


俺はその事で.....一人で美里を見つめる。

歯を食いしばって美里を見る。

何故.....何で美里なんだ.....?

こんな目に遭うのが、だ。


「.....美里。.....すまん。.....俺が来てもどうしようも無いかも知れないけど。.....せめて目だけは開けてほしい。.....頼む」


そんな会話をしながらも。

美里は一向に起きる気配は無い。

そりゃそうだろうな。

無傷だったけど.....事故は事故だ。


つまり.....脳とかに障害が.....あるかも知れないから。

そんな事を考えながら頭を抱える。

もしかしたら.....過去の記憶も全部吹っ飛ぶかも知れない。

その恐怖に支配される。

そう.....思っていた時だった。


「.....たつ.....や」


「.....美里.....!?」


奇跡が起こった様に美里が目を開けた。

それから俺を見てくる。

柔和に、だ。


俺は、オイ.....マジか!?、と思いながらパアッと明るくなって.....から。

直ぐに看護師を呼ぼうとナースコールに手を掛ける。

すると美里が俺の手を掴んだ。


「.....駄目。.....何するの」


「.....何するのって.....看護師を呼ぶんだよ。お前こそ何しているんだ」


「.....駄目。.....えへ.....えへへ」


「.....は.....」


一言呟いた次の瞬間。

俺は勢い良く何故か美里の横に手で撃沈させられた。

つまり.....真横の美里の側に、だ。

は?、と思ったのだが。

ハッと気が付いてそのまま俺は真っ赤になっていく。


「何しているんだお前は!!!!?」


「.....えへへ.....達也.....達也.....」


「アホ!何してい.....」


すると.....。

美里が胸の服を脱ぎ始めた。

それから、ねぇ。達也。暑くない、と聞いてくる。

俺は、は。はぁ!?、と衝撃を受けながら。


ピンクの下着姿が露わになる美里を見る。

馬鹿かコイツは!?

何をしているんだ!!!!?

俺の知っている美里じゃ無いぞこれは!


ガラッ


「お兄ちゃーん?.....あれ?お兄ちゃん?」


咄嗟に小春から隠れる様に布団を被ってしまった。

この状態は見られたら.....社会的に死んでしまう!

俺は思いながら.....顔だけ出している美里を見る。


美里も気が付かれない様に寝たふりをしていた.....。

コイツ!、と思いながらも俺も必死に隠れる。

このままバレるぐらいなら死んだほうがマシだ。


「あれ?何処行ったのかな。.....美里さん.....は知らないよね。.....じゃあ外かな」


そう言いながらそのまま小春はガラッとまたドアを開けて外に向かう。

俺はゼエゼエ言いながらガバッと布団を剥ぐ。

目の前の露わになっている下着を見る。

美里は満更でも無い顔だった。


その姿をジッとは見れず布で隠した。

何でこんなにすけべになっているんだ美里は!?

マジに頭おかしいんじゃないのか!


「美里.....お前.....どうした?!何でこんな真似を.....」


「.....そうだね。.....私どうしちゃったのかな?何だか達也に全部見てほしい気分.....」


「.....と、とにかく。看護師を呼ぶぞ。良いか。俺は嫌でも呼ぶぞ。お前が心配だから」


「.....じゃあその後に.....またエッチしよ」


駄目だコイツ。

思いながら俺は額に手を添えつつ。

そのまま看護師を呼んだ。


それから.....俺達は外で待つ事にする。

だけど.....忘れらない。

美里が狂った事が.....ピンクの下着が.....。



そう言えば言ってなかったかも知れないが。

美里と美幸の父親に当たる両親だが。

仲が険悪だ。

つまり.....あまり宜しく無い。


なので美里のお見舞いにも来なかった。

母親は来たが、だ。

最悪なもんだな、って思う。


「でも無傷で良かったね。お兄ちゃん。仮にも.....問題無いって」


「そうだな.....確かにな」


俺はブローチを返した。

美里に、だ。

すると美里は笑顔でそれを受け取ってから。


俺を艶かしい.....いや。

気のせいだとは思うがそれを振り払いながら。

俺達は病院からの帰路に着いていた。

美幸は病院に残るという。

横で小春がピンク色の髪飾りに触れている。


「美里お姉ちゃん.....何だか笑顔が増えた気がする」


「.....そうだな。.....確かにな。前よりかは増えたよな」


「.....何でだろ?えへへ。嬉しいな」


「そうだな。.....お前にとってはお姉ちゃんだからな」


思いながら俺達は薄暗い中で家まで帰って来た。

タクシー代は美幸達が全部出してくれたお陰で助かったが.....何だか申し訳無い。

今度お菓子でも持っていくか。

あんだけ笑顔が絶えなかったら大丈夫だろう。

小春のお菓子を、だ。


「.....でもお兄ちゃん顔が赤いよね。ずっと。どうしたの?」


「.....な、何でもない.....」


小春は?を浮かべる。

正直。

病院で起こった事はまだ夢なんじゃ無いかって思っているぐらいだ。

だから困るんだよなこれ。

その.....柔らかかったな.....胸が。


アカンこれ.....。

絶対に忘れよう。

美里ももうしてこないだろうし。

思春期の男子にはキツい。


「そう言えば伝言があるよ。美幸さんから」


「.....え?なんて?」


「.....有難う御座いました.....だって」


「.....アイツらしいな。全く」


そして俺達は玄関から上がる。

小春は、料理作るね、と先に笑顔で行ってしまう。

俺はそれを見送ってから.....手を動かした。


正直.....この日を境に。

美里と美幸とのエロラブコメが始まろうとは.....誰が予測したものか。

全く俺は想像が.....つかなかった。

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