第2話 交通事故

俺、山菱達也はそれなりに恵まれていると思う。

何がと言えば.....周りの女子の件で、だ。

つまり幼馴染と妹とか.....うん。


そんな条件が全て満たされている。

だけどまあ.....俺はそんな女子達の一部と仲が良いだけで実際は上手くいかない。

何がどうなっているかといえば例えば幼馴染の姉妹。


その姉妹と昔は仲が良かったのだが。

時代は流れてしまい。

凄く仲が悪くなってしまった。

こんなモノなのかな、と思ってしまう。


「.....」


そう思いながらの帰り道。

俺は穏やかに流れる空を見上げてからオレンジ色の日光を浴びる。

全くな、と思う。

美里も美幸も.....どっちもどっちだ。

昔の仲の良さは吹っ飛んでしまっているな.....今日の事も考えると。


「.....ったく。忌々しい」


思いながら歩いていると。

救急車とか警察車両の音が聞こえた。

俺は?を浮かべながらその音を聞きつつ空の彼方を見つめる。


しかし何処から聞こえているのか分からなかった。

考えながら河川敷を歩く。

深くは考える必要も無いが.....サイレンがなかなか煩い。

これは何処かで火事でもあったか?


「.....」


特にその火元を見に行く必要も無いが。

興味がそそられたので.....歩く。

その方角は.....俺の実家.....の近くだった.....?

どうなっている!?


俺は慌てて交差点に行く。

もしかしたら知り合いが巻き添えに?、と思ったから。

流石にその確率は低いとは思うが.....、と考えつつ。

野次馬だらけの救急隊員だらけの警官だらけの。

そんな場所にやって来る。


すると.....そこにシルバーの車が黒い車が大破しており。

うちの高校の女子生徒が倒れていた。

どうやら交通事故で巻き添えになった様だったが.....その途中。

瓦礫の中から赤色のカチューシャを.....俺は拾った。

まさか、と青ざめる。


「.....いや。まさかな」


嫌な予感だけは止めてくれ。

思いながら胸に.....そのカチューシャを押し当てる。

そして......心臓を高鳴らせていると。


ストレッチャーに運ばれていく女子生徒の顔が見れた。

その姿は.....黒の長髪で整っている顔立ち。

つまり.....運ばれているのは頭から出血しており.....酸素ボンベなどが添えられている.....嘘だ。

いやちょっと待て嘘だろ.....お前!?


「美里ぉ!!!!!」


「うわ!何だ君!」


「危ない危ない!入って来ないで!」


鞄を落としてから。

俺は直ぐに絶叫しながら駆け寄ったが。

警官と救急隊員に止められた。


愕然とする。

有り得ない.....嘘だ。

何故.....美里が.....そんな馬鹿な!?

俺は唇を噛んで暴れる。


「俺の知り合いだ!!!!!離せよ!!!!!」


「何を。無理に決まっているだろう!落ち着くんだ!」


そんな会話をしながらストレッチャーで運ばれて行く美里。

そしてそのまま救急車の後部ドアが閉められる。

俺はその姿を暴れながら見送る事しか出来ない.....。

何処に運ばれるってんだ。


それから救急車は走った。

何だ.....どういう事だ。

一体、何で美里なんだよ!!!!!

俺は暴れるのを止めてから崩れ落ちる。

そして.....涙を浮かべた。


警官の言葉すら耳に入って来ない。

側で声を掛けているのに、だ。

俺は頭に手を添える。

嘘だろう。

何がどうなっている。


「.....えっと。君。大丈夫かい」


「.....はい。すいません.....大丈夫っす」


俺はヨロヨロと立ち上がりながら周りを見渡すと。

そこに口を抑えてから青ざめている小春と。

ついさっきにやって来たかの様な美幸が停止線の先に居た。

美幸も小春も真剣な顔をしている。

真顔とはいかないが眉を顰めて俺を見た。


「.....お兄ちゃん.....どうなっている?」


「.....知らない。事故みたいだ」


「.....あの。お姉様はどうなったのですか。山菱さん.....?」


「.....分からん。.....事故で巻き添えになったとしか思えない.....」


あまりの事に衝撃で.....何も言い出せないし思えない。

考えられない。

どうしたら良いのだ俺は.....?


好きな人が割とマジに死んだかも知れないのに。

こんな所で止まっている場合か。

思いつつ側に居た警官にそのまま見上げてから聞いた。

必死めいて、だ。

教えてくれるか分からないが.....。


「すいません」


「.....はい?」


「.....あの.....女性は何処に運ばれましたか」


「.....ああ。えっと.....総合病院だと思うけどね。.....君は家族かい?」


「はい。......俺は.....その。......幼馴染です.....」


「.....そうか。早めに行ってあげて。.....本当はこういう事を言うのは駄目で秘密なんだけど.....君、かなりショックを受けているから」


「.....!......すいません.....マジに有難う御座います!!!!!」


その帽子を傾けたその中年と思しき警官にお礼を何度も言ってから。

俺と美幸と小春は頷き合った。

それから家に一旦帰ってから着替えてからそのまま集合してから直ぐに駆け出した。


そしてタクシーを使って.....町の中央の総合病院にやって来る。

そうしてから.....直ぐにICUに向かった。

待ってろ.....美里!

何でこんな事になっちまったんだ.....!

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