変化 #6
「おはよ!あ、昨日るい先輩、唯ちゃんの所行った?見かけた時に教室まだいるかもって伝えたんだ〜お礼に唯斗くんに会いたいなんて言わないから...//」
「ど直球にお礼求めてきたね。まあ今日あいつ休みらしいからうち来る?」
「えええ!いいの!?可愛くしていきたいな...どうしよ...近くに可愛い制服売ってるところあるかなっ??」
なんで制服なんだ。今着てる服は制服じゃないのか。まあ女子達を巻いてくれたし美紅ならあいつに会わせてもいっか。でも1つおかしなところがある。一昨日の放課後、美紅にはるいの事含めて事情を全部話したのになんで私の場所を教えた? 記憶喪失?認知症か?
「それにしても、昨日助けてくれてありがとねっ。あの後大丈夫だった?」
「え?昨日...あ、気づいたら走り出してて、なんであんなに走ってたのか覚えてなくて...笑 でもなんか、かけっこしてる気分になって楽しかったよ〜!」
こいつ重度の認知症だ。それに鬼ごっこ状態がいつの間にか1人かけっこに変わっている。まあ触れないでおこう。美紅が今日来るならハルに夜ご飯1人分多く作ってもらおう。美紅もハルの作ったご飯は喜ぶはずだ。サプライズにしてこっそりハルに伝えるか。
----------ハルとのトーク画面----------
〔ねえハル。今日女の子の友達1人連れてくから夜ご飯1人分多く作って欲しい。休みの日にわざわざごめん。〕
〔え!!唯ちゃんの友達!?パーティーセットとかいらない!?何がいい!?〕
何を始める気だ。それに芸能人って自覚ないのか。普通家に誰か来るの心配するだろ。まあ離れて会話する分には面倒見のいい優しい兄だなってふと思える。美紅の好きそうなもの...そうだ。
〔認知症にいい食べ物で何か作って欲しい〕
〔ん?認知症!?理由は聞かないでおいた方がよさそうだねっ。おっけい!調べてみて作ってみるね!〕
〔ありがとう〕
〔いいんだよ〜大事な大事な唯ちゃんのためだもん♡〕
--------------------------------------------
離れていてもロリコン野郎には変わりなかった。ハルは美紅がいたらロリコンの性格をどう控えるのかすごく気になる。テレビでの王子様キャラでいられても気持ち悪い。私の彼氏になったあいつを思い出してしまう。
美紅は放課後を楽しみにソワソワしていた。昼休みになり、美紅とご飯を食べようとした時なんだか鳥肌が立ってきた。
「唯いる〜?一緒にご飯食べよ?」
「るい先輩だ!かっこいい〜♡」
「まって一緒にいるのってそら先輩じゃない!?」
「えええ!やば!連絡先聞いてもいいかな!?」
教室があいつのせいでざわつく。昨日のことがあっても懲りないのか。るいの隣にるいと同じく高身長で顔の整った、スポーツ系の男がいる。女子達が昨日私に聞いてきた男の連絡先ってあいつのことか。るいとは違う明るいオーラからすぐにわかる。とりあえず断ろう。目立ちたくない。2人のいるドアに向かった。
「ごめん無理。美紅と食べるから」
「君が唯ちゃん?るいから昨日の話ぜーんぶ聞いたよ!」
「誰ですか?」
「俺は
「そうですか。とりあえず教室戻ってください。」
「うわあぁ!るいに振り向かない子、本当にいるんだ〜。それなら唯ちゃん、美紅ちゃんも一緒に4人で食べようよ!」
---------屋上-----------
「2人もなんか喋ってよ〜!」
なんで今私は4人で屋上で過ごしているのか。あの後、美紅が心配してこっちに来た時に「楽しそう!」とそら先輩の提案に乗ってしまった。厄介だ。るいとそら先輩にはハルのことはバレていないけど昨日の話、子分らしいヤクザがいることはここにいる全員が知ってしまっている。るいの本性を全員知っているのは楽だけど、このそら先輩ってやつを口止めする方法を考えないと。
「美紅ちゃんって彼氏いるの〜??」
「いないですよー、私は追いかけてる大好きな俳優さん一途です!」
「え〜そんなに可愛いのに〜、ねえ付き合わない?俺美紅ちゃんのこと一目惚れしちゃった!」
「あ、一目惚れですか?分かります!」
「ええ!?いいの!?」
「私も一目惚れです!好きな俳優さん!仲良くなれそうですね!」
「...え?」
「え??」
まさかそう来るとは思っていなかった。まあど天然の美紅には伝わらないだろう。ハルしか見えていないミクにとって都合のいい言葉しか頭に入っていない。美紅は友達が増えた気分で舞い上がっているけどすでに会話が噛み合わなくなってそら先輩も言葉を失っている。でもいい機会かも知れないそら先輩への口止めがこれでできる。
「そら先輩ちょっといいですか」
るいと美紅には聞こえない場所に行って、2人で話せる機会を作った。
「美紅のこと好きなんですよね?協力しましょうか?」
「ええ!なんでわかったの!?な、なんか裏があったりする...?」
え。あの会話見て逆に告白以外の何を思うのか、正解かわからない。
「はい。代わりに昨日のヤクザ絡みの話は誰にも言わないことが条件です。るいから聞いてるんですよね?」
「うわぁぁ...まさかと思ったけどほんとなんだ...いいよ。ねえ唯ちゃんはさ、るいのこと好きなの?」
「あんな俺様ぶった表向きだけの人間興味ありません」
「うわ〜!言うね!俺はお似合いだと思うよ〜!」
「それ以上言ったら、るいより痛い目見ますよ?」
「わ、わわわかった!じ、じゃあ美紅ちゃんのこと頼むね!!」
口止めはうまくできた。美紅には申し訳ないけどそら先輩に協力してやろう。
とりあえずるいを連れ出して残りの休み時間は美紅とそら先輩の2人で過ごさせよう。戻ると美紅とるいが話していた。
「そらにあんまり俳優の話するなよ。傷つくんじゃねーのか??」
「え、なんでですかっ??それに私今日唯ちゃんの...」
「戻ったよ〜美紅。何話そうとしてたの?」
「あ、えと...なんだっけ??」
油断ならない。絶対に今ハルのこと話そうとしていた。私の目を見て急いで我に帰ったけど危なかった。まあここのメンバーには口止めはできる。言われても対策はする。とりあえずるいを連れ出して2人にしてやりたい。
「るい。2人で話したいから行くよ」
「誰がお前に命令されるかよ。何?構って欲しいの?それならついてってやるけど?(ニヤッ)」
そう怪しげに微笑みながら立って私の頭に手を置いてきた。その手を持って昨日と同じように背負い投げをした。こいつも本当に懲りない。
「いっっって!!お前!!」
「もっと怖い目にあいたい?」
腰と背中を屋上の硬い地面に打ちつけたるいは動けなかった。めんどくさいからそのまま引きずって屋上から出た。これであの2人もゆっくり話せるだろう。
「離せよ。」
忘れていた。こいつを引きずっていたことを。
とりあえずそら先輩と話したことを話して納得してもらった。
「で、お前今屋上のドアの前で2人だぞ?油断してんじゃねーのか?俺も男ってこと忘れんじゃねーぞおま...」
ボコッ
「うっっ...」
まただ。るいがドアの方にいる私に詰め寄ってくる。めんどくさい。お腹に思いっきりパンチして、何も無かったかのように私は教室に戻った。昼休みが終わるギリギリに美紅は教室に戻ってきてあまり話す時間もなく放課後になった。
「美紅、今日は夜ご飯いらないって親に伝えてて」
「え、いいの!?ありがと!」
「うぅん。昼休み戻れなくてごめん。あの後そら先輩とどうだった?」
「全然大丈夫だよ!んっとねー、俳優の唯斗君かっこいいよねって話して画像見せたら、かっこいい!って言ってくれてずっと顔の良さ語り合ってた!楽しかったよ〜!」
あいつ馬鹿なのか。なんで一緒になって男の顔の良さを語り合ってるんだ。しかもそれがハルなんて尚更腹が立つ。
「あ、それと昼休み終わって急いで教室戻ろうとしたらね、屋上のドアの前でるい先輩がうずくまってたけど大丈夫なの?」
「あー、ほっといていいよ。」
「そっか〜、私全く気付かなくってドアを開けた勢いでるい先輩に思いっきりドアがぶつかっちゃって...そら先輩は笑ってたけど心配で...」
よくやった美紅。友達でよかった。
その後、昨日のるいとの出来事を話しながら家に向かった。美紅は屋上での様子を見たからかそこまで驚きもせず気付くと家に着いていた。
エレベーターに乗り、最上階のボタンを押す。
「うわぁ〜!こんなに大きいマンション入るの初めて!楽しみ〜♡」
喜んでもらえて少し嬉しい。部屋に着いて鍵を開けると、料理をしているハルがいた。この時私は1つ大事なことを忘れていた。ドアを開け、ハルがこっちを見ると
「え!?!?ま、待って!?!?怖い!なんで!」
急に怯え始めて、机の下に入っていった。前にファンから必死に逃げ帰った時に追いかけたのが美紅だということを伝え忘れていた。
「え、えっと...あの...唯ちゃんの友達の高橋美紅です...//」
「き、君って、あの夜追いかけてきた子だよね!?なんであんなことしたの!?君、足が速いし逃げ切るの大変だったんだよ!?」
「え?覚えてくれてたんですか!?嬉しいです!」
「唯ちゃん!怖い!話が通じないその子!!」
しまった。いちばん会わせちゃいけない相手だったかも知れない。でも怯えるハルが面白くてしょうがない。とりあえず事情を話すと、ハルも落ち着き、美紅は緊張からか何も話せなくなっていた。皆で食卓に座りご飯を食べ出すとハルが美紅に話し始めた。
「唯ちゃん家じゃあんまり話さなくてさ、学校ではどんな感じ??」
「え、えっと...授業が終わる度にいつも一緒にご飯食べてます!」
馬鹿か。1日に何食してるんだ。緊張しすぎて言葉がおかしくなっている。いつも通りなのかも知れないけどハルもこんなこと言われたら困るだろう。
「え!唯ちゃんそんなに食べるの!?うわあ、お弁当いっぱい作って渡さないと学食じゃ足りないよね...」
忘れてた。こいつも馬鹿だった。流石に私もこれは収集がつかない。
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