第23話黒幕

「やっぱり、あんただったか……」


「あら?お気付きでしたの?」


ソニアは後ろに男共を引き連れて、目の前までやって来た。

原作では、優しいく大人しい娘だったんだけどね。

どんな心境があったのか知らんが、随分恨まれてるらしいねぇ。


「私は、あんたに恨まれるような事はしてないはずだけどねぇ?」


「いいえ。あなたの存在自体が邪魔なんです」


「それは困ったねぇ。ちなみに、なんで私が邪魔なんだい?」


「いいでしょう。最期に教えて差し上げます。そもそも、あなたがロベルト様の妹なのがいけないのです」


ああ。それは、私のせいではないね。

神様レベルの問題だよ。


「ロベルト様は、いつもあなたのことばかり!婚約が決まったのは本当に夢のようだったわ。でも、セルヴィロ家にはあなたがいる!またいつか、あなたにロベルト様を取られてしまうかもと思うと、気が気ではないの!!私の安息の為、幸せになる為、あなたには消えてもらう必要があるのよ!」


なるほど、恋心を拗らせたか。参ったね。

ソニアが心配になるのも、良くわかる。

婚約を決めたのも、兄様の気まぐれかもしれないと思っているんだろう。

でも、すまないね。

私もここで死ぬ訳にはいかない。


「……私はあんたを義姉だと思っていたんだがね」


「それは光栄です。では、その義姉の為に死んでください!!」


ソニアが合図を出し、男共が襲いかかって来る。

それにしても、人数が多い。

一人では、ちと厄介だ。


「サラ!すまないが、半分頼めるかい!?」


「任せてください!」


サラはスカートを捲ると、太ももに括りつけたナイフを手にして、男たち目掛けて投げた。

狙いは的確!男達の額に一撃だ。


「やるね!私も負けてはいられない、よっ!」


パンッ!!


後ろから襲ってきた男を、振り向きざまに銃で撃ち抜いく。

すぐに次の男が襲ってくる。

片足を引っ掛け、転ばせ右手の剣でとどめを刺しながら、左手の銃で襲ってくる男達を撃ち抜いていく。

周りは既に血の海。返り血で服も真っ赤だ。

それでもまだまだ来る。


──キリがない!


「サラ!大丈夫かい!?」


「余裕ですよ!ミレーナ様こそ大丈夫ですか!?疲れが見えますけど」


「まだまだ行けるよ!」


いや、サラにはああ言ったが、正直足に来ている。

この身体で長期戦は初めてだからね。

しかも人数が多い。


──どこから湧いて来るんだか不思議なもんだよ、まったく。


銃も弾切れだ。

このままではまずいね。サラに迷惑かけちまう。

そんな事を思っていると、頭上から男が襲ってきた。


「ミレーナ様っ!!」


サラの悲鳴に近い声で、「はっ!」とするが身体が動かない。


──しまった!!


間に合わないと思い目を閉じたが、痛みがない。

恐る恐る目を開けてみると、目の前に大きな影。


「ミレーナ様、今がその時ですよね?」


よく見るとエリオだった。

助けてもらっといて悪いんだが、そのニヤついてる顔が、無性に腹立たしい。

しかし、助かった。

今回ばかりは、本気でダメだと思ったからね。


「ありがとう。助かったよ」


「サラがいたんで、自分が出ることもないと思ってたんですが、思ったより手こずってますね」


「ああ。思ったより人数が多くてね。しかも、いくらでも湧いて出てくる」


「もうすぐロベルト様と殿下も駆けつけます。それまで持ちこたえますよ!」


「当たり前!」


──さぁ、もうひと踏ん張り頑張るよ!

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