第22話ソニアの過去(ソニア視点)
幼い頃、私は恋に落ちた。
その方はセルヴィロ侯爵家のご子息ロベルト様。
6歳の頃お父様に連れられて、セルヴィロ家を訪れた。
大人の話は退屈で、隙を見て外へ出た。
ふと、中庭に目をやると、とても綺麗な薔薇が咲いていて、思わず庭におりてしまった。
「綺麗な薔薇」
「誰?」
声がした方を見ると、とても美しい男の子が声をかけてきた。
薔薇も綺麗だったけど、その男の子の方に目が奪われて目が離せなかった。
身なりからして、この方がロベルト様なんだと思った。
「勝手に、申し訳ありません!私、ソニア・アルカンディニと申します」
「ああ。アルカンディニ家のご令嬢だね?僕は、ロベルト・セルヴィロ。よろしくね」
それはもう天使のような微笑みで、一瞬で心を奪われてしまったの。
この方の側にいたい。この方の一番になりたいと。
それからは、ロベルト様のお友達として普通に接してきた。
月日は流れ、私達は婚約者を選ぶ歳になった。
私はお父様にロベルト様がいいと、お願いした。
しかし、ロベル様からの返事はいつもノー。
──なぜ!?なぜなの!?
そんなある日、ロベルト様を見かけたので声をかけた。
「ロベルト様、ご機嫌よう」
「ああ。ソニアか」
「ロベルト様失礼ですが、婚約者はお決まりになりましたの?」
「いや、僕は婚約者はいらない。そもそも結婚もするつもりがない」
その言葉に絶望した。結婚すらしないと。
「なぜ!?ロベルト様は公爵家の嫡男!跡取りはどうするおつもりです!?」
「僕にはレーナがいれば、それでいい。跡取りは養子を貰うつもりだよ」
レーナ?……ミレーナ!?ロベルト様の実の妹!?
なぜ!?たかが妹でしょ!?
いくら妹でも許せない!ロベルト様と幸せになるのは、この私!
悔しさを唇を噛んで、その場は誤魔化した。
ミレーナがいなくなれば、ロベルト様は馬鹿な考えをお捨てになるはず。その為にはミレーナには消えてもらう。
その為に、色々作戦をねった。
しかし、作戦を実行に移す前に予想していない事態が起きた。
ロベルト様が私と婚約してくれたのだ!
夢ではないのかと疑ったが、現実だった。
嬉し過ぎてその日一日の事は、あまり覚えていない。
だけど、もし、もしもロベルト様の気が変わったら?やっぱりミレーナがいいと言い出したら?
そんなの許せない。耐えられない。
そう思った私は、お父様にある提案をした。
「婚約者として、セルヴィロ家に恥じない妻になる為に、今から努力した方がいいと思います。その為には、まずセルヴィロ家を知らなければいけないと思います。ですから、しばらくセルヴィロ家に滞在をお願いして頂けませんか?」
お父様は二つ返事で了承してくれた。
そして、セルヴィロ家を訪れた。ロベルト様との幸せの為に。
セルヴィロ家に着いてすぐ、ミレーナに挨拶する為に部屋を訪れた。
初めて見たミレーナは、美しい人だった。ロベルト様が入れ込むのも無理はない。
しかし、ロベルト様は私のもの。
障害となる人間はいらない。
夕食は皆でいただこうと言うことになった。
──ふふっ。これから起こることも知らずに。
私は侍女に、ミレーナの料理に毒を入れるよう命令していた。
そしてその時……。
ミレーナが倒れて、ロベルト様が慌て出す。
ああ、これでロベルト様は私だけのもの。
そう思っていたが、一命を取り留めた。
「これ全て入れたの!?だから入れろって言ったじゃない!」
「すみません……」
「何してんのよ!!殺せと言ったでしょ!?」
ミレーナの部屋で侍女を怒鳴っていると、ロベルト様達がやって来た。
まずいと思い、すぐに身を隠した。
すぐに暗殺依頼を頼んだがそれも失敗に終わった。
──なんで!?なんで、いつも上手くいかないのよ!?
私が幸せになるためには、ミレーナは邪魔なのよ!!
その後、少々値が張るが裏稼業で暗殺を行っている、劇団にお願いすることにした。何度も通い、緻密に計画をねった。
そして、遂にその時が来た。
──これで、ようやくすべてが終わる……
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