第12話事件後
中庭事件があってからというもの、カナリヤが今まで以上に懐いてしまった。
マリアはあれ以降、姿を見ると睨んでくる。
カルロは未だ接触はない。
──このまま平穏無事に過ぎていけばいいが。
今日は学園が休み。
たまには、のんびり過ごすのもいいな。
「ミレーナ様。いくら学園がお休みでも、そんな怠けていたらいけません」
侍女のサラが、お茶を煎れながら説教してきた。
「いいじゃない。こんな日も必要よ」
オンとオフを使い分けなければな。
息が詰まる。
「今日はのんびりしようと思ってるの。サラも一緒にどう?」
「私は仕事中です」
相変わらず、お堅いな。
「あっ!忘れてました!ミレーナ様にお手紙です」
「手紙?誰から?」
「ジルベルト・オルランディ様です」
「えっ?」
もしかしてこの間の手合わせの件か?
こんなに早く?
あの男、暇なのか?
「……とりあえず、中を確認しましょ」
「はい。こちらになります」
「ありがと」
中を確認すると、やはり手合わせの件だった。
ジルベルトは団長の息子だけあって、騎士団演習場にも出入りも自由らしい。
そこで、都合が合えば今日にでも手合わせ願いたいと……。
「……オルランディ様は、なんと?」
「この間の園遊会の時、オルランディ様と手合わせの約束をしたの。その日が……今日なの……」
「今日!?」
「ええ。都合が合えば、とは書かれているけど」
正直、今日はめんどくさい。
「ミレーナ様!お早くお支度を!」
「えっ!?行くの!?」
「当たり前です!あの騎士団長様のご子息ですよ!将来を期待された方ですよ!ミレーナ様にはお似合いだと思います!」
あぁ、サラは騎士団長ファンだった。
確かにあの団長なら、惚れるかもな。
それなりに歳は取っているが、男前は衰えない。
むしろ歳を取って貫禄が出た。
「わかった、わかった。支度するよ」
「私もついて行きますから!」
「わかった、わかった」
熱狂的だねぇ。
しょうがない。サラの為に行ってやるか。
──のんびりは出来なかったね。
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