あの事件だって

三女に聞いた話では、長女が言ってた小学校の頃の事件の事が

あまりにも大きく変化した内容であったので、正直、驚いた。


長女は、あの事件で、お父さんが怖くなったと言っていたらしい

が、これも、正直、何を言ってるんだろう???という感じでし

かない


★長女が三女に伝えた言い分

  小学校高学年の頃、無理矢理に塾に行かされていた。

  塾の帰り、塾の前にいた車に連れ込まれ、それを見ていた

  お父さんが、犯人を追っかけていった姿が、鬼のように見えて

  怖くなり、そこから男性恐怖症になった。


これが真実なら、かなりおかしな点もあって、塾の前には車は

入れないし、その場所には私は行ってない。


確かに、恐怖の体験であったのは確かなので、記憶が変化する

という事はあり得る話なので、そう思えば、わからなくないが、

あえて、この小説を娘に残す記録として書くが、事実は全く違う


★真実

  小学校の高学年の頃、勉強も運動も得意ではなかった長女が

  周りは塾に行っているから勉強できるんだ!という感じで、

  いうので、成績も考えた時に、確かにこのままでは厳しいなぁ

  と思い、塾に通わせていた。

  事件があったのは、とても暑い夏休みの日。

  いつものように塾に行き、帰ってきた際に、自宅のマンションで

  起こった事件だ。

  長女が、自宅に着き、エレベーターに乗ったところ、中年の男性

  が一緒に乗り込んできた、娘が何階か聞くと、4階と答えたので

  その階と我が家のある6階を押し、ドアが閉まった瞬間、その

  男性が、娘にカッターナイフを見せ、【いう事を聞かないと殺す】

  と脅され、4階で降ろされた。

  エレベーターを降りると、非常階段のところに連れて行かれ、そこ

  で、すべての服を脱ぐように言われ、犯人の言いなりに、服を脱いだ。

  犯人は、娘に対し、【お前の家は知っている、家族も知っている。

  もし、このことを話したら、家族も殺す】という風に、娘を脅し、

  その場を去っていった。結局、事実として、服を脱がされただけでは

  あるのだが、小学生の娘の中には大きな傷ができたであろう。

  その後、帰宅した娘は、最初は黙っていたのだが、あまりにも様子が

  おかしいので、私が、娘と秘密の話をしよう!と、二人になり、話を

  聞いた際、すべての事情がわかり、私は犯人への怒りと同時に娘の心

  の痛みを強く感じ、身体が震えた。

  その時の娘は、とにかく何もかもが不安になり、部屋に盗聴器がある

  って犯人が言ってたから始まり、家族に言えば、妹たちを同じ目に合

  わせると脅されていたので、そういう恐怖も感じていたらしいが、私

  が、絶対にそんなことはさせない!と娘に説明し、理解できた時点で

  娘は私に言った【お父さん、警察に電話して犯人を捕まえて!】その

  言葉に、私は一瞬ためらいを感じたのを覚えている。ここで、もし警察

  に言えば、犯人が捕まるかもしれない、けれど、娘の将来は?さらし者

  になるのでは?といった不安があったからかもしれない。しかし、娘は

  毅然とした態度で、警察を呼んでほしいというので、その覚悟を信じ、

  警察を呼んだ。実際、即時、40人くらいの刑事や警察官が来たし、周囲

  の人も何事か?となってはいたのだが、そんな事は気にしていられないの

  で、事情聴取から始まり、モンタージュ作成、指紋採取の為に服などの

  押収など、すべてを娘は、その日のうちに、自分自身の対応で乗り切った

  姿に、小学生なのに・・・という思いもあったけれど、シッカリ対応できる

  姿が逆に怖かったのを覚えている。その日の夜、私が自分の部屋で寝ている

  と娘が入ってきて、【怖いから一緒に寝ていい?】というので、その日から

  1か月近く、一緒に寝ながら、色々な話をした。

  当時の娘の言い分は、【お父さん、犯人を捕まえて殺して!】だったが、

  私もそういう気持ちがあったせいか、【お父さんはそうしたい、けど、それ

  をしたら、お父さんが犯罪者になってしまう、それでもいい?それでも殺して

  欲しい?】と何度も聞いたのだが、娘は【殺してほしい】と言い続けたので

  わかった、お父さんが、きっと捕まえて殺してやる!と話をした。

  結局、数か月後、犯人が、自宅マンション前を通った時、娘が遭遇し、その

  時に、私と長女、次女が一緒にいたので、すぐに、娘を私の車に逃げろ!と

  鍵を渡し、長女と次女が車に逃げている間に、私は警察に連絡しつつ、犯人を

  追い込んだ。結局、その場は逃げられたのだが、この時の事で、証拠も集まり

  犯人は逮捕され、裁判ののち懲役9年での服役になった。というのが事実。


キーワード的には、塾・夏休み・犯人・車・追いかけたなど、当てはまるものは

あるにはあるが、ストーリーが全く違うところが多々あり、娘の記憶していると

される事実とはかけ離れているし、事件の日からお父さんが怖くなったといって

いるが、犯人が怖いから一緒に寝てほしいといった日から、お父さんお父さんと

へばりつくようになったのも事実なのだ。


無理矢理に、長女の記憶を基本に考えるとしたら、お父さんが怒ったら怖いという

基本が、ここで生まれたのかもしれないが・・・


そうであれば、どうしたらよかったのだろうか、私にはわからない。

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