朝になって

深夜から、延々と、片付けを続け、長女にLINEを送り、としていると、

あっという間に、朝になっていたのだが、自分の中での時間の感覚が、

どうやらおかしくなってきたのか、妻が、部屋に入ってきた時まで、

朝だと言う事に全く気付いていなかった。


  また、寝てないの?

  いい加減、片付けるのも止めて、寝ないと死ぬよ!


そう言われても、ようやくここまでになったんだし


  もう、そんなウジウジしてられても困る!

  こんな荷物、私がお金払ってでも、全部、捨ててやる!!


なんてことを言い出すんだ!

そうは思うが、アスペさんなので・・という意思が働くので、言えない。

なので、わかるように話してみた


  そうは言っても、大事な娘の荷物なんだ

  思いがいっぱい詰まっているし、帰ってきた時に必要だろうし

  全てなかったみたいに処分しても、スッキリするわけないじゃないか

  親というものは、どこまでいっても親なんだ!

  そういう思いの中で、出来る事は、片付けて、大事に保管しておくこと

  その時が来た時の為に・・・


と説明していくと


  だったら、自分で、倉庫借りて、保管すればいいじゃない!!

  しばらくは猶予を挙げるけれど、絶対条件は、あなたが寝る事と、ごはんを

  ちゃんと食べること!それが出来ないのなら、絶対に捨ててやる!!


そういえば、すでに3日まるまる寝てないよなぁ

自分自身が、病んできているのもわかるし、妻の言い分の一部だけは、わからなくも

ない。確かに、シッカリ食べて、寝ないとダメだよな・・・・


けど、今は、どうしても無理なんだ。


  もう、朝なんだから、仕事に行かないとダメだから、送ってよね!

  そんな片付けみたいなくだらない事に時間をとられている場足じゃないんだよ!

  さっさと捨ててしまえばいいのに!馬鹿だね!!


そう捨て吐き、妻は、長女の部屋を出て行った。


仕方なく、用意をし、妻を職場に車で送った。

職場に着くまでの車の中で、私は妻に話をした。


  実は、すでに、あの子の新しいマンションと、携帯番号はわかったんだ

  けど、あえて、今は、こっちから連絡はしていない

  ここから、また逃げる事があったとしたら、死に一直線の気がするから

  あえて、我慢しているんだ。


それを聞いた妻は


  さすがに、あなたのネットワークは、探偵並に、凄いよね

  知ってるのなら、捕まえて、精神病院に送り込めばいいんじゃない!!


これが、母親の言う事かと思いつつ


  ピアノにしても、テレビとかの家電にしても、全部、あの子の物なんだ

  だから、出来る事なら、あの子の家のすぐ近くに貸しスペースがあるから

  いったんは、そこに入れて、あの子が、取り出せるように鍵を渡そうと

  思っているんだ。心を傷つけて、命を削って、必死で風俗で稼いだお金を

  1円たりとも、無駄に使って欲しくないし、そうやって無駄を省いていれば

  お金が貯まって、風俗から自力で抜けれるかもしれないじゃないか

  だからこそ、使って欲しいという思いもあるんだ


私がそう言いだすと、妻は、車の中で泣き出した


  私は、そんなの絶対に許さない!!

  そんなことをしようとするのなら、全部、今すぐ捨ててやる!!

  あの子には、絶対に渡さない!!

  今まで苦労して、一生懸命、生活を維持する為に、二人で稼いで買った物

  をあんな馬鹿に渡さない!!


そう泣き出したのだ

 

  これから先、残った二人の子供の将来に、どう影響するか、考えただけで

  死にたくなる。そんなことしかできないような娘に、何をしろっていうの!

  そこまで、あの子の事が大事なら、離婚して、出て行ってくれていいよ!!

  あの子と一緒に地獄に落ちればいいんだ!!


確かに、一瞬は、そういう未来を考えた時もあった

けれど、それでは、残りの二人の子供を投げ出して、長女のみを支えるといった事に

なるのだから、さすがに、それは今は出来ない

もしかしたら、7年後とか、そういう先であれば、三女も大学を出ているだろうし

みんな巣立っている時だろうから、出来るかもしれないが、今は無理だ


妻に、母親としてという思いはないのだろうか・・

こういう時のアスペさんは、妻の場合は、極端に反応するので、こうなっているのだ

ろうか、とにかく許さない!!一生恨んでやる!!記憶から消す!!などが基本で

そこに、私の今の姿が苦痛を増していく原因にもなっている事だろう


どうにかしなくちゃいけない

けれど、私には、そう簡単に、切り替える事が、今回に限っては無理なんだ


日中、思うのも、


  あぁ この時間、あの子は、風俗店で勤務しているんだな

  という事は、見ず知らずの中年の下手したら私より年上の男どもの

  おもちゃにされて、お金を稼いでいるんだ・・・


といった思いが巡るのだから、いてもたってもいられないし、胸を締め付けられる

のだから、冷静にいられるわけもないし、頑張ろう!という意欲が沸く事なんて

一生ないのかもしれないと思う程の苦痛が、私には重くのしかかったままだから

どうしようもないんだ。


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