2021年11月3日

深夜

この頃、ようやく長女の部屋の足元の荷物を段ボールに詰めれてきたので、

足の踏み場だけは、なんとか確保しつつ、何を踏んで怪我をするといった

事も減ってきていたから、ある程度のスッキリ感も出てきていた。


段ボール13箱分の荷物、ゴミ袋6袋分の不燃ごみ

あと少しで、ベッド周りにたどり着けるといった感じになっていた。


そこまでに片付いたのは、タンスの中身、クローゼットの中身、机の周り、

部屋の半分くらいの床にあった物という感じで、後は、部屋の半分の床と

ベッド周り、なんとく半分くらい片付いた感じだろうか。


深夜に一人、もくもくと作業をしている中、ふと思いたった。


 このまま、帰って来ないんだろう。

 だとすると、あの子は、本当にボロボロになっていく。

 自分に出来る事は・・・


そう考えた時、自分の中で、1つの決心が芽生えた。

もしかしたら、もう読まないかもしれないが、私は、娘にLINEを送った。


  あなたのお母さんはアスペルガー症候群で

  あなたは、幼い頃に、その可能性を指摘されているし、

  おそらく、遺伝的に、あなたもアスペルガーである

  それは、私が二人を見てきて、まるでコピーと思う程、そっくりな

  行動、発言、などを繰り返しているし、特有のオウム返しをする

  ところからも、たぶんそうだと思う。


正確なものとは異なるが、だいたい、こういう感じの内容で書き出し


  まず、住民票を移し、保険証を作りなさい。

  その上で、アスペルガーの本を買って読みなさい。

  本を読んだら、自分にどう当てはまるか確認しなさい。

  確認したら、ネットで、アスペルガーの診断テストをしてみなさい。

  それで、もし、当てはまる事が多く、その可能性を実感できたのなら

  出来るだけ早急に、病院に行きなさい。

  それをする事で、あなたは、きっと、今よりも、もっと

  生きやすくなるはずだから。


そういう感じの内容を送った。


こういう方法は、取りたくなかったし、やってはいけない事だとも思う。

けれど、帰ってこない可能性が高い今、こうするしか、伝えられないのだ

から、あの子の将来を考えた時、今、ちゃんと伝え、傍にはいないから

完全に避けられているから、何もしてあげられないけれど、ちゃんと伝え

る事が出来たのなら、アスペさん特有の二次障害は防げるかもしれない。

単純にそう思ったので、私は、LINEという形で、娘に伝えたのだ。


当然、読む事はないと思ったりしたし、読む頃には、二次障害が出ているか

もしれない、タイミングを理由に、今まで隠してきたせいで、こうなったの

だから、このまま黙って、自分で気付くのを待つべきだったかもしれないが

私は、今、伝えなければいけない!という衝動が走ったので、深夜に送信し

たのだ。


きっと、LINEだけでは伝えきれない、それはわかっている。

そう思うと、文章も延々と長くなっていく。

書いても書いても、そう簡単に伝えきれるわけもないし、書いていくうちに

娘への思いを書いているし、帰ってきて欲しい、お父さんが出て行けば

それが叶うになら、今すぐにでも出ていく!などと、書き始めていたのだから

終わりのない、延々と書き綴る事になりそうで、言いたい事の1割も書けなかった

が、とにかく、アスペの事の、ほんの一部だけは、書いた。


これを見るだろうか

見たとしたら、どう反応するのだろうか


娘のパターンだと、まずは、困惑する、どうしようどうしようになる。

その後、今までなら、おとうさ~んって、私に相談に来ていたが、それもできる

状況にない。一人で混乱しているかもしれないな。そう思いつつ。その後と

想像してみれば、きっと、考えられない!と放棄して、忘れるようにする

それが、娘のパターンかな・・・と思いつつ

けれど、そうであっても、何かあった時、ふと、だけでも、アスペさんである

可能性を思い出してさえくれれば、ちゃんとした治療や、しなければいけない

事を考えるキッカケになってくれれば・・・・という思いもあった。


こういう伝え方は、正直、あり得ない。

けれど、それしか、無理な状況が、そうさせたのだ。


奇跡的にでも、読んでくれたらいいなぁ

すぐに、本を読んで、行動してくれたらいいなぁ


そんな微かな可能性にかけるしか、この時点では、私にはなかったのだ。


  

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