自宅に帰り

自宅に帰ると、三女が


  お父さん、遅かったね

  お姉ちゃん、どうなったの?

  やっぱり帰って来ないの?


ここ数か月、三女は自宅学習スタイルで、学校から配られている

タブレットで自宅での勉強が主体になっているか、当然のように

自宅にいる、まるで不登校の中学生だ。

 

   そうだね

   お父さんの力では無理だったみたいだ

   お昼ごはんどうした?


すでに、夕方を回り、夜になっていたので、そう聞いたのだが


  大丈夫だよ、塩でおにぎり作って食べたから


そっか、迷惑かけたよな、けど、今は、お父さんは、お姉ちゃんの

事で、いっぱいいっぱなんだ、ごめんな・・・そう思いながら、

三女の頭を撫でた。


  気持ち悪・・・大丈夫だよ

  私は、たぶん、ずっとお父さんたちと一緒にいるから


私の気持ちを察しているのか、ふと、三女はそういった。

けれど、私の予測では、この三女が、一番早く、家を出ていく

タイプだし、長女も、高校卒業までは、同じ事を言っていたの

だから、正直、あてにはならないけれど、この時は、涙が出そ

うになったのだが、この子の前で泣くわけにはいかない!

そう思ったので、必死で涙をこらえていた。


その後、妻を迎えに職場に行き、妻を拾い、自宅に戻った。


夜、妻と子どもたちに言われた。


  いい加減、ごはん食べなさいよ

  いつもは、身体のために無理してでも食べろ!って

  私たちに言うのだから、自分が食べないなんて許さない!


そうだよね、わかるんだよ、食べないといけないって

けど、食べる気がないし、おなかもすいていないんだ

今、本当に、立ってるので精一杯なんだ。


そう思いながら、当然のように、私は、長女の部屋に

引きこもった。


部屋を片付けながら、散らばった日記をいくつか見つけた。

その内容を読むうちに、私は絶句するしかなかった。


娘の事が知れる内容ではあるものの、父親としては、絶対に

見たくない内容ばかりだったので、読みながら、吐きそうに

なりつつ、涙も止まらない。


どうせ出ていくのなら、こんな日記、全部処分してからに

すべきだ、いくら片付けできないからといって、これを残すの

は、私への嫌がらせなのか、それとも、書いた記憶すら無い

のか、いったい何を考えて生きてきたのか、さっぱりわから

なくなっていった。


これが、真実なら、長女は、完全に男の人を馬鹿にしているし、

自分の身体を大安売りして、ほとんどSEX依存症でしょうと

言われてもおかしくない内容だった。


私の中では、小学生の頃の事件の記憶が残っているし、当然、

娘も、その記憶で、完全なる男性恐怖症であったはずだから

この日記の時期がハッキリはしないが、内容的に想像すると、

高校3年生くらいからのもののように思うので、そうすると、

そこから、依存症になっていったような感じであった。


全く気付かなかった。

確かに、高校生になった頃から、ある程度、野放しにしてきた

部分はあるものの、キッチリ時間通りに行動しているように

見えていたし、特に大きく、変化する感じもなかったので、

全く気づけなかった。


おそらく、最初のうちは、地元の近くで、バイトで知り合った

のか、別のところでなのかは不明だが、そのあたりの相手を

片っ端から相手にし、いわゆるサセ子状態になっていたように

思える日記だった。


大学に入ってからのものだろうと思う日記には、Twitterで繋が

っている相手と会いたい、抱かれたい・・・といった感じのもの

が多くなり、同じ県ではないから、どうやって資金を貯めて、ど

ういう理由をつけて会いに行くか、ビッシリ、金額を計算し、

言い訳をどうするかなどの計画が書かれていたのだから、当然

それを見た私としては、吐き気もするのも当然なのだ。


こういうことを考えていれば、当然のように、お金が必要だし、

相手が、Twitter経由の相手だと、他府県に渡る上、その多くが

娘より一回りも上であるのも想像がつく相手ばかりだったよう

なので、そうなると、親としては、不安要素しかないのだから

こんな日記は見たくはなかった。


顔の見えない相手で、文字だけの繋がり、けれど、アスペさんに

とっては、正直、都合がいい。理由は簡単で、顔を見なくて済む

という事は、顔色を見なくていい、ニュアンスで判断しなくていい

ただ、文字を読めばいいという、自分にも理解しやすい付き合い

なのだから、当然、付き合いやすい相手と判断するし、毎日、や

りとりする中で、自分にとって都合のいい答えをくれる相手なら

会いたいという風になるのも、アスペ特有のパターンなのだろう。


私は、そんなことを考えながら、一人、娘の部屋で、愕然とした。

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