第14話:差別や偏見がもたらす弊害 ⑥

そうなってしまうと、社会バランスが崩壊し、保たなくてはいけないバランスが一気に崩れてしまうこともある。


 そして、子供たちだけが世界に目を向けて行動しているため、今度は日本が世界中で敵対視されてしまいかねないのだ。


 こうなる前に大人と子供の温度差を最小にしないと優良人材の海外流出は避けられない。


 現在も多くのインフルエンサーなどが海外に移住したり、留学して現地の大学に入学したりと数は多くないが、徐々に増加している傾向が強い。


 致命的な人材不足を招く前に何らかの対策をしないと日本社会が崩壊し、国も崩壊の一途を辿りかねないと思う。

②:子供たちの価値観の変化が急速に進んでいるため、大人の価値観とも同世代・同年代の価値観とも一致しないなどして社会的思想の多極化を生む可能性


 これは、私がこの先少子化が進んだ際に最も解決することが難しい問題に発展すると取り返しが付かない事態になるのではないか?と危惧しているポイントだ。


 現在は大人から子供までさまざまな価値観を持っているが、個々で見方や感じ方には多少の違いはあっても共通項がまだ存在している印象があり、今なら共通項を維持した状態で意見を共有することが可能であり、その内容に対して議論する余地はあると思うが、時代の変化と共に各セクターにおける考え方の変化が急速に進み、価値観の多極化も急速に進んでいく可能性があると感じてしまう。


 その理由としてはいくつかあるが、私は“アンコンシャス・バイアス”が最も関係性が高い要因として挙げられると思う。


 なぜなら、これらの価値観の多様化を生んでいるケースとして“SNSの普及”や“社会的価値観に対しての違和感”など1人の発信や発言が発端となっている場合やインフルエンサーなど社会的に影響力が強い人の価値観がそのまま同年代などに広がっていくことで1つの価値観が形成されている場合だ。


 そして、これらの作用に前記した“アンコンシャス・バイアス”も加わり、その価値観が確立されてしまうことで他の異論を認めない姿勢や他の価値観の人を攻撃して、自分の考えを最上位にしてしまうなど対立やトラブルが起きる可能性が高くなってしまう。


 その他にも現在は国際交流などの海外との接点を持てる機会が以前に比べて増加したことで多様な価値観に触れる事が定常化しているなど自分の国以外の文化や価値観から自分の価値観と合う世界を探せるため、1つの価値観が複数の価値観と融合する形で新しい社会の価値観を生み出せるのだが、その新しい価値観を否定すること、特定の価値観を持っている人などに誹謗中傷を始めてしまうなど日本における価値観の多様性がまだ十分に理解されず、定常観として社会に浸透する事も難しくなっているように感じる。


 そのうえ、今は個別の格差や差別などもこの状況下ということもあり、かなり繊細な部分が顕著になり、受け取り方の差が以前に比べると激しくなっているという印象が強い。


 そのため、ふとした発言で炎上してしまうこと等が増えているのも、このような背景が少なくとも起因していると言える。


 そして、以前に比べるとネットユーザー層が広がったことで以前は問題なかったことが現在は問題視されることや個人が特定の人に対して匿名で書き込める秘匿性の高い手段が増えたことで今度は運営会社側が被害に遭った人などからの開示請求などで逼迫してしまうなど以前とは違った状況が確立されており、このまま進んでいくと間違いなく“お互いがお互いを蹴落としあって、自己主張などを強めていく”というマイナスの要素が高まっていってしまう可能性があるのだ。


 特に情報過多の状態では情報選別のために必要な知識を事前に学んでいないと対処できないだけでなく、想定外の事態になった時にパニックになりかねないのだ。


 だからこそ、ネットリテラシーを含め、必要な知識を多角的に学ぶことや定期的にルールを確認するなど必要に応じたルール見直しや現在起きているトラブルなどリアルタイムの情報をきちんと正確に伝えていくことやインフルエンサーなどと協力する形で周知していかないと子供たちに十分に理解を促すことも、説得力も薄れてしまう可能性がある。


 その理由として、大人に言われるよりも年齢の近い人から言われたほうが理解をしやすく、お兄ちゃん、お姉ちゃん感覚であることから反抗心は生まれにくい。


 このような社会の流れを考えても、これらの問題が起きたときに“子供に対してどのように呼びかけるか”、“1人1人にどのように向き合っていくか”など大人の対応で状況が一変してしまう可能性は十分にあるのだ。


 特に家庭環境が複雑な子供たちや以前と比べて様子がおかしい子など定期観察をしていて違和感がある、何かの兆候がある場合には無理に接するのではなく、時間をかけて周囲の大人たちが本人に寄り添うことが大切だと思う。


 なぜなら、そのような状態になっている子供に「何があったの?」・「どうしたの?」と聞いても子供たちは答える事をためらうことや「何でもない」と言って気持ちを伝えることを我慢するなど更に追い詰めてしまう可能性や、そのようなアプローチをしたことで逆に心を閉ざしてしまうこともあるため、まずは状況を見守り、可能なら同年代の子供同士で考えさせてみることや仲の良い子たちとの関係構築の変化などを観察しながらアプローチしていく事で問題点が可視化され、1つの線に繋がっていく事も多い。


 このように今は親世代と子世代では同じ事でも全く認識が異なっている事も多く、お互いに共通項を見つけるためにはかなりの時間をかけて信頼構築をしないといけない。


 これからの時代は差別や偏見などは増加することやデジタルハラスメントが起きる可能性が高いが、これらが起きたとしても、相手を否定せずに少しでもお互いに歩み寄れると上手くいくのかもしれない。

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