第8話:立場の弱い人への寄り添い方 ③-1

 私が交流したことがある方は子供の頃から自分という存在に違和感を覚えていて、その事を理解してもらえず、ずっと過ごしてきたのだという。


 そして、その子を見ていると気持ちは男の子でも周囲からは“女の子みたい”と言われることで「自分は女の子ではないか?」と思うようになったのだという。


 このようにふとしたひと言がその人のジェンダー観を全く違う方向に向けてしまう可能性があるのだ。


 私はタイプの違うさまざまな人と交流してきて分かったのが、“セクシャルマイノリティは公的に表現されているLGBTQ+以外にも存在している”と思うのだ。


 例えば、“ジェンダー・トランスファー”という心も身体も同性だが、特定の事柄に対して異性に魅力を感じるというタイプの人がいる。


 このタイプの人は男女ともにいるが、私が交流したことがあるのは男性の方が多い。


 私が交流した人は“男の子だけどスカートが好き”と“女の子だけどスカートが嫌いで下着も嫌い”という人だった。


 この2人の共通点として“自分の性認識は男女だが、周囲と違っていて辛い”という点だった。


 その理由として、本人たちは“自分の性は男女だと思っているが、着たい服の好みが周囲と違う”や“周囲からの視線が恐い”、“カミングアウトすると差別されそうで恐い”、“ユニセックス(両性着用可能な服のカテゴリー)で着たい服やデザインが少なくてファッションを楽しめない”など日本におけるジェンダー観は少しずつ変わってきているが、まだマジョリティではないため、ユニセックスファッションだけではなく、いずれかの性の服で好みのデザインの服が見つかったときには即決で買うというのだ。


 このようにマイノリティを抱えている人にとっては普通の人と同じような基準で生活することが難しいのだが、今の日本という社会において、かなり明確な線引き行為が行われている印象が強い。


 私もなぜこのような選別が行われているのかは分からないが、1つ言えるのは“ジェンダー・マジョリティ”と言われる“社会的影響に対する影響力の高さ”だと思っている。


そして、そのような人たちを社会が認めたとしてもハード面の整備が遅れており、問題が山積した状態のまま問題が放置されているケースも少なくない。


 現在は都市部ではオールジェンダートイレなどは増えてきたが、地方ではまだ進んでおらず、トイレ利用に関するトラブルの発生も懸念されるため、早急な整備計画を実施しなくてはいけないのだが、きちんと実運用されるまでは多目的トイレなど使用制限のない場所を使うしかない。


 ただ、この問題の根底には“どこまで整備出来るか”という問題がある。


 現在、私が把握している問題・課題の1つに“教育機関におけるセクシャルマイノリティ容認のための環境整備”がある。


 これは私が必要だと感じている取り組みの1つで、男女に加えて、オールジェンダートイレの設置をすることで子供たちに利用選択の自由が出来るし、多様性の観点からも柔軟な対応が出来る。


 その他にも幼少期からこれからの社会環境を作っていくことで成長過程における子供たちの生き方の指針などにも繋がっていく。


 そして、すぐに社会を変えていくのではなく、下の世代に興味・関心を持ってもらい、そこから社会を変えていく、社会を作っていくことが大事だと思う。


 今は若い世代を中心にさまざまな問題に対してきちんと向き合う傾向があり、きちんと教えていくことでどんどん意識が変わっていくと思うし、そこで問題だと認識することで子供たちが“大人が変えないなら自分たちが変えなくてはいけない”という団結力が芽生え、自分たちで考えて行動していることもこれからの日本における意識成長に期待出来る反面、それらを支援する人たちが更に増えないと子供たちがせっかく行動していることであっても無駄になってしまう可能性がある。


 だからこそ、大人も子供の行動に寄り添い、可能な限り子供たちの意見を吸い上げていくために英断を迫られる可能性はあるが、その決断も1つの考え方に寄り添った形になることが子供たち、大人たちのお互いが思う形を描く上でそれぞれに必要な事があるのだろう。

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