第152話 閑話─公爵家兄妹、叱られる




晩餐会が終わり、帰宅中の公爵家の馬車は冷々としていた。



─不味いわ………

─お母様、凄く怒ってるわ………

─おい、こんなに怒っているお袋は初めて見るぞ………


ラウルとレティのひそひそ話が続く………


─お前の我慢が足りんからだ。

─そんなの無理よ、レオナルドが悪いのよ。


母親のローズの目がギロリ睨み付けてくる。


─怖い………

─お兄様、お母様が怖いわ……

─俺も……今、キン○○がキュッとなったぞ……

─また!レディの前でそんな事を!

レティがラウルの襟首を掴もうとする……


父親のルーカスがゴホンと咳をする。

レティは慌てて手を自分の膝の上に置いた。




自宅に着き、居間に入るやいなや

「 二人共、ここに座りなさい! 」

母ローズの低くて冷たい声が響く。


「 ワタクシ、あんなに恥ずかしい思いをした事は生まれて初めてですわ 」

母ローズの怒りは尋常じゃ無かった。


「 よくも両陛下の前で…… 」


お説教は延々と続き、結局ラウルとレティは反省文を書かされる羽目になったのだった。


父ルーカスの助け船が出される事は無かった。

くわばらくわばら……





その頃、皇宮の両陛下は二人でお茶を飲んでいた。


「 元気の良い、令嬢じゃ 」

「 本当に……アルベルトが笑ってましたね 」


「 王女も、中々はっきりとした姫じゃのぉ 」

「 ここまで来たのですから、よっぽどアルベルトを好いてるのでしょう 」


「 皇宮もこれから騒がしくなる……楽しみじゃ 」



皇宮の夜は静かに更けていくのであった。





********




学園の貴族棟では、昨夜の晩餐会での生徒会メンバーのワチャワチャの話で持ちきりだった。


「 流石、我が校の生徒会のメンバー達だな 」

本当に……彼等がいれば何処でも楽しい……





レティ達は生徒会室に居た。


「 猫の名前を考えてよ! 」

膨れっ面のレティがレオナルドに言う。


「 どうして? 」

「 だって私は、近所の野良猫にピ……いや、あのいやらしい言葉をつけてたんですからね! 」

「 えっ!? もう一度言って……ピ何とかって何? 」

「 もう! ムカつく! 早く考えてよ! 」


「 じゃあ、ピ◯と◯ヨだね 」

「 いやらしい名前では無いんでしょうね! 」


「 うん、俺も親父とお袋からこっぴどく叱られたからね、今度はまともな言葉だよ 」

「 レオナルドも叱られたのね……分かった! それにするわ 」



─また、騙されてる……

─可愛い……(←byアルベルト)

レティとレオナルドの会話を黙って聞いていた3人は、レティを哀れに思った。


でも、面白いから良いか………


今回の晩餐会でのワチャワチャさえも、面白かったとする皇宮の悪ガキ4人組は健在だった。


そして

レティは、またもや恥ずかしい目に遭う事になってしまうのだった。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る