第153話 閑話─語学クラブからの語学教室



赤のローブの爺達が、異国の地へ行った後の

5月頃の話です。



レオナルドの語学クラブが終わると、教室に残ったレティとレオナルドがノア君を待った。

ノア君がど緊張で入って来て、初めましてのレオナルドに挨拶をして、語学教室が始まった。



レオナルドは外相の息子で、父親が外交官時代に外国に多く住んだが、砂漠の国のサハルーン帝国には行った事は無いらしい。

彼も将来は外交官への夢があるから、サハルーン語を学べるのはラッキーと思っていたのである。




1度目の人生で、外国へ行く船で私に何かを渡した人。

『 ジャック・ハルビン 』

ノア君の叔父さんで、貿易商をしていて、世界中を旅してる人。


そして、サハルーン帝国を調べたら、昨年に魔獣の襲来があったらしい。

レティは詳しい話を聞きたかった。


しかし、シルフィード帝国とサハルーン帝国は、お互いの船の直行便が無いため、まだ自由には行き来はしにくい。

だから、サハルーン人を捜すのは難しく、ノア君は母親がサハルーン帝国の人だが、もう帝国とは連絡を取って無い為に、魔獣の話は知らないだろうと言っていた。



「 叔父さんなら何か分かるかも……」


ノア君が言ったその言葉だけが頼りであった。




「 ところで、レティは何故魔獣に興味があるんだ? 」

語学教室も終わり、公爵家の馬車まで行く途中でレオナルドが言った。

うっ………鋭い………


「 ちょっと……世界の情勢を……」

「 ああそうか! 帝国史で200点だったんだよな、 世界史にも興味があるんだ……」

「 まあ……ね 」

嘘はついていない。



そうこうする内に公爵家の馬車に着いた。

ドアを開けると……


「 遅かったな? 」

えっ!?

殿下の声………

馬車の中にはラウルとエドガーとアルベルトが座っていた。


「 お兄様、先に帰るって言ってたのに………」

「 ああ、今から4人で飲みに行く 」


そう言いながら、ラウルとエドガーが馬車から下りて、レオナルドと一緒に歩きだした。


最後にアルベルトが馬車から下りて、レティの手を取り、

「 気を付けてお帰り、また明日 」

アルベルトはそう言って、レティの手の甲にキスをし、レティを馬車に乗せた。


レティは真っ赤になりながらも、アルベルトに

「 行ってらっしゃい 」

と言った。………が、アルベルトはクルッと向きを変え、片手をさっと上げながら行ってしまった。


アルベルトは

レティから言われた「 行ってらっしゃい 」が嬉しくて照れてしまったのだった。


レティの脳内で

久し振りの久し振りに、『 片手を上げながら行く皇子様の後ろ姿祭り 』が始まった。


何あれー!! 何あれ!!

めちゃくちゃ格好良いんですけど………


祭りは、公爵邸に着くまで開催されていたのであった。









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る