第151話 閑話─皇宮がソワソワした日
話しは遡って
7月の軍事式典の日の話です。
皇子様の想い人が
この皇宮に来られると、宮殿の侍女達や使用人達が朝からソワソワしていた。
皇子様の側近のクラウド様から、両陛下に報告される皇子様と公爵令嬢の話が、宮殿中で話題になっているのだった。
そして、そのソワソワは宮殿の使用人達だけでは無く、両陛下も、公爵令嬢とお会いするのを楽しみにソワソワしていたそうな………
勿論、皇子様は、パレードで着用されてた白い正装の軍服から夜会服に着替える頃には、朝からあった緊張も解けて、ワクワクウキウキランランランと上機嫌だった……そうな。
「 公爵令嬢が、到着されました 」
使用人達の伝達リレーが密やかに開始された。
「 謁見の間に入場されました 」
「 両陛下も魅入る程にお美しいそうです 」
「 皇子様は……見惚れて、耳まで赤くなってるそうです 」
公爵家に用意された控え室には、侍女達が次から次へと押し掛け、レティの美しさにキャアキャア騒いでいたのだった。
「 あのドレスとネックレスは皇子様の瞳の色よ! きっと皇子様が贈られたのだわ……」
素敵………
皇宮中の侍女やメイド達が、胸の前に手をあて、ポワ~ンと夢心地になるのであった。
晩餐会が始まると、シェフやメイド達は、代わる代わる大広間まで覗きに行き、アルベルトとレティのダンスをうっとりと見ていた。
「 皇子様があんなに蕩けそうなお顔をされるなんて……」
「 皇子様があんなにケラケラお笑いになるなんて………」
侍女達は勿論の事、使用人達がショックを受けたのも仕方ない事であった。
皇宮にいるアルベルトは、何時も物静かであった。
当然だろう………
1人でケラケラ笑う筈も無かろうに………
ああ……でもお笑いになる皇子様も素敵。
皇子様をあんなに笑わすリティエラ様って………
皇宮中の使用人達は、美しいばかりでは無く、元気なお転婆レティに興味津々となった。
晩餐会が終わる頃、ビッグニュースが飛び込んできた。
「 建国祭の時の晩餐会で、軽食コーナーで皇子様とイチャイチャしていたメイドはリティエラ様だった!! 」
えーーっっ!?
何故、公爵令嬢であるリティエラ様がメイド服姿だったのか?
数々の謎が議論された………
まだ成人になっておられないリティエラ様が、皇子様に会いたくて、メイド服に変装して忍び込んだのか?
いやいや、皇子様がリティエラ様に会いたくて、リティエラ様にメイドの格好をさせ忍び込ませたのでは?
しまいには、皇子様はそう言うプレイがお好きなの?
アルベルトへの新たなる疑惑が沸々と湧き起こっていた。
しかし……
皇子様に幻滅までしたと言う、皇子様の浮気疑惑は晴れたのだった。
そして
今回も、軽食コーナーでイチャイチャしていたと聞いて、私もそこに居たかったと悔しがる使用人達であった。
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